Friday, 29 November 2013

リービ英雄ドキュメンタリー完成!

明治大学理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系管啓次郎研究室では、大川景子監督によるドキュメンタリー作品『異境の中の故郷 作家リービ英雄52年ぶりの台中再訪』完成記念上映会を開催いたします。


日時 12月3日(火)18:10〜20:45
会場 明治大学中野キャンパス5階ホール
予約不要・入場無料
問い合せ先 明治大学理工学部 管啓次郎(044−934−7275)

これは現在開催中の演劇祭フェスティバル/トーキョー参加作品「東京へテロトピア」関連企画でもあります。

プログラム
 『東京ヘテロトピア』総括レクチャー 林立騎、高山明
 『異境の中の故郷』上映(55分)
 アフタートーク リービ英雄、温又柔 (司会=管啓次郎)

お誘い合わせの上、お気軽にご参加ください。

Monday, 25 November 2013

「東京ヘテロトピア」進行中!

フェスティバル/トーキョー参加作品「東京ヘテロトピア」、公開期間は早くもあと2週間を切りました。

13の場所をめぐるサウンドインスタレーション、ツアー型演劇。さすがはPort B高山明演出の、強烈なオリジナリティのある作品です。

http://www.festival-tokyo.jp/program/13/tokyo_heterotopia/


ぼくは3つの場所をめぐるテクストを書きました。池袋西口公園のベンガル語記念碑ショヒド・ミナール、神田駿河台の中華料理店・漢陽楼、そして東洋文庫。

ショヒド・ミナールは「ベンガルの母」のような朗読者が驚異的にすばらしく、とても自分が書いたテクストとは思えない、驚くべき高みに達しました。きょうは遅ればせながら漢陽楼にゆき、ここでも中国青年の訥々とした朗読に打たれました。東洋文庫は、ぼく自身が読んだ。じつはまだ聴いていません。今週行くでしょう。

ぼくがいってもなかなか信じてもらえないかもしれませんが、これは歴史に残る作品だと思います。そしてこのプロジェクトを、われわれは今後も進めてゆくつもりです。歴史の忘却を意図する者たちに抗して、語られなかった東京を。アジアの人々が体験した東京を、物語に。

ぜひどうぞ。


青森ツアーを終えて

23日、八戸郊外のバイパス沿いにあるSlow Baseに。ここは小説家・木村友祐のお兄さん木村勝一さんが営む複合スペースで、カフェ、雑貨店、古着屋などが入った大きな建物。勝一さんはキックボクサー、俳優、アーティスト。鉄板を切って犬のフィギュアを作る、パワフルな人です。

そして彼が作り上げたのが、裏手の森に点在するツリーハウス群! 友祐さんの佳作『海猫ツリーハウス』の舞台そのもの。ちょっとびっくりします。この規模の村が森の空中にあるなんて。まさに八戸ヘテロトピア。

ここのカフェで、友祐さん、山内明美さんと語り合いました。われわれが生きる時代を、そして<東北>という土地を。その糸口を見つけただけで終わりましたが、これから長い時間をかけて持続的に話し合っていかなくてはならないことばかりです。この鼎談、「すばる」の2014年3月号に掲載予定です。お楽しみに。その後、詩人の田中庸介さんの朗読、木村兄弟による八戸弁全開の『海猫ツリーハウス』朗読もあって、すばらしい一夜でした。

24日はおなじメンバーで、まず新郷村の「キリストの墓」を見たあと、奥入瀬渓流ホテルにむかいました。十和田奥入瀬芸術祭、最終日のクロージング・イベントとして、石田千さんと対談。土地の魅力にどうアプローチするかを、改めて話し合いました。この芸術祭をプロデュースした藤浩志さんも来てくれて、藤さんの「やせ犬」たちと木村勝一さんの「鉄犬」が出会う可能性が生まれました。十和田と八戸の新たな連係?

