Thursday 24 April 2014

大学院ゼミのつづき、など

4月もすでに下旬。どこにいっても時間に追われているような気がするのは、なぜ?

ともあれ大学院ゼミ、今週は古川日出男の『gift』から3つの短篇を読みました。「あたしはあたしの映像のなかにいる」「光の速度で祈っている」「天使編」です。

どれも非常におもしろく、また説明に困るものばかり。学生のみんなからの質問も意表をついています。たとえば「あたしは...」の最後のセンテンスで

  それは暑い、夏だった。

と書かれるとき、この「、」は何ですか? と訊かれて即答できるでしょうか?しかし答えにつまるぼくが口を開くより早く、別の学生たちが次々に仮説を出してくれます。このあたりの発言への積極性は、文句なく、アメリカの学生たちのいいところ。

あるいは「光の速度...」の末尾。

  ハロー神さま、と光の速度で祈っている。
  かわいい壊れた神さまに。

これについても議論沸騰でした。「ハロー、キティ」と関係ありますか? あるだろうねえ。光の速度で祈るってどういうこと? 視覚により祈るということかなあ。壊れた神さまって何を意味してるんですか? これにもぼくの答えは一応あるのですが、ここでは省略。ともあれ、月曜と水曜、2時間ずつ楽しむことができました。

来週はリービ英雄。ヒデオからヒデオへ。そして来月の大川景子監督『異境の中の故郷』西海岸上映ツアーのための布石でもあります。

ゼミが終わるとこんどは、かれらに頼まれて読書会をはじめました。ドゥルーズ=ガタリの『カフカ』です。そのためにひさしぶりに、今回は英訳で読みはじめましたが、これがおもしろい。もっともこの英訳版、冒頭におさめられたレダ・ベンスマイアの手強いエッセー「カフカ効果にむかって」でみんなが最初から挫折感を味わってしまい、その点はあまりよくなかった。仕方なくD-G地理学のいくつかのポイントを解説して、第1回はおしまい。

アメリカの大学システムには年間に10週間のクォーターを3期やる大学と、15週間のセメスターを2期やるところがあります。ワシントン大学はクォーター制。ぼくは好きですが、とにかく展開が早く、学期中はみんな必死です。ひさしぶりにその雰囲気を味わいつつ、巨大な図書館の一角で、自分のいくつかの計画をどう進めていこうかと迷っているところです。

5月にはオレゴン大学にもレクチャーに招待されました。しかも、なんという偶然か、柴田元幸さんと同時! いまから楽しみです。