2011年8月22日月曜日

ABC朗読会

『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)刊行記念朗読会、昨夜でした。いい会になりました。最初から最後まで集中力のとぎれない、はりつめた場でした。多くの人の記憶に深く刻まれたと思います。

まず谷川俊太郎さんの巻頭詩「ろうそくがともされた」をぼくがオフで読んで、開始。編集の関戸さんの挨拶のあと、ピアノたちの運命を思う林巧さんの短編、笠間直穂子さんによる日仏バイリンガル朗読のジャン・ポーランの異色の掌編、岬多可子さんの静謐で芯の強さを秘めた見事な詩、そして古川日出男さんによる宮澤賢治リミックスで会場は爆発しました。

その熱をさますようにクールで典雅なユーモアをたたえた工藤庸子さんによるシャルル・ペローの妖精物語、そしてぼくの砂漠話。ここまででプログラムに予告されていた朗読を終えたのですが、執筆者のひとり旦敬介さんが来てくれてラスタファリアンを主人公とする短編を読み、われわれの友人であるメキシコ文学者・南映子さんがほのぼのとする自作短編を読み、本書の装幀家である京都在住の岡澤理奈さんがロンドン在住の中村和恵さんの詩「ヨウカイだもの」を絶品といえるパフォーマンスで読んで、いちおう終了。

それからアンコール登場の古川日出男さんによる宮澤賢治「春と修羅」が、すべてをしめくくりました。強烈きわまりなかった。

こうしてこの本は送り出されました。でもそれがそれ自身の道を見出して読者のみなさんの手と目と耳と心にいたるのは、まだまだこれからです。

「魂箱」といいたいくらい、ソウルフルな作品が、その悲哀も怒りも含めて、並んでいます。ぜひ本書の旅と拡散とその果ての消滅を、手伝ってください、見届けてください。

関連朗読会、次回は9月10日の仙台カフェ・モーツァルトです。

そして見失いたくないのは、この本の企画と完成後の活動自体、19世紀以後の日本を支配してきたバビロン・システムに対する抵抗だということです。人々を土地から追い、子供たちに鼻血を流させ、家畜たちの生命を奪い、森を海を汚染しつづけながらも、まるで何事もなかったかのように自律性を回復したがっている、このあまりにも卑劣で巨大なシステムに対する。この社会と世界には、変えなくてはならないことがたくさんあります。「復旧」を認めてはならないことがたくさんあります。小さな炎のゆらめきの中で、しずかに、そんなことも考えていきたいと思っています。