2011年12月9日金曜日

山浦玄嗣先生の津波体験記

先日、朗読会をご一緒した大船渡の医師にしてキリスト者、山浦玄嗣(はるつぐ)先生。先生による克明な「3・11巨大地震津波体験記」が仏文学者・小説家の花輪莞爾さんの新著『海が呑む 3・11東日本大震災までの日本の津波の記憶』(晶文社)の巻末に「特別寄稿」として収められている。山浦さんが花輪さんの高校の後輩であるというご縁から実現したものらしい。

花輪さんの力作も読み応えがあるが(まだ少ししか読んでいない)、山浦さんの血と涙で書いたようなこの体験記は、通勤電車内でひといきで読み、深く感動した。お勧めします。数々の忘れ得ない言葉があるが、まずは気仙の幼稚園児たちを描く次の数行をあげておこう。

(以下引用)

幼稚園児の一団が寒さに震えながら、コヒドロ山の上から津波の引いた後の惨憺たる街を見下ろしていたが、誰に音頭を取られたわけでもないのに、いきなり大声で叫びだした。
「津波になんか、負けないぞ!」
咽喉も裂けよと叫びだすその声に、脇で聞いていた大人たちが奮い立ったという。
「気仙衆(けせんし)というのはすさまじいですね」と、和歌山県から来た老神父が、後に私に語ったことである。