ともあれこれにて6日間連続イベント、どうにか終了。みなさまありがとうございました。これからも、ヘテロトピアの創出をめざしましょう。

Saturday, 23 November 2013

読売書評 #47

24日掲載。ベノワ・マンデルブロ『フラクタリスト』(田沢恭子訳、早川書房)。

フラクタル幾何学の創始者マンデルブロの自伝です。リトアニア系ポーランド生まれのユダヤ人、フランスで自己形成し、やがてIBM研究所を舞台にあらゆる事象のラフネスを研究。デッサンがうまく絵が好きだったということに、なるほど。数学的天才をもって物理学・経済学・工学・芸術をむすびつけ、誰にも似ていない着想をくりひろげてきた生涯に感嘆。

昔読んだパウル・ファイヤーアーベントの自伝もおもしろかったけど内容はすっかり忘れたので、また読み直してみます。

それにしても。数学やっておくんだった。

4つ終了

6夜連続イベント、4つまでぶじ終了しました。

19日、B&B。『十和田、奥入瀬 水と土地をめぐる旅』のイベントで畠山直哉さんと対談。畠山さんのスライドショーを中心に進行しましたが、ぼくの『時制論』朗読の途中、次の1行に畠山さんが爆笑。

 写真を撮るなら撮ることに徹したいので被写体はむしろ邪魔だった

 こっちにも笑いが感染し、最終行を読むことができませんでした。ちなみにその最終行とは

 一枚の板チョコを組織的に十二分割して十二人で同時に食べる

でした。満席で、楽しい一夜。

20日、池袋の東京芸術劇場。「東京ヘテロトピア」イベントとして、演出家と作家チームの鼎談。高山明さんの質問に、小野正嗣さんとぼくが答える形式で。これも熱心な聴衆が多く、「東京ヘテロトピア」の今後の展開も語られて、大変に意味深い会でした。

21日、馬喰町アートイート。『ミグラード 朗読劇「銀河鉄道の夜」』所収のぼくの小説を、港大尋さんの伴奏つきで全文朗読。50枚、70分、予想ぴったりでした。この2年半に考えたさまざまなことを盛り込んだ、奇妙な小説です。満席のお客さんはずっと集中して聴いてくださったのもありがたかった。ちょっと見えてきたので、これは必ず再演します。

22日、明治大学アカデミーホール。岩波書店創業100周年記念シンポジウム。広井良典さんの基調講演のあと、ぼく、長谷川一さん、高橋源一郎さんが順に話し、あとは討論。司会進行もぼくが務めました。「大学、出版、知の未来」と題する場でしたが、広井さんが人類史の人口推移から自然エネルギーコミュニティ構想にいたる非常に大きな枠組を提示してくれて、その中をみんなで旅した感じ。時間が短すぎたのが惜しい、充実した議論でした。

明日、23日は、八戸に、むかいます。

Tuesday, 19 November 2013

今週の予定

秋もずいぶん深まってきました。今週は風邪をひかないことが課題。いくつかイベントが続きます。

19日(火)『十和田、奥入瀬』をめぐり畠山直哉さんと対談。
20日(水)「東京へテロトピア」で小野正嗣さん、高山明さんと鼎談。
21日(木)小説「三十三歳のジョバンニ」全文朗読会。
22日(金)岩波書店創業100周年記念シンポジウムで司会担当。
23日(土)八戸で山内明美さん、木村友祐さんと語り明かす夜。
24日(日)十和田奥入瀬芸術祭最終日、石田千さんと対談。

いずれかに、ぜひいらしてください。

Sunday, 17 November 2013

読売書評#46

11月17日掲載。ズザンネ・ブッデンベルク+トーマス・ヘンゼラー『ベルリン 分断された都市』(フランツ+深見訳、彩流社)。

分断時代のベルリンをめぐる5つの実話からなる歴史漫画。いまとなっては夢のようにさえ思える、異常な時代の記憶を淡々と刻みます。

Friday, 15 November 2013

12月4日、野村喜和夫さんと

12月4日、野村喜和夫さんと対談します。パルコブックセンター吉祥寺店にて。喜和夫さんの新詩集のタイトルを記したいのですが、漢字が出てきません!ぼくの詩集とともに、左右社刊。旅と詩をめぐる話になることでしょう。

http://www.libro.jp/news/archive/003796.php

Wednesday, 13 November 2013

伴奏は港大尋!21日は馬喰町へどうぞ

21日(木)、馬喰町Art & Eat にてぼくの書き下ろし小説「三十三歳のジョバンニ」の全文朗読会を行います。即興でギターによる伴奏をつけてくれるのは、あの知る人ぞ知るバンドSociété contre Etat を率いる音楽家・港大尋さん。

