Tuesday, 29 March 2016

「メキシコ大学雑誌」

ぼくの詩集スペイン語訳が「メキシコ大学雑誌」で紹介されています。翻訳はクリスティナ・ラスコンさんと南映子さん。ごらんください。この秋にはエクアドルの詩祭に招待されています。スペイン語の年になりそうです!

http://www.revistadelauniversidad.unam.mx/articulo.php?publicacion=799&art=17103&sec=Creaci%C3%B3n

Saturday, 26 March 2016

音楽詩劇「星の王子さま」

金沢にある、元紡績工場を改造して作られている総合文化施設が金沢市民芸術村。ここのふたりのディレクターがそれぞれサン=テグジュペリ『星の王子さま』と芥川『地獄変』を舞台化しました。3月26、27日の両日に公演。

で、きょう26日の公演に行き、アフタートークに出演してきました。

『星の王子さま』は作曲家でフルート奏者の木埜下大祐さんの作品。原作のいくつかの場面と木埜下さんご自身のテクストを、オリヴィエ・ビルマンさんと美緑トモハルさんが読み、全編をフルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロの演奏がいろどる総合的作品で、曲の良さ、言語の大胆なコラージュ、星を表す大きな白い風船、スクリーンに投影される夜空など、強烈な印象を残します。

この原作からの引用部分に、ぼくの訳文(角川文庫)が使われ、そのご縁でご招待いただいたもの。ひさびさの金沢で、おもしろい夕べを過ごさせていただきました。

上野賢治さんによる『地獄変』のほうは、俳優、ダンサー、演奏家が集まり、これもきわめて印象的な作品。「コラボ」という安売りされがちな言葉が、まったくごまかしなくほんとうに実現されている、稀有の作品です。明日、日曜日も、この2作品の上演(14時から)。この機会に、ぜひどうぞ!

アントナン・アルトー『手先と責苦』

アントナン・アルトーが生前に構想した最後の本である『手先と責苦』。河出書房新社の「アルトー後期集成」全3冊のひとつとして2007年に刊行されるはずでしたが、諸般の事情でずっと遅れていました。この遅れはぼくの責任、深くお詫びします。

それがこのたび、完成、刊行。ぼくと大原宣久くんの共訳です。そもそも翻訳不可能な部分も多い、極端で過激な本ですが、なんとか通読できるかたちになったと思います。そして、これまでのアルトーのイメージに、少しは別の音程というか声域を加えることができたはず。

よかったらぜひ手にとって、読んでみてください。「人生」そのものに対する態度を、根源的に変えるきっかけとなるかもしれません。


アメリカ比較文学会

3月17〜20日、ハーヴァード大学で開催されたアメリカ比較文学会の年次大会に参加しました。この学会はセミナー形式で行われ、基本12人が3日間顔を合わせて交互に発表します。われわれはちょっと変則的で、13人参加、2日間で行われました。

テーマは Ecocriticism in Japan: Season 2 です。昨年につづいて、ベイツ・カレッジの和氣久明さん、金沢大学の結城正美さんとぼくがチェア。クリスティン・マランさん(ミネソタ大学)、ミミ・ロングさん(カリフォルニア大学アーヴァイン校)、ダグ・スレイメイカーさん(ケンタッキー大学)、レイ・マゴサキさん(チャップマン大学)、上野俊哉さん(和光大学)など、興味をおなじくする友人たちが集まり、楽しく実りの多い議論ができました。

ボストン/ケンブリッジは20年ぶり。ボストンはアメリカの他の大都市に比べて落ち着いた、いい街です。空港からダウンタウンまで地下鉄でわずか3駅だというのも便利。学会のあいまを縫っての散策も発見が相次ぎました。

今回の基調講演はUCLAのウルスラ・ハイザさん。エコクリティシズムの第一人者ですが、じつはぼくがはじめてこの学会に参加した1997年(メキシコのプエルト・バジャルタで開催)、初のエコクリティシズム・セッションが行われ、パトリック・マーフィーさんが組織したそれにはハイザ、ぼく、キャリー・ウルフらが参加していました。 それぞれ指導的な研究者になっているかれらに比べると、まだ入口でまごまごしている自分を反省。

でもまだ、これからです。やるべき課題は山積み。さしあたっては Rewilding の活動でしょうか。すべては山川草木鳥獣虫魚とともに。

Tuesday, 8 March 2016

シンポジウム「希望としてのRe-wilding」

5年目の3月11日がめぐってこようとしています。金曜日、明治大学中野キャンパスホールにて、以下のシンポジウムを開催します。

https://www.meiji.ac.jp/sst/grad/information/2015/6t5h7p00000kfenq.html

東日本大震災による大津波は、海辺の土地の景色を一変させました。そんな中にも、開発により姿を消していた植物種がよみがえるなど、自然がもつ回復力をま のあたりにする場面や、人々の営みが行われる以前の、太古の風景が帰ってきた区域もありました。また一方で、鮭の遡上や白鳥の飛来といった毎年の出来事 は、おそらく過去数千年数万年つづいてきたサイクルを、いまも変わらずくりかえしています。
震災はまた、人間社会と自然の関係を深く考え、どのような未来がありうるのかを探るための機会でもありえます。そのための手がかりのひとつと して、オランダ、アムステルダム近郊の驚くべき自然保護区オーストヴァーデルスプラッセンの例を見ながら、現在世界中で注目されているリワイルディング= 再野生化という試みについて考えてみたいと思います。
内容
1 スライドショー「福島とオランダ、二つの海辺」赤阪友昭(写真家)
2 短編映画「水の記憶、土の記憶~南相馬から」古木洋平(映画監督)
3 オランダのドキュメンタリー映画紹介 「The New Wilderness 」部分上映
4 シンポジウム「希望としてのRewilding」
赤阪友昭、古木洋平、信太美奈(音楽家)、小沼純一(批評家/早稲田大学)、
松田法子(建築史・都市史/京都府立大学)、管啓次郎(比較詩学/明治大学=司会)
日時 2016年3月11日(金)14時~16時
場所 明治大学中野キャンパス5階ホール
主催 明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻
予約不要・入場無料



「東京新聞」3月6日

おととい日曜日の「東京新聞」に、丸山健二『我ら亡きあとに津波よ来たれ』(左右社)の書評を書きました。上下2巻で1100ページを優に越える大作。波が永遠に押し寄せてくるかのようなそのページ風景に、異様なまでの迫力があります。実際に手にとってごらんになることをお勧めします。