日出男座長を中心=ドラムスの位置におき、その左右にギターを抱えたゴッチとケイタニー、その外側に柴田さんとぼくというV字フォーメーションはバンド感 覚にあふれ、およそ望みうる最高のステージになったと思います。舞台半ば、風が濃い夜霧を運んできて、演出かと思えるほど。賢治さんゆかりの種山高原で、 まるで賢治さんがそこに加わりたいと願っているかのように、物語は一瞬で水底に沈みました。
ぼくはこれまでの「定本」の3編の詩の2つを捨て、「きみだけの切符」を新たに書きました。ケイタニーはわれわれの「銀河」のアイデンティティともいうべ き名曲「フォークダンス」を封印し、新たな主題曲をみごとに完成させました。一昨年の完成ヴァージョンでみんなを戦慄させた柴田さんの「ラッコの上着」役もひっこめられ、そのぶん、「鳥を捕る人」が異様な高みに達しました。ここまでラディカルな変更を自分に、そしてわれわれに、課す、日出男座長の意志に戦きながら、一夜の乱入は終わりました。
いつもながら、チーム銀河の仲間たち、後藤さんおよびアジカンのスタッフのみなさん、この高原の夜に集ってくれたすべての人々に、心からの感謝を。そして忘れないでください。この劇のすべてが、2011年3月11日の、あの夜にささげられていたことを。