13日、下北沢B&Bでの大辻都『渡りの文学』イベントは、非常に充実した会になりました。マリーズ・コンデというフランス語圏文学の代表的作家、しかも良い点も悪い点もたくさんあるこの特異な小説家の全体像が、誰にもよくわかるかたちで浮き彫りにされました。
文学研究といっても肝心の文章が良くない本はたくさんありますが、大辻さんの本は非常に端正で読みやすい日本語で書かれています。さすがは工藤庸子さんの弟子。通読してまったく飽きない好著です。
そして対談のお相手をお願いした小野正嗣さんは、作家にして研究者という二重の立場から、コンデの魅力と欠点をあまさず熱情をこめて語ってくれました。そのユーモアのある熱い語りに、一同、感動。
翻訳家のくぼたのぞみさんやフランス語圏文学の立花英裕さん、中村隆之さん、工藤晋さんの質問や発言も、話題をさらに深めてくれました。
聴衆は25人程度? 多くはありませんが、主題を共有するにはちょうどいい人数です。みなさん、ありがとうございました。