新宿御苑のPlace Mに、小島一郎のオリジナル・プリントを見にゆく。ほとんど涙ぐむ。なんという写真家だったことか彼は。39年の生涯は、夭折という他ない。
そして同時に展示されている森山大道の北海道写真も、さすがに震えるような強さ。森山さんによって発見された視覚によって、われわれは別の国、別の風土へとさまよい出てゆく。
どちらも非常にいい展示なのだが、それでもなお、写真の展示一般に対する大きな疑問。ガラス越しのイメージは、損なわれている。ガラスは邪魔だ、反映像は邪魔だ。プリントそのものを見たい。
それを思うと、「写真展」というのが写真の体験として最良の形態なのかどうか、わからなくなってくる。
有名な「小島のトランプ」を、そのまま手にとって心ゆくまで見ることを夢想する。