「ユリイカ」6月号は特集「山口昌男 道化・王権・敗者」。ぼくは短いエッセー「そこにすわれ、本を読め」を寄稿しています。
山口先生にそれほど身近に接していたわけではないので、執筆者としては不適格だったと思います。すみません。ごくわずか、ぼくが見た「幻影の人」としての山口先生の思い出を。特に資料的価値もありません。この号では、なんといっても、今福龍太さんの「素描的精神の鉱脈」、そして札幌の吉成秀夫くんの「山口昌男先生のギフト」が光っています。
それでも山口先生については、いい思い出ばかりです。この稀代の「歴史家」(そう、ぼくにとっては山口先生は本質的に精神史家でした)の仕事を、われわれの世代の者がどれだけ継承しているのか、延長しているのか。内心忸怩たるものがあります。
でもまだまだ、これから。フィールド読書人のおもかげを偲びつつ、山口先生の撒いたトリッキーな種を育てていきましょう。