Saturday, 15 January 2011

新井卓「光、礫、水」はじまりました

生田図書館のGallery ZEROで、14日(金)、ダゲレオタイピスト新井卓さんの展示『光、礫、水』がはじまりました。早速、英語リーディングの授業最終回の最後の30分をそれにあてて学生たちと見ましたが、すばらしい出来映え。

遠野の山中の滝を写したダゲレオタイプのたとえようのない美しさ、また床に並べられているのは岩石収集家でもある新井さんのコレクション。ギャラリーが鉱物と光の部屋になりました。宮澤賢治にもロジェ・カイヨワにも見せてやりたかった!

倉石研究室のみんなが作ったパンフレットも充実しています。ぼくは「QUICKSILVER」と題する16行詩を寄稿しました。ダゲレオタイプの技術に対する、詩による注釈です。

会期が24日までとやや短めなので、できればお早めにどうぞ。真に画期的な展示です。

「anan」の読書特集

「anan」の読書特集で、作家の中島京子さんが「旅に出たくなる本。」3冊のひとつとして『斜線の旅』をあげてくださいました。

「トンガのコンビニで何が売られているかなど細かなことがわかるのが楽しい。縦横無尽に話題が移って、読み手をどこかへ連れ出してくれる感覚があるので、今いる場所に息苦しさを感じている人にオススメ」だそうです!

他の2冊は金子光晴『マレー蘭印紀行』とアントニオ・タブッキ『島とクジラと女をめぐる断片』だというのも何かうれしい。本は本脈の中で育ってゆくものですから。

中島さん、ありがとうございました!

Thursday, 13 January 2011

『海炭市叙景』

むかしは季節は夏がいちばん好きで、そのころ一生分の熱帯海岸生活をしたせいか、いまは冬がいちばんいい。でも東京の冬というと抜けるような青空。温暖。曇り空、雪、海に舞う海猫と雪が欠けている。「雪が降れば海の色は変わるのだろうか?」(パヴェーゼ)。

それで遅ればせながら『海炭市叙景』(監督・熊切和嘉)。見ているあいだ、心は全面的に函館。エピソードの積み重ねで主要人物がシフトしてゆく構成によって、何よりもその町が、土地が置かれた気候風土が、つねに前景化される。これは旅だ。

星空を見たくなり、海をわたる船に乗りたくなる。音楽がすばらしい。ジム・オルークか。名前しか知らなかった作家、故・佐藤泰志の、原作も読んでみよう。それにつけてもラストの猫ちゃんとおばあちゃんの手、いいですね。万感がこもっている。

函館出身の西澤くん、ひさしく会ってないけれど、『海炭市』を見た? また会いましょう。

Wednesday, 12 January 2011

期末試験の問題発表

来週の総合文化ゼミナールの期末試験の問題を発表します。それぞれの興味次第で書ける問題ですから、学生のみんなはよく準備をすること!

<シェイクスピア・ゼミ>

(1)『じゃじゃ馬ならし』『ロミオとジュリエット』の2作品から、それぞれ主要登場人物のひとりを選んで、その性格を論じなさい。ただし人物の言葉遣いによく注意すること。

(2)以上の2作品に加えて『からさわぎ』『十二夜』を含めた4作品から浮かび上がってくるシェイクスピアの演劇観・世界観について自由に論じなさい。

<『遠野物語』ゼミ>

『遠野物語』から自分に特に強い印象を与えた話を3つ選び、なぜ自分が他の話よりもそれに感応するのかを述べなさい。

ジャック・アタリ講演会

明治大学国際連携本部主催の特別講演会として、ジャック・アタリの講演が17日(月)にリバティタワーで行われます。

http://www.meiji.ac.jp/koho/hus/html/dtl_0007294.html

アタリというと、むかしアタリの本に対する電話コメントを求められたミシェル・フーコーが、誰ですか、それは? 知りませんねえ、私たちは学問に打ち込んでいるわけですから、そういう本についてのコメントを求められても困ります、というようなとことん意地悪な言い方をしているのに笑った覚えがある。

ぼくも特に興味がないが、英語圏の大学なんかでもその著作がしばしば授業のテキストに使われているようだ。行けば得るところはあるかも。

Tuesday, 11 January 2011

「樹木」展、終了、そして次は?

われわれの展示「樹木 木と人の心」は10日で終了、きょう撤収しました。最後の週末に来てくれたみなさん、ありがとうございました。うれしいメッセージをたくさんいただき、これをもって次年度につなげてゆきたいと思います。

次年度、つまり今年のテーマは、「川から海へ」。水という強烈な造形力をもったモノ、というか生命のすべてをつらぬく力に、正面から接近を図りたいと思います。

きょうは撤収にかけつけてくれた参加作家の佐々木愛さん、兼田言子さんと、のんびりコリアン屋台(キャンパスに来る)のランチを食べながらプチ反省会。学生のみんなとも、次回にむけて議論を重ねてゆこうと思います。佐々木さんとは来月、札幌でもご一緒します。過去の反復にならないよう、まったく新しい考えや光や色合いを探りたい。

夕方には、今週14日からの展示作家である新井卓さんにダゲレロタイプの出品作品を見せていただきました。最高におもしろい。写真のひとつの起源であるこの方式にこだわり、複製物にはならない光の痕跡を追求する彼は、現代の錬金術師。水銀と銀の相互作用にいかに鹿革やベンガラが関わってくるか、その魔法みたいな手仕事としてのおもしろさが最大のポイントかもしれません。

新井さんの構想力には話していて大きな刺激を受けます。ヒトと画像の関係を根源的に考え直すためにも、必見の展示です。理工の学生には全員に見てほしい。

こうして寒い一日が過ぎて。あの病んだタヌキは、もう死んじゃったんだろうか。別のタヌキたちに、いくらでもキャンパスに遊びにきてほしい。

Monday, 10 January 2011

「文學界」2月号

「文學界」の2月号、ぼくは短いエッセー「旅と写真について」を寄稿しています。東大のワークショップでの話の裏打ちとして。

写真については、ちょっと新たな課題が出てきたので、またいずれ書いてみます。