Thursday, 27 August 2009

名古屋セッションの終了

名古屋市立大学での4日間の集中講義、ぶじ終了。

現代文化の条件を論じるために過去500年のカリブ海を見直しておこう、というのが出発点。年表を順次追ったり、国別(島別)に紹介したりというスタイルではなくて、時間も空間も言語もとびこえていくつかの文章の断片を読み、むすびつけてゆくというかたちだったので、理解しづらい人もいたみたいだったが、全体としては非常に反応がよかったと思う。最後の時間に筆記試験。その問題は以下のとおり。

(1)授業を通じてあなたが発見したことを3点あげて、解説を加えなさい。
(2)授業でふれた内容を生かすかたちであなた自身の「問い」を作成し、自分で答えなさい。

さすがにこの問題だと、15人の答案がみごとに千差万別。採点するほうも、非常におもしろかった。

採点表を提出して、夕方はドイツ文化研究会での講演。翻訳と文学について、漠然と思っていることを話す。あまりまとまりがなかったが、文学関係者以外でも、文化人類学者の野村さんや精神科医の鈴木さんらがわざわざ聞きにきてくださって、とてもありがたかった。でも分野を超えた議論をうまく作り出すことができなかったのは、こっちの力不足。

これからさらに考えて、異文化間のコミュニケーションも、精神病理も、文学創作も、動物芸も、いずれはすべて「翻訳」という観点から論じられるようにしたい。


ともあれ、いい経験だった。誘いの声をかけてくださった土屋さん、ありがとうございました。また、この機会にアリゾナ時代の友人、経済学者の森さんとも10数年ぶりに再会できて、大変にうれしかった。

人の永遠の別れはいつやってくるともしれないのだから、友人たちとの再会は、できるときにしておきたいもの。