2011年1月31日月曜日

『赤と白と黒の遠近法』(余田真也)

快晴の日曜午後、秋葉原からつくばエクスプレスに乗り、初めて筑波に行ってきました。余田真也さん(和光大学教授)の渾身の博士論文『赤と白と黒の遠近法 インディアンをめぐるアメリカ文学地図』の審査のため。

原稿用紙換算で1300枚の長大な論文ですが、一気に読みました。アメリカ・インディアン文学をアメリカ文学のサブジャンルとして固定化するべきではない、という姿勢に共感。なぜなら、じつはそれは先住民、白人、黒人のさまざまなコンタクトゾーン、ボーダーゾーンで多種多様なかたちで発生し表面化する作品群の錯綜体なのだから。いわばクレオリティのパラダイムから見られた、まったく新しいインディアン文学論です。

考えるべきことは(答えのないものまでも含めて)すべてこの論文に出つくしていると感じました。ぼくが1989年にニューメキシコ大学の大学院に入って以来、つかず離れずで関心をもってきた数人の作家たちも、みんな登場。また、オクラホマという土地がもつきわめて重要な意味など、ぼくの視野にはなかった多くのポイントも教わりました。

こういう努力の痕跡にふれると、やる気が湧いてきます。この論文はぜひこのままのかたちで出版してほしいものです。日本語世界にとってのかけがえのない窓になるでしょう。主査は宮本陽一郎さん。副査は鷲津浩子さん、斎藤一さん(以上、筑波大学)、そしてぼくでした。