Wednesday, 29 December 2010

2期入試出願迫る

新領域創造専攻大学院の2期入試、出願は1月12〜18日です。

http://www.meiji.ac.jp/sst/grad/examination/

入学志望の人は、必ず試験前に、希望する指導教員(宮下、福地、倉石、ぼく)に連絡をください。研究テーマによっては別の人の指導を受けるよう勧める場合があります。

ぼくの研究室は「コンテンツ批評」と「デザイン人類学」を名乗っていますが、現代世界文化研究のすべての側面に対応します。ただし、書くことを重視します。文字で書くのでなければ、写真・映像による作品制作も歓迎します。

2011年夏にはASLE-Japan(文学/環境学会)の大会を明治大学生田キャンパスで開催することが決まっています。これにもぜひ積極的に参加してください。

For those of you who are interested, you may choose to pursue your degree exclusively in English. The courses are mostly offered in Japanese, but you may always write your term papers and master's thesis in English.  Come enjoy the ride with us! So far we have had students from Canada, China, Korea, and a Brazilian student is applying for the year 2011. I want to make my team as transnational and translingual as possible. Reading knowledge of Japanese is mandatory, but otherwise I'd like to accommodate you in the best way that is pragmatically possible.

樹の詩・中国語訳(譚仁岸)

「樹木」展には現在ぼくの詩の連作が11篇展示されていますが、一橋大大学院で比較文学を研究している中国からの留学生の譚仁岸さんが、そのいくつかを中国語に訳してくれました。ぼくは中国語はわからないけれど、大変にうれしいことです。そのひとつを。


植物一旦芽,一生便只能在此度
灵魂一旦芽,便只能像珊瑚一
尽管有定居与流浪的区
两者都是在与重力的不断交涉之中活着
能看穿他共通的模式?
木的年
珊瑚完成白色的死亡
木在落雷下焦黑如烤
珊瑚着小丑与海牛
悠哉游哉的雅生活
而我呢,只有移动视
想象些既非自己亦非他人的生命
各自大的活法
也会一想象一等待闪电
也会担海水温度上升的危机
我的身体是珊瑚,皮肤是剥落的薄


原詩は以下のとおりです。


植物は発芽すれば一生そこで過ごすしかない
魂は発芽すればあとは珊瑚のように成長するだけ
定住と放浪のちがいはあっても
どちらも重力との交渉を重ねて生きる
そこに共通するパターンを見抜けるだろうか
樹木は年輪を重ねる
珊瑚は白く死滅して鉱物になる
樹木は落雷に鳥のように焦げる
珊瑚はクマノミやウミウシの
遊びじみた優雅な暮らしを守っている
ぼくはといえばただ視点を移動して
こうした自分でもヒトでもない生命たちの
それぞれに偉大な生き方を想像するだけ
想像しながら稲妻を待つだろう
海水温の危機的な上昇に脅えるだろう
私の骨は珊瑚、肌は薄く剝ける樹皮

ありがとう、譚さん! ぜひ『Agend'Ars』全編の翻訳にとりくんでください。

Tuesday, 28 December 2010

来年は

あと3日で今年も終わりか。慌ただしさは続きます。来年の予定もいろいろ入ってきました。

2月19日 札幌のモエレ沼公園で佐々木愛さんとの対談。
2月26日 千駄ヶ谷のビブリオテークで西山雄二さんとの対談。
3月12日 大阪大学で翻訳を主題とする講演。
3月31日 アジア研究学会(ホノルル)でリービ英雄さんを囲むセッション。

それより何より、翻訳の実践がすべて。そのように活動を整理していきたい。あとはひたすら歩くだけ。

「考える人」35号

「考える人」2011年冬号は特集・紀行文学を読もう。ぼくはアンケート「私の好きな旅の本ベスト3」に参加しています。

いったい何を選んだか? ぜひごらんください。細川周平さんがぼくの『コロンブスの犬』(1989年)を選んでくださいましたが、周平さんの『トランスイタリア・エクスプレス』は、まちがいなくぼくがもっとも大きな影響を受けた旅の本のひとつ。どこかから文庫で再刊してほしいと願っています。

Monday, 27 December 2010

年末年始のギャラリー

われわれの「樹木」展が進行中のGallery ZERO(明治大学生田図書館内)ですが、年内は本日27日の午後4時30分までです。

新年は5日(水)の午前10時に再開します。

佐々木愛さんの絵、兼田言子さんの写真、その他の作品に、原一弘のフィールドレコーディングによる樹木の音、森の音がかぶさり、いい雰囲気。展示図書をゆっくりごらんいただけば、2時間は楽しめる場所です。