『ミグラード 朗読劇「銀河鉄道の夜」』(勁草書房)のために書いた小説ですが、この2年半の状況のすべてが、そこに流れこんでいます。直接には、今年6月の南相馬市立中央図書館での滞在制作から生まれた作品。

50枚の長さですから、おそらく70分ほどの朗読時間になるのではないかと思います。緊張しますが、万全に体調を整えて臨みたい。ぜひ聴きにきてください。

なお33歳、あるいは1980年生まれの方には、特別なおみやげを進呈します!

http://www.art-eat.com/event/?p=2563

畠山直哉さんと、下北沢で

19日(火)、下北沢B&Bで畠山直哉さんと対談します。『十和田、奥入瀬 水と土地をめぐる旅』(青幻社)出版記念イベントです。

http://bookandbeer.com/blog/event/20131119_oiraseart3/

石田千、小野正嗣、小林エリカのみなさんが土地をめぐる小説を書き下ろし、畠山直哉さんが3度にわたる旅行で撮影してきた写真を収めたこの本、自信作です。ちょっと類例がないくらい、いいものになりました。

ぜひ読んでみてください。

「声と文学」、文月悠光さんと

17日(日)、高松市のBOOK MARUTEで文月悠光さんと詩のワークショップをします。といっても、誰でも参加できる楽しいイベント。ことばって、声って、詩っておもしろいんだなと感じてもらえるような構成を考えています。

瀬戸内地方にお住まいのみなさん、ぜひ遊びに来てください。

http://www.jpic.or.jp/topics/docs/takamatsu.pdf

Monday, 11 November 2013

『ストレンジオグラフィ』完成!

そして9日、新著『ストレンジオグラフィ』(左右社)が完成しました! これまでにない(たぶん)といえそうな仕掛けがいくつもありますが、中でも「あとがき」はぜひごらんください。そしてその秘密を、誰にも教えないでくださいね。

ぼくにとっては9冊めのエッセー集です。

『コロンブスの犬』(1989)
『狼が連れだって走る月』(1994)
『トロピカル・ゴシップ』(1998)
『コヨーテ読書』(2003)
『オムニフォン <世界の響き>の詩学』(2005)
『ホノルル、ブラジル』(2006)
『本は読めないものだから心配するな』(2009)
『斜線の旅』(2009)

これに続く9冊め。最大の特徴は、この本に収めた文章の中に、2011年3月11日という大きな切断の日付が隠れていることでしょうか。この日、そしてそれにつづく日々、日本社会は「それまでのやり方」にはっきり別れを告げる決意をしたはずです。それを何事もなかったかのように、好き勝手な方向に日本をむかわせようとするやつらには、あくまでも抵抗しなくてはなりません。

そして抵抗の基礎は、読書にあります。何しろ、日本を動かしている、と称しているやつらは、本らしい本なんてぜんぜん読まないんだから。

すごかった

そして9日(土)夜のエスパス・ビブリオでの朗読会。『時制論』の過去形と現在形を、ぼくとドリアンさんが1行ずつ交互に朗読。これは熱かった! 予想をはるかに超えて、いい効果が生まれました。

もちろん、その他の話もいろいろ。『時制論』の64片をぜんぶ読むと、おそらく3時間強。ドリアンさんとふたりなら、それもできそうな気がしてきました。

いつか実現したら、ぜひ聴きにきてください。

同僚のカリスマ・フランス語教師、清岡智比古さんが、すごく的確な感想を書いてくれました。清岡さん、ありがとう!

http://tomo-524.blogspot.jp/


読売書評#45 

中村隆之『カリブ-世界論』(人文書院)。11月10日掲載。フランス語圏カリブ海に興味をもつ人にはmustの一冊が生まれました。

スロヴェニアにはLOVEがあるから

世界のすべての国の中で国名にLOVEが含まれているのはここだけでしょう。そう、SLOVENIAです。ゲルマン、ラテン、スラヴのすべての交差点。人口200万の小さな国ですが、大好きになりました。

