1)生命と言語をめぐる簡単な考察
2)2011年3月11日以降を扱う3冊の本。畠山直哉『気仙川』、志賀理江子『螺旋海岸』、遠藤水城『陸の果て、自己への配慮』
3)東京事典「Uncovering / Walking」
以下に、1のノート(30項目)を転記しておきます。
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新領域創造特論 2013年4月25日
メディア、生命、言語、世界をめぐるノート
1 Medium, media. 媒質、媒体。情報媒体は、みずからは変形をこうむることなく情報を伝える。
2 テクノロジーは共有されることを前提とする。新たなメディア・テクノロジーへの適応は一瞬だ。
3 テクノロジーは人の生活と感受性を同時に変える。その変化は大部分、不可逆的に経験される。
4 メディアはそれ自体としては内容を(数位内容を!)支配しない。
5 しかしメディアがもたらす内容の流れに、われわれの心は大きな影響を受けずにはいない。
6 心とは何か(後述)。それをふりかえるために、生命の誕生以来の歴史を考えてみよう。
7 ミラーの実験。単細胞生物の成立。構造と機能の生成。First-order
autopoiesis.
8 多細胞体制、細胞社会の成立。Second-order autopoiesis. 構造的カップリング。
9 有性生殖、2つの<個>のカップリング。種社会の成立。Third-order
autopoiesis.
10 種社会は他のすべての種社会と構造的にカップリングされ、すべてが環境を構成する。
11 生命の個は外部環境を解読し、その反応によってみずからの行動を調整して生存を図る。
12 この観点からするならば生命現象とはsemioticな適応だといっていい(後述)。
13 ふたたび、心とは何か。われわれの心はイメージと言語を素材としてできている。
14 一方、それは身体の経験とつねに接触し、そこから全面的な影響を受けてもいる。
15 心とは個の生存のために世界を解釈しつつ、心みずからを作り替えてゆくものでもある。
16 心の目的とは生存であり、そのつどの時点における適応のための解の創出だ。
17 心はつねに新しいイメージ=言語流にさらされ、<世界>と<自己>を同時に像として制作する。
18 心にとって、すべての変化への契機は外から到来する(イメージ、言語、身体的経験)。
19 生命とセミオーシス(記号過程)。パースによる記号分類。Index /
icon / symbolの区別。
20 Indexとiconはおそらく他の哺乳動物も解読している。Symbol (conventional sign)は?
21 言語とは不在物をめぐる行動の調整(同種間)のために生物が編み出した様式のことだ。
22 ヒトの言語は不在物指示の機能を極端なまでに高めている。非在の現前。
23 詩的言語と供儀の関係。花と不在の花、鹿と不在の鹿。
24 不在物を特徴づけるのはその取得可能性であり、財としての潜在的価値だ。
25 財を測る指標として発明されたのが貨幣だが、貨幣は最初から言語の裏打ちを受けている。
26 共同体間の財の交換をめぐる媒体としての貨幣は、始めから言語の翻訳可能性に直面している。信用。
27 不在物を含んだ総体としての<世界>は想像力による以外到達しえない。
28 イメージ=言語複合としての世界=私カップルを制作し改変しながら生きてゆくのがわれわれ。
29 ヘレン・ケラーによる世界制作ほど言語の驚異的な力、不気味な力を証明するものはない。
30 彼女が作った世界像がcompatibleであること。完全に想像的な世界。創造は想像に始まるしかない。