ぜひ散歩がてら、お出かけください。

Sunday, 26 December 2010

日本列島と「ミクロネシア」(1月22日)

ミクロネシアで育ったアメリカ人の太平洋研究者グレッグ・ドボルザークさんの講演「日本列島と<ミクロネシア>」を、来年の1月22日に明治大学で開催します。対話の相手は今福龍太さん。島々から見た世界を語り合うには最適のお二人です(使用言語は日本語)。

ぜひカレンダーにマルをつけて、遊びにきてください。入場無料ですが、予約をお願いいたします。

http://www.meiji.ac.jp/koho/hus/html/dtl_0007135.html

とにかく1200時間を

先日、22日、現在進行中の修士論文の「完成間近報告」のための臨時ゼミを開催した。ところが、よくない。非常によくない。あまりにも費やしている時間の絶対量が不足している。

別のところで、学部学生に修士課程のことを話していて、「修論にはだいたい1200時間かかるよ」と答えた。修士の1年目に必要単位をとり、2年目は修論に専念するとして、4時間×300日。他にもバイトだのいろいろやることがあるということを計算に入れても、これが最低限の数字。理想的には2400時間をかけるべきだ。

ひとつの外国語の基本を身につけるにはだいたい500時間かかると昔からいわれているが、修論の場合、少なくとも読むのに1000時間、書くのに200時間をかけてほしい。1時間で3枚書けるとすれば、100時間で300枚書ける。それに100時間の推敲を重ねて、最終的に120〜150枚の論文になれば、まずまず格好がつくだろう。

ところが現状は、あまりにも時間をかけていない。たとえば就活を、大義名分にしてはいけない。大学院は、あくまでも研究をし、論文を書くための場。以前、大学院に入ったのに「論文を書きたくない」というどうにも理解に苦しむことを平気で口にする者がいたが、それでは野球チームに入団しながら「試合に出たくない」というようなもの。まったくバカげている。

論文を書いているあいだは、クリスマスも正月もないのがあたりまえ。起きているかぎりのすべての時間を使って、最大限の努力をすること。正月は3ヶ月ずらして、2月末に最終審査を終えてから、みんなでお雑煮でも作ることにしよう。

さいわい、というか、1日に10時間の作業を30日続ければ、1ヶ月で300時間は達成できる。実際、たとえば数理ビジネス系でアクチュアリ試験を受けている人などは、その程度のペースで準備にとりくんでいる。

健闘を祈る。

Saturday, 25 December 2010

あと1週間

今年もあと1週間。毎年、この時期は、焦燥にかられている。冬至はそれなりの気持ちで迎えるけれど、キリスト教徒ではないので降誕祭を祝わないし、お正月はまるで興味がなく休むつもりもない。ただ日々のペースを崩さずに暮らしたいと願うのみ。

それでも今年果たすべきことのどれだけが果たされていないかを思うと、慄然とする。目先のことに右往左往し、とりくむべき仕事を後回しにしてしまった。カレンダーが変わるのを待つよりも、いまからはっきり目標を見すえて、体勢を立て直したい。

自分の、真の相手がいる。死んでしまった詩人や、まもなく確実に死んでゆく作家。かれらとの対話を、すべてを超えて優先させたい。ということで、早くも2011年モード。でもそのまえに大掃除を、整理整頓を。

Friday, 24 December 2010

Ayuoのおもしろさ

「樹木」展の関連企画、Ayuoによる特別講義「蛇と樹」は、ぶじ終了しました。すばらしかった! これは結構、歴史的イベントだったかも。明治の学生の数が少ないのが残念すぎた。

Ayuoさんはユーラシア大陸の端から端までという感じで7、8種類の弦楽器を用意してくれて、理論を語り、実演し、歌い、踊りの大活躍。e.e.cummingsの詩にJohn Cageが曲をつけた歌から最後のThe Lamiaまで、その圧倒的なパフォーマンスにみんなジーンと感動しました。

途中、ぼくは自作の3篇を朗読。今回の「樹木」展のために書いた11篇のうちの3つです。これにAyuoが、アイリッシュ・ハープ、ハーディガーディ、アイリッシュ・ブズーキで順次即興の伴奏をつけてくれました。

