2010年5月31日月曜日

三明治とひげちょう

台北に来ています。明日から政治大学とのワークショップ。きょうは宿でいろいろ片付けたり、本を読んだり。

それで町に食事に出ると、ところどころで「三明治」という文字が目につく。明治が三つ、これは何と思っていると、ある店の前で疑問氷解。ほら、あの、パンを使った食べ物でした。音の表記か。

で、三明治はパスし、食べたのは魯肉飯。台湾というとやはりこれ。Formosa Changはチェーン店だけど、おいしい。魯肉飯に野菜炒め、モツの煮込み、そしてキノコ入りのスープ。食べながら、これは絶対にあたるのになぜ日本にないのかなあと思っていると、ありました。「ひげちょう」の名で。

もとは東京にもあったらしいが、いまはなぜか石川県だけで展開中とか。そういう展開はおもしろい。「首都」を飛ばして、直接むすびつくのが。

明日からまだ数日、いろいろ楽しめそう。

「庭、音楽と絵画のあいだで」

その港千尋展のパンフレットのために書いた文章が、オンラインで読めるようになっています。写真の特異性について、さらに考えていきたいところ。

http://www.chukyo-u.ac.jp/c-square/2010/96/kaisetu.html

2010年5月30日日曜日

港千尋と、名古屋で

中京大学のギャラリー、Cスクエアで開催中の港千尋写真展「レヴィ=ストロースの庭」のために、土曜日の午後、同大学の教室で、港くんと対談をしました。

二人で人前で話をするのは2001年12月のジュンク堂池袋以来。なんの打ち合わせもなく始まりましたが、「庭」というトポスの重要性をめぐって、どんどん連想が湧いてきました。

ぼくが話したのは「写真=庭」説。同展のパンフレットに書いた内容を、さらに発展させています。

そして驚いたのは、今月の「ユリイカ」に載せたぼくの詩の連作が、まさにレヴィ=ストロース(的な人物像)に始まり庭に終わるものだったということ。書いたのも少し前だし、まったく意図していませんでしたが、謎のシンクロ。

土曜日はフランス文学会のきわめて重要なシュルレアリスム・セッションに行きたかったのですが、それはかなわず。でも楽しい午後を懐かしい名古屋で過ごせて、満足しました。

つねに刺激的な企画を実現しているCスクエアには、またこれからも足を運びたいものです。

2010年5月28日金曜日

「風の旅人」40号

類のないグラフ雑誌「風の旅人」もついに40号。今回の特集は「二つの時間/境の旅」です。ぼくは連載「斜線の旅」で、竹富島の話を寄稿しました。ぜひ、どうぞ!

「図書新聞」2968号

「図書新聞」6月5日号、越川芳明さんとの対談の後編です。ごらんください。

「ユリイカ」2010年6月号

「ユリイカ」6月号は橋本治特集。その特集とはまったく独立に、ぼくの進行中の連作詩「Agend'Ars」からの6編が掲載されています。

これは16行詩のシリーズで、64編ごとに1冊。その第1分冊を、いよいよ今年の秋には出したいと思っています。といっても版元その他すべて未定ですが。

「たまや」「アフンルパル通信」「水牛だより」などに掲載したものを集めていくことになりますが、2、3編ずつ掲載していただける紙媒体を、つねに求めています。ご興味があれば、ぜひご連絡ください。まもなく創刊の「北と南」にも6編を寄稿しました。

この1月にスタンフォードで朗読した6編(佐々木愛さんの絵とともに発表)も入ります。なお、こうした動きと並行して、いくつかの詩編のスペイン語訳、英訳などの出版準備も進行中です。

さしあたっての目標は64×4=256編の完成。さあ、いつ達成できることか。ともかく、やってみます!

