東大本郷でのワークショップ、終了。会議室で開催するというのでせいぜい3、40人が集まって、料理中のアイデアを議論する程度かと思っていたら、聴衆は少なく見て120人! 満席でした。しかも発表者の多くが本格的な論文を準備していて、大学院生らしい人たちはノートを準備し、室温がだんだんあがり、酸素が少なくなり、頭は朦朧とし、ああ倒れるという寸前、話がはじまったら興味深くてすっかり引き込まれた。
鈴木雅雄くん(かつて大学院で一緒に勉強した)のアンドレ・ブルトンについての感動的な発表から、最後の塚本昌則さんの簡潔で的確なまとめまで。午後1時半から7時まで。長かったけれど、実り多い午後になりました。
ぼくが参加した第3セッションでは、まずぼくが前座。「写真論」と題した16行詩7編のシリーズを朗読してから、大連、ラパ・ヌイ、パリそれぞれの旅行写真をスライドショーで見ていただき、みなさんをうんざりさせました。「しろうとの旅行写真ほどうんざりさせられるものはない」という第1セッションで出たコメントをみごとに無視してしまいました。でもまあ、一部の人には楽しんでもらえたようでホッとした。
ついで今橋映子さんの報道写真論。カルティエ=ブレッソン神話からはじまり報道写真の徹底的な考古学の必要にいたる、明晰きわまりない論考。それから野崎歓さんは、さすがの余裕でフランス現代作家数人をとりあげ、きわめて具体的に小説の場面を紹介しながら、おもしろいお話をつむいでくれました。名人芸。
以上の3人に対して、特別なゲストである畠山直哉さんがコメントをくれて、これにはさすがに全員がじっと聞き入っていました。アーティストならではの言葉の強さ、鋭さ。写真と文学をめぐってすごされた長い午後が、これでぐっと締まった。
他にも澤田直くんのサルトル論や兼子正勝さんのクロソウスキー論が聞けて、大変に有意義な一日になりましたが、いくつかの課題もぼくには残りました。そのうち何らかのかたちで文章にしてゆければと思います。
世話役だった塚本さん、大変だったでしょう。ありがとうございました!
(参考意見はいつもながら清岡さんに。http://tomo-524.blogspot.com/です。)