これはおもしろい! 自分ひとりでボソボソ読むのとはちがって、音の高まりが強いてくるある種の沈黙をみずから聞きながら、次の一歩を踏み出す感じ。いやでもパフォーマティヴな力が高まってきて、思いがけない視界が開けた感じです。

これまで何度か朗読をやってきたけれど、伴奏つきは初めて。これはまたやりたい。特にハーディガーディの、小動物のような軋み音が気に入りました。こっちもコヨーテの遠吠えで答えたくなる。

Ayuoさん、ありがとうございました。そしてAyuo紹介を即興で担当してくれた粟津ケンさんも、ありがとうございました。大学院生のスタッフのみんなも、万事卒なくこなしてくれました。ごくろうさま。

クリスマス直前の、ソウルフルな一夜でした。

Wednesday, 22 December 2010

三田

慶應義塾大学文学部の総合講義科目「死と再生」でゲスト講義を担当しました。ぼくの主題は「ヒトと動物の死と再生」。クッツェーの『動物のいのち』を手がかりに、おびただしい動物たちを日々殺しつづけるわれわれの種社会の特質を考えてみよう、と誘う話。

三好達治、村野四郎、田村隆一、テッド・ヒューズの動物詩から出発して、動物とヒトのコミュニケーション全般を論じ、ついで宮澤賢治の「なめとこ山の熊」の分析に入り、最後にエイミー・ベンダーの短編「飢饉」に表れる再生の感覚を論じるつもりだったのですが、「なめとこ山」にすらたどりつけなかった。

http://web.mita.keio.ac.jp/~tatsumi/sogo/2010/12/_.html

途中で脱線して犬の話ばかりになり、自分の好きなピットブルやオールド・イングリッシュ・ブルドッグの話をしていると、むしろそのほうがみんなが起きていたので、そのまま。そして時間切れ。

でもいい経験でした。慶應のキャンパスに足を踏み入れるのは十数年ぶりですが、巽孝之さんや宇沢美子さんともゆっくり話ができて、充実した一日になりました。

そして特筆すべき非常にうれしい偶然は、現代日本の最高の詩人の一人である朝吹亮二さんに、たぶん23年ぶりにお目にかかったこと。ちょっと立ち話しただけですが、今年の締めくくりはこれでいいような気が。

「死と再生」の次回(最終回)は来年1月、宮内勝典さんです!

Monday, 20 December 2010

「感動をありがとう!」フィガロ・ジャポン

「フィガロ・ジャポン」2月号は、恒例の年末読書特集。「感動をありがとう! 2010年のベスト10冊」に、ぼくの『斜線の旅』も選ばれています(選者は大竹昭子さんほか3名の方々のチーム)。

ことにうれしさが増すのは、おなじ10冊にチママンダ・アディーチェ『半分のぼった黄色い太陽』(くぼたのぞみ訳)やロベルト・ボラーニョ『野生の探偵たち』(柳原孝敦+松本健二訳)といった、友人たちの立派な訳業が入っていること。またミランダ・ジュライの傑作『いちばんここに似合う人』(岸本佐知子訳)も。

どれもすべての本の世界から見るとジミな感じのする、でも本気の、世界文学の最前線です。女性雑誌(男性雑誌、あるいはジェンダー・フリーなすべての雑誌)で、ここまで趣味のいいセレクションを見せているものは他にないでしょう。選者のみなさんの鋭い選択眼に感謝。

また個人の選者のみなさんによる「フィガロ図書館」では、堀江敏幸さんが『本は読めないものだから心配するな』を3冊のうちの1つとして選んでくださいました。

こちらもうれしさが増すのは、堀江先生・選の他の2冊が内田百閒先生の『阿房列車』と團伊玖磨先生の『パイプのけむり』だということ。いずれもぼくのかつての愛読書です。

「本はたえず流れ続ける。旅をする言葉のように、言葉になる旅のように」(堀江さんの評から)。

いずれも2009年刊行の2冊が、こうして2011年まで生き延びてくれることに、本の神様やその他すべての神々に、つまり世界に、感謝したいと思います。

Saturday, 18 December 2010

澁谷征司×近藤一弥、明日

ディジタルコンテンツ系の兼任講師でもあるデザイナーの近藤一弥さんの出演イベントです。デザインおよび写真に興味のある人は、明日、ぜひ赤々舎へどうぞ!