そのスロヴェニアから来日していた4人の現代詩人とのセッション、ぶじ終了。かれらは元気に帰ってゆきました。

3日の明治大学には約50名、5日の神戸大学には約25名。多くはありませんが熱心な聴衆を得て、大変に有意義なひとときをすごすことができました。特に神戸でお世話になった樋口大祐さん、増本浩子さん、楯岡求美さんをはじめとするみなさん、ありがとうございました。

4日には大阪の都心とは思えないしずかな住宅地、福島区の一角にあるフォトギャラリーサイにお邪魔して、赤阪友昭さんからスコットランドを撮影したすばらしい写真を見せていただき、みんなで感嘆。そのあとの焼鳥屋、トルコ・バーも最高。スロヴェニアに大阪ファンが、確実に6人は生まれました。赤阪さん、ありがとうございました。

スロヴェニアとの関係は、これからも育ててゆくつもりです。詩がむすぶ友情を。再会がはやくも楽しみです!

Thursday, 7 November 2013

9日(土)、エスパス・ビブリオで

あさっての土曜日、夜7時。駿河台、男坂わきに新しくできたエスパス・ビブリオで、詩集『時制論』とエッセー集『ストレンジオグラフィ』(いずれも左右社)の刊行記念イベントを開催します。

つきあってくれるのは、われらがドリアン助川さん。『時制論』のジョイント朗読を、ぜひ聴きにきてください!

http://sayusha.com/news/event/p=201310181817

Saturday, 2 November 2013

スロヴェニア+日本?

スロヴェニアから4人の代表的現代詩人が来日。きょう金曜日、相互翻訳ワークショップの第1日を開催しました(明治大学中野キャンパスにて)。

明日、土曜日も続行。そしてその成果を日曜日に問います。

『スロヴェニア+日本 詩の対話』

ミラン・デクレバ
アレシュ・シュテゲル
ガシュペル・ピウシェク
カティア・ペラト
福間健二
野村喜和夫
管啓次郎
三角みづ紀
橘上

お茶の水の明治大学アカデミーコモン2階A2・A3会議室にて。15時〜17時。

ぜひお誘い合わせの上、ご来場ください。予約不要、入場無料です。

なお5日(火)には神戸大学文学部でも。そちらは17時〜18時30分です。

「水牛」11月号

八巻美恵さんのウェブジン「水牛」、更新されました。ぼくは連作詩「写真論」の5、6、7。これで完結です。

ぜひごらんください。

「東京へテロトピア」

11月9日からはじまる演劇祭フェスティヴァル・トーキョー。高山明さんを中心とするプロジェクト「東京へテロトピア」に、ぼくも参加しています。

いよいよ制作も佳境に入りました。ぼくが書いたテクストが、はたしてどんな声により語られ、どんな風に聴かれるか。

楽しみです。

『アメリカ文化55のキーワード』

笹田直人・野田研一・山里勝己編著『アメリカ文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房)が完成。アメリカ研究を志す人には必携書となるでしょう。

ぼくは1項目だけ、「カリブ海世界 クレオール文化の母胎」を担当しました。新味はありませんが、サント・ドミンゴで撮影してきた写真を見てくださいね。


Friday, 1 November 2013

『十和田、奥入瀬』関連イベント報告

われわれの『十和田、奥入瀬 土地と水をめぐる旅』の関連書店対談シリーズ@下北沢B&Bでは、26日(土)に石田千さんと小林エリカさんの対談、ついで29日(火)に小野正嗣さんとぼくの対談を行ないました。

まず千さんとエリカさんの繊細で優美な作品の背後にあるものをうかがい、ついで小野さんとぼくの珍道中の印象を語り合い。いずれも楽しく、また内容のある話になったと思います。

次は11月19日(火)に、畠山直哉さんとぼく。写真とコトバの関係、そして両者と土地の体験の関係との、もっとも深いところにまで達する話をしたいと考えています。

ぜひいらしてください。というか、急がないと満席になっちゃうよ!