ドイツのコメディアン、ハーペイ・カーケリングのユーモラスな『巡礼コメディ旅日記』を読んで心に残ったことがある。
サンチアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅の途上、ある町で彼はこんなことを思うのだ。
「この道の良さは、先へ先へと辿って行きたくなるところにある。美しい街はある、美しい風景もある、でも、ずっとそこにとどまっていたくなるほどに、抜きん出て、特別に美しいところはひとつもないのだ。これこそまさに真の道だ」
そしてこんな覚え書き。
「道の道たるゆえんとは、歩く者を一つところにとどまらせないこと」
本当にいろいろな対象についていえることだと思った。