現在開催中の澁谷征司展「DANCE」に関連して、下記のイベントを行います。
日曜の午後から夕方にかけて、連続して行うトークショー、ご都合のよい時間にお越しください。


::第1部::
<澁谷征司、黒田光一、姫野希美による鼎談>

》日時
12月19日(日) 14時スタート

現在、個展「こころ」を開いている写真家の黒田さん。
互いのスライドショーとともに、写真を考える本質的な対話が楽しみです。


::第2部::
<澁谷征司、近藤一弥によるトークショー>

》日時
12月19日(日)17時スタート

アートディレクターの近藤さんは、「BIRTH」「DANCE」ともにデザインし、そもそも澁谷さんを赤々舎に紹介してくださった方。


澁谷征司の写真をもっともよく知る方と言えます。
近藤さんのお話自体、とても貴重な機会です。


ともに場所はAKAAKAです。
ご予約不要、入場無料。
ぜひゆっくりお越しください。



 株式会社 赤々舍
 〒135-0021 東京都江東区白河2-5-10
 Tel: 03.5620.1475/Fax: 03.5620.1479
 ))))))))))  http://www.akaaka.com/


 

「お前はまだ本を読むな」

「お前はまだ本を読むな。そこに書いてあることは誰かが書いたやつの引き写しかもしれないぞ。お前はまだ人の話を聞くな。誰かが話したことのまた聞きかもしれないぞ。見ろ、この大地を。」

チュクセン教授が宮脇にいった言葉(一志治夫『魂の森を行け』新潮文庫より)

Friday, 17 December 2010

REPRE 11

表象文化論学会のニューズレター「REPRE」に、田中純『イメージの自然史』(羽鳥書店』の紹介を書きました。

http://repre.org/repre/vol11/books/06.html

この本も、われわれのゼミの必読書に指定します。

Tuesday, 14 December 2010

23日はAyuoの特別講義!

Ayuo (高橋鮎生)さんの特別講義、いよいよ来週です。まず「樹木」展を見て、それからこちらをどうぞ。大きな会場ですから、みなさんぜひおともだちを誘ってください。よろしくお願いします!

特別講義 Ayuo(音楽家)
「蛇と樹 音楽の歴史的・神話的起源について」

最初の楽器とは何だったのだろう?
弓と矢がそれだったのか?

台湾のある先住民部族は狩猟用の弓を楽器として用いる。音階はペンタトニック・スケール。

ペンタトニック・スケールは地球上に驚くべきひろがりをもっている。アフリカのメロディー、ブルーズ、アイルランドやスコットランドをはじめとするケルト系音楽、そして東アジアの音楽でも。このスケールは神話的・宗教的な意味をおびていた。

古代バビロンの新年の祭儀、ペルシャから中国へのモードの伝播。メソポタミア文明におけるハープの誕生以来の世界音楽の広がりと木製の楽器の多様性(日本の琵琶、中国のピパ、ペルシャのバルバット)を語りつつ、エネルギーの形象としての蛇がもつ象徴的な意味を探り、ギリシャの蛇=女神を題材とする歌「ラミア」他の曲を実演する。

世界音楽の根源と最前線に同時にふれるスリリングな講義です。ぜひお誘い合わせの上、ご聴講ください。

日時 12月23日(木・祝)15:30〜17:30
会場 明治大学生田キャンパス中央校舎6階 メディアホール

(「中央校舎」は生田キャンパス中央に位置する6階だての白い建物。内部は吹き抜けの大きな空間になっています。すぐわかります。)

主催 明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系 
予約不要・入場無料

Ayuo

1960年生まれ。ニューヨークで育ち、小学生のころから60年代後半のアメリカの実験音楽、アート、文学、サイケデリック・カルチャーに強い影響を受ける。8歳よりギターを習い始め、83年以後18枚のソロ・アルバムをアメリカと日本で発表。独自の調弦方法のギター・スタイルを作り、他にもさまざまな楽器を演奏し、古代音楽にみられる世界の繋がりを独自のサウンドで創作しつづけている。音楽・文学・映画・歴史・神話と科学についての執筆の依頼も多い。CDの近作として『AOI』『Red Moon』『絵の中の姿』などが発売されている。最新のCD『dna』は2009年9月25日発売。ホームページ www.ayuo.net 

10年間を1分25秒で

清岡智比古さんのブログに紹介されているこのビデオ作品(というかコマ撮りアニメーション?)、最高です。

http://fr.news.yahoo.com/54/20101210/video/ven-elle-vieillit-de-10-ans-en-1-minute2-d34fe38.html



