Monday 19 December 2011

大阪、京都、終わった、でも何も終わらない、終わらせない

17日(土)に堺市の主水書房、18日(日)に京都のメディアショップ。朗読会はいずれも盛況でした。これをもって『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)の活動を、いったん終了します。

主水書房は花道みささぎ流家元、片桐功敦さんの稽古場でもあります。すべてが考え抜かれた最高の空間に、鹿の骨を彫った橋本雅也さんの彫刻が飾られ、和蠟燭の大興4代目・大西巧さんのろうそくが会場と庭を照明してくれました。みんなが自分の感じたひとことを紙片に記し、庭で火にくべてから帰るという演出まで、あまりに新鮮な、あまりに目を開かれる、あまりに新たな勇気を与えられる経験でした。

朗読者は岡澤理奈(装幀家)、佐々木愛(美術作家)、津田直(写真家)、橋本雅也(彫刻家)、田内志文(翻訳家・作家)、片桐功敦(華道家)、服部滋樹(graf 代表)、細見和之(詩人)、鞍田祟(哲学者)、新井卓(写真家)、工藤庸子(フランス文学者)とぼくでした。

メディアショップはダウンタウン京都のどまんなかにある瀟洒な白の書店。ここも気持ちのいい、力にみちた空間で、シリーズの締めくくりにふさわしい場所でした。朗読者は田内志文、工藤庸子、細見和之、佐々木愛、山崎佳代子(詩人)、岡澤理奈、そしてぼく。ベオグラード大学教授でもある山崎さんについにお会いできたのが、非常にうれしかった。

どちらも会場に集ってくださった聴衆のみなさまのおかげで、本当にいい夕べになりました。東北へのチャリティ本として構想された『ろうそくの炎』ですが、その有効性はよくわかりません。でもある種の波動を波及させることはそれなりにできたと思います。それが日本社会をポジティヴに変えてゆく力の一端となることを願います。

20日発売の「フィガロ・ジャポン」に、この本をめぐる野崎歓さんとぼくの往復書簡が掲載されます。朗読ツアーは終わっても、何も終わっていません。終わっていない事態を終息したと称する者たちに反対しましょう。