2010年5月24日月曜日

葉子から新吾へ

「東京新聞」5月20日の夕刊のコラム(放射線)で、多和田葉子さんが津田新吾の手書きの文字について、すばらしいエッセーを書いています。

多和田さんがふれている鼎談は、2004年の春、小石川の植物園で多和田さん、野崎さんとぼくがやったもの。津田夫妻が同席し、「ユリイカ」の山本さんも一緒でした。なんとも華やいだ気持ちの、しずかなひとときでした。

なつかしい。本当になつかしい。もう二度と来ない時だけれど、その時の充実を刻まれて、われわれはこれからも生きてゆくのでしょう。

文字を大切に。これからは肉筆で。悪筆なぼくにはツライけど、それでも。

2010年5月23日日曜日

『斜線の旅』書評(産經新聞、5月23日)

出版から5ヶ月以上経って、早くも忘れられた一冊となりかけている『斜線の旅』ですが、きょうの産經新聞に書評が掲載されました。すでにオンラインで読めます。

http://sankei.jp.msn.com/culture/books/100523/bks1005231018004-n1.htm

評者は同紙文化部編集委員の篠原知存さん。在庫のない大型書店も多いけれど、青山ブックセンター本店に行けば、どんと積まれています。

旅のおともにぜひどうぞ!(といっても、楽しい気持ちにはなれないかも。)

2010年5月22日土曜日

想像亜州!

いよいよ目前に迫ってきた台北での政治大学コミュニケーション学部との共同ワークショップ。政治大学のホームページからです。

http://comm.nccu.edu.tw/post/508

さあ、どんな驚きが待っていることか! ディジタルコンテンツ系の学生たちには確実に大きな経験になることでしょう。本当に楽しみです。

2010年5月21日金曜日

「図書新聞」5月29日号

「図書新聞」に、越川芳明さんとの対談が、今週と来週に分けて掲載されます。 「翻訳者たちは昇天する」と題されたこれは、2月9日の青山ブックセンター本店「旅と翻訳」の記録。

読み直してみると案外おもしろい。ぜひごらんください。

お世話になった同紙の蓑田知佐さん、ありがとうございました!

2010年5月18日火曜日

「本の島」対話

日曜日、青山ブックセンターでの「本の島」対話は、おかげさまで70名以上の方に来ていただき、大成功でした。書き手、作り手、売り手、読み手、それぞれの立場で、これからも本の島に住んでいこうという決意を新たにできる午後でした。

野崎さんのさすがの話術、鄭さんのソウルフルな語りのみならず、書店の寺島さん、小冊子作成のBEKAのみんな、イベントの発案者にしてコーディネーターをひきうけてくださった柳瀬さん、みんなの言葉と火花が炸裂! 楽しくも感動的なひととき。

来てくれたすべてのみなさん、いつもの友人たち、そして大竹昭子さんや姜信子さん、本当にありがとうございました。

ぼくはいつでも島の浜辺で、ウミガメやジュゴンとともに泳ぎながら待ってます。また会いましょう。

なお柳瀬さんのこのイベントにかける思いについては、彼が記した以下の文章をどうぞ。次は、次も、火だ!

http://back.honmaga.net/?eid=942092

レヴィ=ストロースの庭

いよいよ来週から、中京大学Cスクエアにて港千尋の写真展『レヴィ=ストロースの庭』がはじまります。

http://www.chukyo-u.ac.jp/c-square/top.html

29日の対談、ぜひどうぞ! といってもどんな話になるかは想像もつかないけれど。

Uと読みたい? Qトな本たち!

と題して6月26日、ジュンク堂池袋本店にて、わが同僚・清岡智比古さんとの対談をします。

主題は白水社が誇る新書判シリーズ、Uブックスと文庫クセジュ。日本の出版界でも確固たる位置をしめる、おしゃれで中身のある「白い」本たち。

ごくごくゆるやかに「フランス」との関係をむすぶこれらの本たちとわれわれとの、はかなくも熱烈であっさりと濃厚なラヴ・ストーリー、かも。

遊びに来てください!

