Tuesday, 28 January 2014

植物という生き方

2010年にメルボルンで進藤詩子さんが企画した美術展 Immanent Landscape に際して、出品作家のひとりだった華道家の片桐功敦さんが記した文章から。彼がアーネムランドで出会った、その土地で育った白人女性の言葉。

「アボリジナルの人々はみんな、それぞれの祖先のトーテムを持っているの。何かの動物の。でも不思議ね。植物のトーテムを持つアボリジナルには会ったことがないの。きっと植物は大地に属するもの、私たちを含めた動物とは違う時間に生きているからなのかもしれないわね。大地は本当の意味で私たちを生かしてくれているから」

植物の留まる生き方と、動物の動く生き方。ここから出発して何がいえるか、考えてみよう。

Monday, 27 January 2014

「銀座百点」2月号

銀座のタウン誌「銀座百点」2月号にエッセーを書きました。タイトルは「昨日銀座を歩いていると」。

今はなき洋書店のイエナ、高松沖合の男木島、八戸のツリーハウスをむすび、過去と現在が交錯! 結局あまり銀座の話ではありませんが、銀座のどこかで手に入れて、読んでみてください。

Sunday, 26 January 2014

Walking Poems / Marcher

そのTimeWalker のために、英語の詩を7片とフランス語のエッセーをひとつ、「歩くこと」を主題にしたものを集めた冊子を作成し、会場で配布しました。五十嵐哲夫デザイン。かなりかっこいい。3月のフランス、イギリス・ツアーでも配布するつもりです。

Time Walker 終了!

文化庁主催の世界メディア芸術コンベンション2014「タイム・ウォーカー」が金曜夕方と土曜日の全日、東京国際フォーラムで開催されました。

http://time-walker.net/

Walking and Mappingという強烈にぼく好みの本の著者Karen O'Rourkeさんをはじめとする海外からの参加者はもちろんですが、山川冬樹さん、石川初さん、青木涼子さんのそれぞれのプレゼンテーションがすばらしかった。

山川さん、青木さんが声を発した瞬間に会場の空気が激変するのをまのあたり(耳のあたり?)にし、大きな衝撃を受けました。そしてGPSログを10年にもわたってつけている石川さんの数々の発見には、みんなときおりの爆笑とともに深く納得。都市空間やその中での人間の行動を見直す、最高の機会でした。

ぼくはAITの「東京事典」でのプレゼンテーションを再演。大スクリーンでのビデオ映像は、それなりに楽しんでいただけたのではないかと思います。

最後をしめくくったのはわれらが吉増剛造師匠。空と地中、重力、音と沈黙のあいだに佇む詩人の姿は、永遠に追いつけない目標です。

このすべてを構想し、粘り強く準備を進めていた港くんは30年来の友人。これを終えて、今日は南相馬での岡部昌生さんとのイベントにむかうとか。あいかわらずタフなやつ! ぼくは期末試験の採点にむかいます。

Sunday, 19 January 2014

本谷有希子さんと

19日、沖縄県立美術館のレクチャー・ルームで、JPIC出版文化産業振興財団主催「声と文学」の第5回を開催しました。本谷有希子さんと、ぼく。朗読に始まり、声と文学をめぐる対話、そしてワークショップへと進みました。

本谷さんはまず短編集『嵐のピクニック』から「マゴッチギャオの夜、いつも通り」を読んでくれました。いま強烈に胸に迫ってくる作品。特に動物の命に関心をもつ人、必読です。

そして注目すべきなのは、この作品が彼女なりの東日本大震災に対する反応なのだ、という発言。ストレートなメッセージとしてそうあるわけでも、題材として震災を取り上げているわけでもありません。しかし、ここに表れている命をめぐる感覚が、確実に震災以後のものなのだ、ということでしょう。

これだけでなく、きょうの本谷さんの言葉には目を開かれることの連続でした。特に強く感動したのが「捨て小説」。3ヶ月ほどものあいだ、とにかく書けるかぎりの小説をどんどん書いてゆく。それをただ、捨てるために! 書けると思ったものすべてを捨てたあとで、やっと新しく、意味あるものが書ける。作家根性の強烈さを感じました。

ぼくが誤解していたこと。本谷さんは劇作家から小説家へとシフトしていったわけではなく、最初から両方のジャンルを並行して書いてきたそうです。そして「サウンドによって書くことがある」というのにも納得しました。音の展開を転写してゆき、そこに物語が自己生成する。

ワークショップは、やはり『嵐のピクニック』所収の「タイフーン」の最初の1行「食べな、これすごくおいしいんだ」を出発点とし「さよなら。またね」という行にむかって数行のやりとりを書くという試み。50人ほどの参加者のみなさんが熱中して、いくつものおもしろい作品を作ってくれたあとで、本谷さんがこの短篇も朗読してくれました。

いい刺激を受けて、ぼくもまた新しく、やる気が湧いてきました。これからも、どんな風に作家としての変貌を遂げていくのか。注目していきたい人です。

那覇で、ジョバンニが

那覇に来てみたら、すでに桜が咲いています。びっくり。

まず1月18日、桜坂劇場内のさんご座カフェにて「三十三歳のジョバンニ」の全文朗読会を開催しました。音楽は佐喜眞淳さんによる鍵盤ハーモニカ(ホーナー、スズキ)の即興。その甘美なアイリッシュ=オキナワンな響きと和音に助けられ、なんとか最後までこなすことができました。

この日はなぜかぼくは調子が悪く、途中の読み間違いがおびただしくて。困ったことですが、修行不足を恥じるのみ。途中、ちょっと低血糖だったみたいです。次回からは体の調整を第一に。

それでも朗読を終えて、佐喜眞さんが三線の弾き語りを何曲か。「艦砲ぬ喰えぬくさ」をはじめ、非常に印象の強い曲ばかりでした。淳さん、ありがとうございました!

「ジョバンニ」はこれからも毎回ちがうミュージシャンとやってみたいと思います。そのつど、まったく異なった作品になると思います。お楽しみに。(各地のみなさん、ぜひ企画を立案してみてください。)


小野正嗣の話しっぷり

13日、下北沢B&Bでの大辻都『渡りの文学』イベントは、非常に充実した会になりました。マリーズ・コンデというフランス語圏文学の代表的作家、しかも良い点も悪い点もたくさんあるこの特異な小説家の全体像が、誰にもよくわかるかたちで浮き彫りにされました。

文学研究といっても肝心の文章が良くない本はたくさんありますが、大辻さんの本は非常に端正で読みやすい日本語で書かれています。さすがは工藤庸子さんの弟子。通読してまったく飽きない好著です。

そして対談のお相手をお願いした小野正嗣さんは、作家にして研究者という二重の立場から、コンデの魅力と欠点をあまさず熱情をこめて語ってくれました。そのユーモアのある熱い語りに、一同、感動。

翻訳家のくぼたのぞみさんやフランス語圏文学の立花英裕さん、中村隆之さん、工藤晋さんの質問や発言も、話題をさらに深めてくれました。

聴衆は25人程度? 多くはありませんが、主題を共有するにはちょうどいい人数です。みなさん、ありがとうございました。