スロヴェニアの古都プトゥイでの国際フェスティヴァル「詩と葡萄酒の日々」に、2012年につづいて参加しました。
主な目的は完成したばかりのスロヴェニア語訳日本現代詩集について語ること。
この大きな詩祭では毎年、その年のテーマ国があり、2012年は日本年。福間健二、野村喜和夫、和合亮一、三角みづ紀さんとぼくが参加し、スロヴェニアの現代詩人4名との相互翻訳のワークショップを行ないました。昨年はこの4人が来日し、ワークショップを続行、そして明治大学と神戸大学で朗読会。
今回の詩集は上記の5名+2013年の日本代表・橘上、14年の石田瑞穂のおふたりを加えた7名の作品のスロヴェニア語訳をまとめたものでした。女性がみづ紀さんだけとは少なすぎますが、まずは興味深い内容で、すでにヨーロッパの多くの人々の関心を惹いています。
今回はぼくと瑞穂さんがこの詩集について語り、同時に詩祭で福島の現状をめぐる写真展を開催した赤阪友昭さんをまじえて、会場のみなさんとのディスカッションのセッションをもちました。活発な議論。
春の「見えない波」でも感じたことですが、ヨーロッパ(チェルノブイリと地続き)ではことのほか福島に対する関心が高いようです。そして、オリンピック誘致のために「福島の状況は制御下にある」と平気でいったわれわれの恥知らずな首相がいかに嘘つきであるかは、改めていうまでもなく、すでにヨーロッパでも誰もが知っていることになってしまいました。つくづく情ないことです。
書名はNovi svet (新世界)。この「新」にこめられた意味を、いつまでも問い直す必要があるでしょう。