2010年5月15日土曜日

馬歩き

絶好の晴天、すずしめの気温に恵まれて、和光大学・長尾洋子研究室との共同企画である歩きイベントの第2回を開催しました。きょうは下町、馬尽くし。定員は15名だったのですが、その後も希望者が増えて駒込駅で集合した時点で20名(?)。みんなでいろいろ話したり、話さなかったり、のんびり散歩を楽しむことができました。

経路は以下の通り。駒込駅。吉祥寺(びっくりするくらい大きなお寺、榎本武揚のお墓を発見)。団子坂(ここに森鷗外が住んでいた)。谷中銀座(お昼休み)。SCAI(もとお風呂屋さんの美術ギャラリー)。根津から不忍池。浅草から駒形堂。蔵前(はじめて筑摩書房の前を通った)。馬喰町。日本橋小伝馬町の十思公園(吉田松陰終焉の地点)でゴール、解散。

これではあまりにざっとしていますが、長尾洋子さんによるもっと詳しい報告はこちらをどうぞ。

http://seirenkojo.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-2f4b.html?cid=48628220#comment-48628220

おつきあいくださったみなさん、お疲れさまでした。ぼくはその後ひとりで東京駅まで歩き、丸の内の丸善に寄ってから帰りました。

次回は6月6日(日)、伊豆大島です!

カタリココの声!

大竹昭子さんがカタリココのブログで「本の島」イベントを紹介してくださいました。日曜日には表参道にいらしていただけるようです。

http://katarikoko.blog40.fc2.com/

うれしい! のんびりした初夏の午後の語らいにしましょう。本好きのみなさん、ぜひどうぞ。

2010年5月13日木曜日

修士論文/作品制作

ディジタルコンテンツ系では修士論文の執筆による以外に、作品制作で「学術修士」を取得するオプションを認めています。ただしこの場合も、作品について文章できちんと説明できるよう、作品を支持する論文を書くことを求めています。

作品制作による修了の場合、作品と論文の比重は半々だと考えてください(つまり「作品がすべてを語るのだから言葉は必要なし」という考え方は認めない)。

いずれにせよ修士論文/作品制作という個人プロジェクトがすべてです。これにとりかかるのに早すぎるということはありません。1年の夏までには方針を決めてすぐに書き始める/作り始めるべきです。

昨年は2年になってから完全に方向性を変えて、「理系」分野から社会思想史に「転向」し、大変な努力の末に1年後には200枚の修士論文を完成させた感動的な努力家もいました。が、それは例外。やはり早くから十分な時間をつぎこんで作業にとりくんだ者だけが、いい研究をし、いい論文を書きました。

大学院は研究の場、それも自分で自分の独自の領域を見出すために研究する場。研究という目的を見失うと、2年というただでさえ短い期間が、無為に過ぎてゆきます。

逆に、努力を注ぎ込めばそれだけ新しい視野が開け、新しい経路が見えてくるはずです。2年後にどれだけの新たな視覚を得られるかは、すべて自分の<研究>ぶりにかかっている。それが大学院という場の最低限の合意であり、与えられた知識を身につければよい学部レベルとは、はっきりと違った場所だと考える必要があります。

大学院進学相談会(5月22日)

5月22日(土)の午後、明治大学の大学院の全分野が一堂に会しての進学説明会を行います。場所はお茶の水のアカデミーコモン(お茶の水駅から徒歩3分)。個別の相談に乗ります。詳細は

http://www.meiji.ac.jp/koho/hus/html/dtl_0003907.html

ぜひ来てください。特にキャリアの途中にあって、修士論文執筆を次のステップのための足がかりにしようとする人、大歓迎です。

われわれは「理工学研究科」のエリアに個別のブースをもらえるはず。そこにいます。待ってます!

2010年5月12日水曜日

札幌へ?

このところ心が北に向いている。月曜日にモエレ沼公園の学芸員の宮井和美さんにお目にかかり、冬のモエレ沼公園の楽しさをうかがった。もちろん、夏も。今後1年のあいだに3回は札幌に行こうと決意。夏も歩き、冬も歩く。冬なんか、雪の中でキャンプする(公園内なら遭難しないと思う)。

また北方民族博物館では、いま夭折したオーストラリア先住民研究者、保苅実さんの写真展をやっているようだ。ご案内をいただいたのは札幌在住の写真家・露口啓二さん。ありがとうございました。なんとか行きたいなあ、これも。

この日、麻布十番のgm tenでは豊嶋秀樹さんから昨年おこなわれた「岩木遠足」のチラシをいただいた。

http://www.iwaki-ensoku.com/read/001_002/

ぼくらの青森合宿のちょっと前に、こんなことが。すごくおもしろそうなイベント!