Monday, 13 December 2010

石川直樹のために

12日(日)、ジュンク堂新宿店で石川直樹さんの新しい写真集『Corona』(青土社)の刊行記念イベント。コンピュータの不慮のトラブルで映像を見ていただけなくなりましたが、写真集をひろげての紙芝居的解説を温かく見守ってくださったみなさん、本当にありがとうございました。

ポリネシアの大三角形は、見えない大陸。石川さんの旅とぼくの旅が大きく交差する地域なので、ぼくもスライドショーを準備していったのですけれど、これもあきらめ。でもかえって、言葉で欠落を埋めてゆく共同作業に真剣にとりくめたようにも思います。

ぼくはOmninesiaと題する小詩集を準備してゆき、朗読しました。16行詩を7篇。そのうちのひとつ、石川直樹へのオマージュとして書いたものを下に掲載しておきます。スライドショーはまた次の機会に!



  7 忘却を忘却にまかせないために

忘却に対する抵抗こそ最大の冒険
星を見上げ星座により自分の位置を知ることを
われわれは忘れてしまった
それで航海が偶然への船出となり
もうどこにもゆきつかず、ただ漂流と漂泊がつづく
すべての大都市はわれわれが迷い込んだ
にぎやかでばかげた明るい迷宮
知の糸をくれるはずの土着のアリアドネは
数世紀前から徐々に引退を決意した
けれども波があり森がある
山があり草原と氷原がひろがる
ヒトの世界は小さい
地球そのものの表皮には比べものにならないほど小さい
ヒトが居住を試みたすべての地域の過去四万年に
見失ってはならないwayfaringの技法があった
ぼくはそれを探す

Saturday, 11 December 2010

命名という冒険

明治大学の新農場が黒川に建設されますが、その正式名が公募されています。

http://www.meiji.ac.jp/koho/hus/html/dtl_0007197.html

明治関係者以外でも応募可能な模様。生田キャンパスはその農場の広さと馬たちのおかげで大きく評価が上がっていますが、里山の暮らしをいまに伝える黒川地区での農場の展開は、直接は無関係なぼくにも楽しみです。

ふるってご応募ください。

Monday, 6 December 2010

「樹木」展のために

展示のご挨拶として書いた文章です。


 地球の本質は鉱物の世界。そのごく薄い表皮の部分を菌類と植物が整え、動物たちが生きることのできる環境を作ってくれました。動物の生活は植物に全面的に依存しています。私たちヒトも森で始まり、森から草原や海岸や沙漠といったすべての風土へと進出してゆきました。

 もしも広い草原や沙漠にぽつんと一本の木が立っていたなら、きっとヒトの誰もがその木にむかって歩いてゆくことでしょう。大地と空をむすび宇宙をしめしてくれるのは樹木。すべての木は一本ごとに、その場で宇宙を開きます。

 木は空間を創設し、ヒトに食物と隠れ処を与え、年ごとに循環する生きるための時間を教えてくれます。葉や花や果実をつけ、家や舟や道具を作る素材となり、刻まれたときにさえ美を教えてくれます。燃やされれば熱を放ち、あるいはそこにあるだけで、ヒトと鳥獣や昆虫を近づけてくれます。

 その実質によって、姿によって、イメージによって、樹木と森はわれわれの心を作ってきました。今回の展示がふりかえろうとするのはヒトの進化史の全体にわたるそんな木の意味であり、しめそうと思うのは木に対する小さな感謝の気持ちです。ぜひ、のんびりしたひとときを、この小さな森で楽しんでいただければさいわいです。

 本展は明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系の学生を中心として企画・制作し、ゲストとしてアーティストの佐々木愛さん、写真家の兼田言子さんが参加しています。佐々木さん、兼田さん、ありがとうございました。

2010年12月5日
啓次郎

「樹木」展、はじまりました

5日(日)、われわれの「樹木」展がぶじオープニング。特に小田急沿線の方、ぜひお立ち寄りください。企画コーディネーターの伊藤貴弘くん(博士後期課程1年)、ほんとうにごくろうさまでした。

佐々木愛さんの新作のスライドショー、圧倒されます。兼田言子さんの樹木写真、おもしろく、美しい。学生たちもそれぞれ健闘。ぼくは写真作品2つ、そして詩は16行の連作で、7篇でスタートしましたが、会期中に少しずつ増やしてゆきます。

23日の音楽家Ayuo(高橋鮎生)さんによる特別講義もお楽しみに!

