「フィガロ・ジャポン」2月号は、恒例の年末読書特集。「感動をありがとう! 2010年のベスト10冊」に、ぼくの『斜線の旅』も選ばれています(選者は大竹昭子さんほか3名の方々のチーム)。
ことにうれしさが増すのは、おなじ10冊にチママンダ・アディーチェ『半分のぼった黄色い太陽』(くぼたのぞみ訳)やロベルト・ボラーニョ『野生の探偵たち』(柳原孝敦+松本健二訳)といった、友人たちの立派な訳業が入っていること。またミランダ・ジュライの傑作『いちばんここに似合う人』(岸本佐知子訳)も。
どれもすべての本の世界から見るとジミな感じのする、でも本気の、世界文学の最前線です。女性雑誌(男性雑誌、あるいはジェンダー・フリーなすべての雑誌)で、ここまで趣味のいいセレクションを見せているものは他にないでしょう。選者のみなさんの鋭い選択眼に感謝。
また個人の選者のみなさんによる「フィガロ図書館」では、堀江敏幸さんが『本は読めないものだから心配するな』を3冊のうちの1つとして選んでくださいました。
こちらもうれしさが増すのは、堀江先生・選の他の2冊が内田百閒先生の『阿房列車』と團伊玖磨先生の『パイプのけむり』だということ。いずれもぼくのかつての愛読書です。
「本はたえず流れ続ける。旅をする言葉のように、言葉になる旅のように」(堀江さんの評から)。
いずれも2009年刊行の2冊が、こうして2011年まで生き延びてくれることに、本の神様やその他すべての神々に、つまり世界に、感謝したいと思います。