ということで、今年は「北海道、青森、岩手に行くぞ」と思う日々。(でもこもって仕事をするのが優先か......)

<本の島>をめぐる対話、いよいよ次の日曜日です


故・津田新吾のプロジェクト「本の島」をめぐる対話シリーズ@青山ブックセンター本店。いよいよ16日の日曜日に第2回が開催されます。ぼくと野崎歓さんと、鄭暎惠さん。
www.aoyamabc.co.jp/10/10_201005/vol1516.html

われわれの心が住む島、それが本の島。ぼくはいつも話が下手ですが、会場で配布される特別なパンフレットのためだけにでも来る価値あり!そしてぼくと野崎さんと鄭さんという今回はじめて実現する組み合わせが、もともと津田新吾の頭の中だけにしかなかったものだということも、いうまでもありません。

本の話をしよう、一緒に!

2010年5月11日火曜日

すっきりしたお別れ

白水社の須山さんのお通夜に参列。雨の中、少なく見積もっても300人以上の人が集まっていた。オイオイとあきれられつつも愛されていた人柄の偲ばれる、無宗教の、いい集いだった。

彼の職場・白水社の及川さん、友人+著者として清岡智比古さん、バンド仲間の清岡秀哉さん、やはり友人+著者の中島岳志さん。どのお別れの言葉を聞いても、もらい泣き、泣き笑い。楽しいスライドショーを見ながら、悲しみの中に明るさの灯る別れ。こうありたいものだ。

もらったCDは、かれらが中1のときに録音したオリジナル曲集。帰宅してこれを聴いて、抱腹絶倒。久住ブラザーズの『中学生日記』そのままの世界!しかも感覚が強烈にパンク。

かれら(1963年生まれの学年)が中1ということは、1976年だよ。すごい!パンクに先行してパンクじゃないか。セックスピストルズ、出直せよ。パンクの発祥は日本の中学生だった。そんな忘れられた歴史は、誰かが思い出さなくてはならない。

まあ誰もがたかだか半世紀の前後でこの世を去ってゆくと思えば、すべての別れは一時的なもの。またどこかでみんなで会って、こんどはパンク中学生的ジャムセッションにぼくも加わろう。ドラマーの岳ちゃん、そのときはよろしく!

2010年5月10日月曜日

おめでとう、笠間さん、澤田くん

今年の日仏翻訳文学賞はマリー・ンディアイ『心ふさがれて』(インスクリプト)の笠間直穂子、フィリップ・フォレスト『さりながら』(白水社)の澤田直のお二人に決定。どちらもそれぞれの世代を代表するフランス文学者、+α。

笠間さんはルーマニア文学にも詳しいし、日本の代表的サルトル研究者でもある澤田くんは地中海圏全域を視野に入れ大変に幅広い活動をずっと続けてきたポリグロット。尊敬する二人の友人たちです。

今月下旬、授賞式があるようです。おめでとう! ぼくも進行中の翻訳を早く完成させたい。賞には当然無縁だろうけれど。

(なおこの受賞についてのはるかに詳しい紹介がインスクリプトのブログにあります。

http://inscriptinfo.blogspot.com/2010/03/15.html

過去の受賞者も錚々たるもの。あたりまえか。)

2010年5月9日日曜日

須山さん、やすらかに

白水社の編集者、須山岳彦さんが亡くなりました。闘病中ながら編集の仕事をつづけていましたが、子供の日に倒れたそうです。

須山さんにぼくは一度しかお目にかかったことがありませんが、声をかけていただいて彼の企画本に15、6枚の原稿を書いておわたししたところでした。未完成のこの本が、おそらく彼の最後の仕事でしょう。相当に画期的な顔ぶれと内容。彼のために、いつかかたちになることを心から願います。

ぼくらにとっては、わが同僚の清岡智比古さん「フラ語シリーズ」の産みの親としてもっともよく知られていた彼。ミュージシャンとしての一面もあったようです。まだまだこれからつきあいたかった人。46歳でした。ご冥福をお祈りします。

西江雅之の世界!

