Wednesday, 29 August 2012

フェリックス、猫ではなく

きょう29日はフェリックス・ガタリが死んで20年めの命日。彼が残した数々の言葉のアレンジメントをよみがえらせたい時です。創造のために、再創造のために。

『銀河鉄道の夜』秋ツアー予告編

朗読劇『銀河鉄道の夜』の秋ツアーも間近。予告編映像(河合宏樹監督)を公開しました。ぜひ見にきてください、そしておともだちに教えてあげてください。

http://milkyway-railway.com/

ベオグラードにて

ベオグラード大学での学会「近代文化 スラヴと日本の対話」が始まりました。初日の昨日、ぼくはThe Sense of Nature in Poetryという発表(+詩の朗読)を行いました。

初めてのセルビア、ベオグラード。ずっとこの街に住む山崎佳代子さんからのお招きです。スロヴェニアと並んで、これからきっと何度か訪れることになりそうな予感。

Tuesday, 28 August 2012

Storm Last Night / Earth Rain House

津田直さんの新作展。9月8日(土)に津田さんとぼくとの対談があります。

ぜひ来てください!

http://cweb.canon.jp/gallery/archive/tsuda-earthrainhouse/index.html

Saturday, 25 August 2012

「白い城」!

スロヴェニアに来たのはいいけれど、スラヴ系言語の知識がまったくない。最初の発見はホテルの部屋。Sobaと書かれている。これが部屋。ところが別のところにはSobeと書かれていて、現実の文脈から、それが複数形だということがわかった。なるほど。

ホテルの裏手はお城。歩いてゆく道の表示にはGradと書かれている。英語の感覚だと「大学院生」みたいだけど、これがお城なのは明らか。そうして歩いているうちに、次の目的地である「ベオグラード」のことをふと思った。お隣のセルボ=クロアチア語でも、「グラード」が城にちがいない。しかもベオ? ベル? それはここでは「白」でありベラルーシが白ロシアであることから見てもスラヴ諸語ではたぶん共通。

だったらベルグラードは、「白い城」! ああ、きっとそうだ。明日確認しよう。明日はベオグラード。発表原稿はまだ作業中。

読売書評#15

丹羽美之・吉見俊哉編『岩波映画の1億フレーム』(東京大学出版会)。

8月19日掲載でした。

Friday, 24 August 2012

声の祭典

スロヴェニアの小さな古い古い城下町プトゥイでの詩の祭典Dnevi poezije in vinaが熱く熱く進行中です。水曜の晩が初日。町の広場の特設ステージで朗読をしました。順番は以下のとおり。

和合亮一(日本)
アンドレ・ヴェルテル(フランス)
マテヤ・ビジャク・プチ(スロヴェニア)
セミエル・インサイフ(オーストリア)
マアヤ・カングロ(エストニア)
管啓次郎(日本)

和合さんの強烈な熱をはらんだ朗読は、その「機関車、機関車」のリフレインとともに万雷の拍手で迎えられました。そこからは目もくらむ(耳も惑う?)多言語空間。しかし多様な声がきりひらいてゆく空間のおもしろさに、みんなの集中ぶりがどんどん高まります。

最後のぼくは「Walking」連作からの4つと「非在の波」の3つ。ワークショップでスロヴェニアの詩人たちが仕上げてくれた翻訳が字幕に映写され、そのまえでじゅうぶんな時間をとって読むことができました。

三角みづ紀さんが動画を撮ってくれました。ごらんください。今夜はみづ紀さんと野村喜和夫さん。明日は福間健二監督の登場です!

http://www.youtube.com/watch?v=O8tB_YWJFAc




Monday, 20 August 2012

スロヴェニアにて

今年の欧州文化首都はマリボル(スロヴェニア)とギマランイシュ(ポルトガル)。前者の関連企画として開催される詩のフェスティヴァルおよび詩の翻訳ワークショップに招待され、中世以来の小さな城下町プトゥイに滞在しています。日本からの詩人は、福間健二、野村喜和夫、和合亮一、三角みづ紀のみなさんと、ぼく。

ほんとうに雲ひとつない青空、暑い! オーストリアのグラーツ空港からやってきたのですが、ほんとにいいところで、料理もおいしく、町の人々も親切。遠い山並みを見ると、そこはすでに狼たちの土地。

土曜日まで楽しんでやってみようと思います。まずは自作朗読が大きな試練です。

Saturday, 18 August 2012

青森の清岡智比古

今回のImaginAsia 2012でスタッフの一員として大活躍したのが、わが同僚、清岡智比古さん。充実した青森体験を彼のブログで報告してくれました。

http://tomo-524.blogspot.co.at/

いろいろ大変だったと思いますが、その分も楽しんでもらえてよかった! おなじくつかのまのルームメイトだった富田俊明さんのスキンヘッドが神々しく輝く写真、必見です。

清岡さん、ぜひ来年もよろしく。台湾かタイに、一緒に行きましょう。

Monday, 13 August 2012

「アフンルパル通信」13号

札幌の書肆吉成が発行する奇跡の文芸冊子、それが「アフンルパル通信」。13号が完成しました。今回は写真が東松照明さん!執筆陣は

鵜飼哲
吉増剛造
宇波彰
宇田川洋
小川基
山田航

そしてぼくです。ぼくは「Agend'Ars」新作3片。今号には春の釧路This isでの朗読会で山田航さんが読んでくれた感動の長歌「啄木遠景」が収録されています。

 「しゃぼん玉 答えはなべてしゃぼん玉」

このリフレインがいまも耳に残っています!