「樹木 木と人の心」 ゲストアーティスト:佐々木愛

すべての樹木は宇宙樹。人を生み、その心を育てた。
樹木と人間の関わりを全面的に考え直してみよう。
写真、映像、絵画、詩、オブジェ、音響などの作品展です。
主題に関連した約200冊の図書もそろえました。

■会期  2010年12月5日(日)〜2011年1月10日(月)※12月28日(火)〜1月4日(火)は休館。
■時間  [平日・12月23日(木)] 9:00〜19:00 [土] 9:00〜18:30 [日・祝] 10:00〜16:30
[12月25日(土)〜12月27日(月)、1月5日(水)〜1月7日(金)] 10:00〜16:30
■会場  明治大学生田図書館Gallery ZERO
〒214-8571 川崎市多摩区東三田 1-1-1 TEL 044-934-7945
※一般の方は図書館入口ゲート横の呼出ボタンにて係の者をお呼び下さい。
※お車でのご来校はご遠慮下さい。
■主催  明治大学大学院理工学研究科ディジタルコンテンツ系管啓次郎研究室
■お問い合わせ  jyumoku2010@gmail.com(「樹木 木と人の心」展実行委員会)
■関連イベント 音楽家Ayuoによる特別講義「蛇と樹 音楽の歴史的・神話的起源」
・日時  12月23日(木・祝)15:30〜17:30
・会場  明治大学生田キャンパス中央校舎6Fメディアホール
・予約不要、入場無料

Saturday, 4 December 2010

「現代詩年鑑2011」

「現代詩手帖」12月号は「現代詩年鑑2011」。2010年に発表された詩140篇が掲載されています。

ぼくの『Agend'Ars』からは「L」と「LI」が収録されました。また関口涼子さんが同書の書評として「豊穣な、具体的な世界の踊り」を書いてくださいました。

「写真」といってもあらゆる傾向の写真があるように、「詩」といってもあらゆる詩があります。ぼくの詩も、たぶん読んでくれる人は30人くらい。でもそれでまったくかまいません。その30人が500年にわたるようであれば、もっとおもしろいけれど!

ところでギャラリーでの「樹木」展の設営は峠を越しました。ぜひ遊びに来てください。お茶も出せませんが、時間が合うときには餃子でも食べに行きましょう。

Friday, 3 December 2010

ハンス・ベルメールの全貌?

雑誌「夜想」の特集「ベルメール 日本の球体関節人形への影響」を見て、衝撃を受けた。雑誌に関して、入魂の一号、という言い方があるなら、これこそそういうものか。シュルレアリスムに興味がある人は必見。ミルキィ・イソベさんのアート・ディレクション、あいかわらず完璧です。ブルーノ・シュルツ「マネキン人形」の西岡兄妹によるマンガ化作品もすごい。

1934年12月に雑誌「ミノトール」にベルメールの作品写真を掲載したアンドレ・ブルトンらも、はじめはベルメール人形を未知の青年からパリに送られてきた「写真」として体験した。それと同等の衝撃が、76年後の東京によみがえる。

関連して、ベルメール作品展、そして本日3日から5日まで、小林嵯峨+NOSURI舞踏公演「夜ひらく薔薇」が行われるそうです。詳細は同誌のサイトwww.yaso-peyotl.comから。

人形も舞踏もぼくはほとんど知らない世界だけれど、それでも強い興味を覚える。この週末はギャラリー準備でどうにも動けないのが残念。

Wednesday, 1 December 2010

「水牛のように」12月号

更新されました、この着実な歩み、水牛の歩み。(ところで水牛って泳ぐこともあるのかな。)

http://www.suigyu.com/sg1012.html#05

ぼくの「犬狼詩集」も続きます。今月の2つめは、去年の12月20日の猿楽町校舎でのワークショップで参考作品として書いたものです。

さあ、早速、新年号の分を書かなくちゃ!

「読み書きクラブ」12月例会

第2回は12月9日(木)に開催します。

http://yomikakiclub.blogspot.com/

参加希望者の方は、お早めにどうぞ。課題を提出するつもりの人は、いま、たったいま、書いてください(この週末でもいいけれど)。

なお第1回の報告は、運営担当の大洞くんのブログを。

http://hobo.no-blog.jp/

それでは12月、がんばりましょう!

日本に氷河が!

今年いちばん(早くも回顧モード)感動したニュースです。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101201k0000m040097000c.html