日本サウンドスケープ協会の今年度のシンポジウムは「西江雅之の世界」!


http://www.saj.gr.jp/info/info.html


5月29日、青山学院です。行きたい、でもその日ぼくは中京大学。誰かぜひ話を聞かせてください。

2010年5月8日土曜日

私は最近何を書いているか

すべての原稿が遅れていてすみません。すべての書類も遅れていてすみません。すべての社交をお断りしてすみません。とはいえ、少しずつ進む部分もあって。


この2日くらいに書いたものの、書き出しのみ。


青山ブックセンター本店での、津田新吾の仕事をめぐる「本の島」イベント用に書いた短文の書き出し。


本が本としておとなしく本の世界だけにとどまっているのではつまらないじゃないか。そんな思いをたぶん津田新吾も共有していたにちがいなくて本に記された文字が文字であることをやめて肉体的世界に躍り出し野生のケモノのように人を挑発し翻弄し誘惑し手痛い傷を負わせることすらわれわれは歓迎したかった」


ついで中京大学Cスクエアで5月24日からはじまる港千尋写真展「レヴィ=ストロースの庭」のパンフレットのための短文の書き出し。


<庭>は人の居住域のへりにあり区画の中で自然の成長性にもっとも直接さらされている場所だ。草が生える木々が育つ昆虫が生息する獣が訪れる。<家>の秩序をもちこみ管理することをめざしても最早その空間では人が完全に主人になることはできない」


いずれも続きは、それぞれの場所でどうぞ!


29日(土)には港くんとひさびさに対談します。前回は2001年12月の池袋ジュンク堂か。名古屋まで来てくれる人がいたら、あとで大須に行きましょう!

2010年5月2日日曜日

聴覚の先行性(原一弘に)


人間が外部とのあいだにむすぶ関係の中では、聴覚がもっとも先行している。

「われわれはその日に先立つ命のなかで、ただひたすら聞くだけの聴覚にすぎなかったのに、生誕とともに音を出すものとなる」(パスカル・キニャール『さまよえる影』27ページ)。

胎児は、明るい暗闇の中で浮かんでいる。羊水は、まだ外部としては意識されない。母体から外に出て、みずから音を出す存在になったとき、自分がはじまる。

おもしろいねえ。

2010年5月1日土曜日

「影の反オペラ」

これは必見!の予感。7月16〜18日です。


http://www.suigyu.com/monoopera.html


みんなで行こう。

「水牛のように」5月号

月あらたまり、5月号です。


http://www.suigyu.com/sg1005.html


ぼくは「犬狼詩集」5、6を寄稿しました。

佐々木愛「毎日のスケッチ」

麻布十番のgm tenで開催中の佐々木愛「毎日のスケッチ」を見る。愛さんが毎日、絵を描き足してゆき、それをスライドショーで上映する。1枚あたり10秒程度で、きょうの時点で33枚(たぶん)。彼女の想像力の基本素材である植物、山並み、雪の結晶、鳥などが、あのなんともやさしくかつ力強い線と色彩をもって、その場に出現する。ウミガメもかわいかった! 


色彩とは全面的な体験でつねに視野の全面に立ち現われてくるものだが、それがいったん白に還元されて、ところどころに火を灯すように、画面の焦点の部分にだけ彩色される絵が、なんともはかなく、美しい。33枚見たとしても5分半。それで確実に心が変わるのだから、これは見るべし。絵によって自然との関係に目覚めるのも、重要な経験だ。


終わってからオフィスのほうにゆくと、本棚にエイミー・ベンダー『わがままなやつら』が並べられていた!しかも工藤千愛子さんがそれを愛読してくれたというのが、うれしかった。彼女のお気に入りは「アイロン頭」だそうだ。「飢饉」「マザーファッカー」とともに、この短編集の中の悲痛な名作のひとつ。訳者なんて何者でもないけれど、それでも。


「毎日のスケッチ」は5月9日まで。どこかの時点で、もういちど行こう。みなさんにも心からお勧めしたいです。そして麻布十番の商店街、おばあさんがやっているおでん屋さんになかなか入れないので、こんどは思い切って入ってみたい。