お求めは書肆吉成へどうぞ。http://camenosima.com

詩集の中に

ぼくの第3詩集『海に降る雨』は9月21日発売。いま制作の最終段階です。

この中に「投げ込み」として、左右社からのこれまでのぼくの本についての小さな紹介チラシを入れてもらえることになりました。そのために特別に書いたのが、以下の文。

ぜひ詩集をごらんください!

「詩について考えることはいろいろあるけれど、詩が果たす役割はと訊ねられるとき、答えはだんだん決まってきた。詩はreminderであり、人がふだん忘れている心と知識の層を思い出させる。また詩は前線の通過のように、人の心の気象を変えることを使命とするのだとも思う。ぼく自身は土地と天候とその場で出会った言葉の記憶に対する直接的な反応として詩を書いてきた。それを読む人が、それまで感じなかったことを感じ考えなかったことを考えてくれればいいと思う。そして忘れてください。すべての文は忘れられたとき、もっともよくその使命を果たすのだから」

Saturday, 11 August 2012

五輪なし

テレビをまったく見ないぼくにも、いろいろな場所で断片的にオリンピック関係の放送が流れこんできます。24時間、オリンピックを報道しているんだろうか? 不要、不要。それより外遊びができない福島の子供たちがどんな夏休みを送っているかを実況中継してほしい。

Friday, 10 August 2012

ImaginAsia 2012

台湾の国立政治大学とのあいだに2010年に始まった国際ワークショップがImaginAsia。試練の3年目でしたが、タイのチュラロンコン大学を加えて3大学による共同運営、大成功でした。

5日の明治大学猿楽町校舎でのレセプションに始まり、10日の青森市内でのフェアウェル昼食会まで。その間、青森公立大学のすばらしい国際交流ハウスを宿舎に、大学院生たちが少人数のグループに分かれて映像制作にとりくみました。

9日夜の最終発表会ではみんな48時間以内での制作とは思えない力作を披露。見に来てくれた国際芸術センター青森の学芸員、服部浩之さんと金子由紀子さんからも鋭いコメントをいただいて、学生たちにはまたとない機会となりました。

運営も学生たち主体(含む卒業生)でしたが、すべてきちんと組み立ててくれて、感動しました。ありがとう、今回の成功はきみたちの栄光です。

来年以後も、台湾で、タイで、ふたたび日本で、アジアの別のヴィジョンを求める旅をつづけましょう。

学生たちはディジタルコンテンツ、映像・写真、広告、グラフィック・デザイン、ウェブデザインなどを専攻しているみんなで、それぞれの技術とアイデアを持ち寄って作品にします。ダンサーもいます。ミュージシャンもいるのですが、その場で作品のための音楽を制作するにはいたらず。

日本の大学の音楽系の人で、このワークショップへの参加に興味がある方は、ぜひ連絡してください。教員1名+学生5〜6名が理想的な数字です。

想像亜洲、しばらくは続けます!

Sunday, 5 August 2012

「夏の一冊」

読売書評欄、今週(5日)は「夏の一冊」特集です。ぼくはW.G.ゼーバルト『土星の環』を選びました。

岡田温司さんの『神曲』、朝吹真理子さんの『笛吹川』などと並んで、小泉今日子さんがアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの『オートバイ』をあげているのに、おっと思いました。

それではみなさん、よい読書の夏を!

映画とフロッタージュ

8月4日〜8日まで、UPLINKでは「映画/千夜、一夜」と題する連続上映会が開催されます。

昨晩はその初日。2本のドキュメンタリー『槌音』(大久保愉伊、2011年、20分)と『わたしたちの間の徴』(宮岡秀行、2012年、66分)を見ました。

岩手県大槌町出身の監督が津波の後と以前の町を撮った前者は、広い海、降りしきる雪、昔の祭り、瓦礫のあいだの歩行などがつむぐ、しーんとした悲哀の時。後者ではフロッタージュの美術家・岡部昌生のアーティストとしての偉大さが、根室の飛行場跡に、広島の街路に、心の炎を灯していきます。フロッタージュだけでなく紙に土地の土を水で溶いて流してゆく「土の記憶」シリーズも壮絶。2007年にヴェネツィア・ビエンナーレでコミッショナーとして岡部さんの展示を準備した港千尋くんとの、岡部さんのアトリエ裏庭での対談シーンも、随時はさみこまれてゆきます。ロビーではこの日限りの、岡部さんの作品展示もありました。

上映後、岡部さんとぼくとの対談が予定されていたのですが、フランス行きの飛行機に乗れなかった港くんが急遽かけつけてくれて、3人の鼎談になりました。かなり充実した話になったのは、司会の藤井裕子さんのおかげ。ありがとうございました。

フロッタージュ。岡部さんの手が全身がとりくむ、その技法の射程と思想に打たれました。


Thursday, 2 August 2012

別冊太陽「中上健次」

没後20年を記念しての中上健次特集。充実しています。ぼくは監修の高澤秀次さんの求めに応じて、クレオル文学との対比を書きました。「声の記憶、文字の言葉 クレオル文学と中上文学の接点」です。短いものですが、ごらんください。

Wednesday, 1 August 2012

「水牛のように」8月号

「水牛のように」更新されました。ぼくは「犬狼詩集」を今月も6片。シリーズ「時制論」も、これで24ピースです。これからも、どんどん。

http://www.suigyu.com/sg1208.html#08