Friday, 17 September 2010

「図書新聞」9月25日号

札幌合宿最終日は、かねてから行きたかった二風谷へ。泥に濁った湖面をみつめながら、しばし黙想の時。二風谷とタオスがつながる気がしました。それから全員ぶじ羽田に帰着し、夕方、解散。ぼくには収穫の多い旅でしたが、学生のみんなにはどうだったのかな。こんど反省会をします。

さて、「図書新聞」にマルコム・ラウリー『火山の下』新訳(白水社)の書評を書きました。すさまじいまでの傑作です。この機会に熟読することができて、幸運でした。ぜひどうぞ。

それにつけても書評は大切。もっともっと書きたいのですが、なかなかとりくむ時間的余裕がなくて、残念でもあり、申し訳なく思っています。誰に? 本たちに。世界にこれだけの国や地域があって、それとは別に本の島があるなら、本の島にむけた手紙のように書評を書きたいものです。「書評空間」が開店休業状態になっているのを、深刻に反省。

Wednesday, 15 September 2010

札幌合宿進行中

今年のゼミ合宿は札幌です。初日はダウンタウン散策のあとモエレ沼公園に。夕方の光の中、予想をはるかに上回るすばらしさでした。案内してくださった学芸員の宮井さん、ほんとうにありがとうございました。

夜はそのまま宮井さんや、S-AIRの柴田さん、アーティストの河田さんらとジンギスカン・パーティー。最高に楽しかった。学生たちも大きな刺激を受けました。

2日目は恵庭市方面に。途中、ふと見かけた牧羊犬ショーにニュージーランドを思い出し、それからラルマナイ渓谷へ。ラルマナイの名前が思い出せなくて「ええっと、ナヤマナイとかなんとか」といっていましたが、その後「ラルマナイ」が動詞として定着しました。ついでいよいよ北大の植物園。初日が月曜日で休園だったため、この日はじっくり。ものすごい規模に感動し、また温室とエスノボタニー部門に電撃的に打たれました。といってもほとんど植物を知らないのが辛いところ。

夜は適宜、自由行動。ふらりと見つけて入ったSAKANOVAという楽しいお店での食事のあと、ぼくは原くんと『BECK』を観にゆきました。原作にあまりに忠実なストーリーとキャラクター作りに、笑いつつ、じんわり感動。コユキの歌が聴こえないという選択は、ほんとに正しかった。

そしてきょうは小樽に。まず大洞くんの研究に関わってくる緑小学校の石碑を見て、それからオタモイ地区の海岸を歩く。近隣の住宅のようすひとつをとっても、興味のつきない小旅行でした。宮の森美術館での森山大道展にも。

これから書肆吉成の吉成くんや、写真家の露口さんと会います。札幌、いい街で、住みたい街です。これからしばしば来たいと思っています。まだまだ会いたい人もたくさんいます。

ことばのPicture Book

10月22日(金)、四谷アートストゥディウムでのぱくきょんみさんの講座「ことばのPicture Book」でゲスト講義をします。

http://www.artstudium.org/news/2010/09/picture_book.htm

とはいうものの、「母」という主題は、ぼくはこれまで真剣にとりくんだことがない主題。はたしてどう考えて、何を話せることか。まずは、やってみます。

Tuesday, 14 September 2010

青山ブックセンターで

詩集『Agend'Ars』の出版に際して、書店での対話をふたたび。相手は港千尋くんです。

http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_201009/agendars927.html

ごくリラックスした話になります。そして、来てくれた人には全員におみやげとして小詩集を進呈します!

27日は月曜日ですが、都合のつく方はぜひどうぞ。

Monday, 13 September 2010

これも、いよいよ

ぼくの最初の詩集の予約受付がアマゾンではじまりました。

http://www.amazon.co.jp/AgendArs-アジャンダルス-管-啓次郎/dp/4903500411/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1284355785&sr=8-1

いままで詩集を買ったことのない人にこそ、手にとり買って読んでいただきたい詩集です。

これと同時に、ぼくの初期作品(80年代の)を集めたかっこいい小詩集『熱帯詩/リスボン』を、デザイナーの五十嵐哲夫さんが作ってくれました。昨夜、最終打ち合わせ。地図用の紙に印刷した、心の地図みたいな詩集です。

どちらも下旬には確実に完成します。よろしく!

「朝日新聞」9月11日夕刊

土曜日11日の朝日新聞夕刊。「ツイッターで広がる読書の世界」という広告に、青山ブックセンターの寺島さやかさんが登場していた。青山ブックセンターのフォロワーは1万4000人だとか。現在のほとんどの書籍の通常の発行部数を考えると、驚異的な数字だ。

記事中で寺島さんが、ぼくの本を紹介してくださった。以下、引用。

「装丁の美しさやこだわりは、本を手にとって初めてわかるもの。たとえば、管啓次郎さんの旅と読書のエッセー『本は読めないものだから心配するな』は、ざらっとした味わいのある紙が表紙になっています。見開きごとに、印象に残る1節が左ページ上に抜き書きされたレイアウトもおもしろい本です」

この一言に、デザイナー(清岡秀哉さん)、編集者(小柳学さん)、著者は、どれほど励まされることか。ほんとうにうれしいことだ。寺島さん、ありがとうございました!

ところでこの記事のすぐ上には「大哺乳類展 海のなかまたち」の小さな記事があり、寺島さんの写真のすぐ上にジュゴンの顔がある。ぼくには、これは奇跡だった。詳細は記さない。ありえない偶然だった。

ビバ寒川晶子!

土曜日、横浜山手で寒川晶子さんのピアノ・コンサート。予想をはるかに超えて、衝撃的だった。

ドだけに調律されたピアノが叩き出す即興の音空間。パーカッシヴで、波の音とか蝉時雨とか強い風の音とか雷とか、そうした自然音の世界に歩み入ってゆくような印象。視覚的には、しずかな水面に同心円の輪が次々に広がってゆく感じ。

普通のピアノと2台で演奏するモーツァルト(おなじ譜面で)も、一種の種明かしみたいでおもしろかった。冒険あり、ユーモアあり。横浜ユニオン教会の建築がまたすばらしく、本当にさわやかなコンサートでした。

教会は簡素で、光と風にすべてがささげられているような建物。寒川さん自身、この建物との出会いによって、今回の企画を着想したようだ。

西江雅之先生にもひさしぶりにお目にかかり、いい日だった。サウンドスケープ協会の会長である西江先生に、終了後のコンサートのご感想をうかがいそびれたけれど、それはまたいずれ。