アメリカのいちばん北東の端にあるのがメイン州。むかしからなぜか興味のある土地でした。この州のルイストンにあるベイツ・カレッジを訪問中です。気温はマイナス9度、快晴。気持ちのいいキャンパスはまだまだ雪景色。
17日は聖パトリックの日でしたが、それを記念して(?)朗読会と映画上映を行うことができました。まずぼくの単独朗読会。「Agend'Ars」連作から計8片を、日本語、英語、フランス語、スペイン語で朗読。ついで宮澤賢治の話を少しして、ぼくを招いてくれた和氣久明さんと「雨ニモマケズ」のバイリンガル朗読(そう、いつも柴田元幸さんとやってるヤツです)。さらにわれわれの朗読劇『銀河鉄道の夜』の劇中詩「二つの夜、おなじ夜」を英訳で読んでしめくくりました。ここで教えるフランス文学、ラテンアメリカ文学の先生、また音楽を教える作曲家の三浦先生も来てくださり、いい会になりました。
夜は『ほんとうのうた』(河合宏樹監督)の上映会。観客のほとんどは日本語をとっている学生だったものの、背景や賢治についての知識がまるでないと、ちょっとむずかしかったかもしれません。すでに引退されたもののこの大学の先生で、賢治の「銀河鉄道の夜」の英訳者でもあるセイラ・ストロングさんに観ていただけたのが、大きなよろこびでした。
アメリカのリベラルアーツカレッジの良さがよく感じられるキャンパス。火曜日の夜はセミナーの夜で、夜の授業も多いようです。ほとんどの学生がキャンパスに住んでいる、独立した小宇宙。図書館も充実し、勉強するにはもってこいの環境です。こういうキャンパスに住みついて、創作に専念できたら!
フランスの小説家マルグリット・ユルスナールは、この州の大西洋岸の島にずっと住んでいました。こんどは夏にゆっくり来て、そんな場所も訪ねてみたいと思います。