Monday, 25 March 2013

蝶の道は消えた?

竹富島に3年ぶりに行きました。いまは亡き友人が好きだった「蝶の道」がある島。集落からアイヤル浜へいたる細い道がそれで、恐いほどの数の蝶が飛び交う、この世とも思われぬ道でした。

それが、どうも様子が変。たしかに蝶がたくさんいるのですが、印象だけでいうとかつての10分の1くらいの密度でしか見られない気がします。明らかにひどく少ない、おやっと思うほど。

いろいろな花の時期がずれこんでいるのかと訝ったのですが、宿のおじさんと話して疑問氷解。開業したばかりの高級リゾートの建設で、この島はかつてなかった規模で手つかずのエリアを失ったようなのです。

蝶の世界は非情。生息環境が破壊されれば、たちまち1000がゼロになり、環境が回復されないかぎり、かれらは帰ってきません。

素敵で贅沢で快適そのものだと想像にかたくない高級リゾートですが、あの蝶の道と引き換えにしてまで、この島に必要なものだったんだろうか。むしろ島を蝶サンクチュアリとして、開発を禁じてほしかった。

思い出の中の蝶の道をたどる以外になさそうです。ともだちの霊魂と対話しながら、のんびり、のんびり。蝶そのものが死者の魂だという伝説は各地にあるようですが、蝶が少なくなったとき、ぼくらの死後は魂を欠いた死後になるかも。さびしいことです。

Sunday, 24 March 2013

読売書評#31

3月24日掲載。志賀理江子+せんだいメディアテーク『螺旋海岸/notebook』(赤々舎)。昨年11月から今年1月にかけて開催された写真展『螺旋海岸』に付随するレクチャー集。手応えのある言葉。名取市北釜集落の専属住み込みカメラマンだった志賀さんの、3月11日とその後の体験が語られます。彼女の写真を見て、彼女の文章を読んで、われわれは次にどんな動きを? お勧めします。対話の相手役を務める竹内万里子さんの聡明さも光っています。

Wednesday, 20 March 2013

3月11日のセットリスト

11日のレイニーデイで第1部に読んだ詩のセットリストを備忘のために記しておきます。第1行のみ。全8片。

(『島の水、島の火』より)
 波に洗われた土地に倒れた桜が
 長いあいだぼくは地水火風という
 幼いころ海岸に住んでいた私と姉は

(『海に降る雨』より)
 火山は火山ごとのむすびめだった
 どうしても海岸に引き戻される
 屈強な石工の体をもってかつて
 ある南島の温暖な冬、おだやかな愛の島で
 歩きながら泳ぐような動作で

1片が約1分40秒。河合監督の映像作品を流しつつ読みましたが、事前の打ち合わせはいっさいなし。詩の語句と画面がシンクロしたように見えた部分は、すべてまったくの偶然です。ふしぎ。

 

Tuesday, 19 March 2013

Days Japan 2013年4月号

日本の代表的フォトジャーナリズム誌「Days Japan」。その9周年記念号は特集「チェルノブイリ読本」ですが、なぜかアンセル・アダムスをめぐる短い文章を書かせてもらうことになりました。

アンセルの完璧な写真、4点。ぼくにとっては北アメリカ大陸西部のスピリットそのものです。

台中への旅

台中にある東海大学は台湾最古の私立大学、1955年創立。3月16日(土)、この驚くべき広大で美しいキャンパスで開催されたシンポジウム「東アジア現代文学と<周縁>の言語 グローバル化時代の批判的<文学>」に参加しました。

基調講演者はわれらがリービ英雄さんと、原住民作家のワリス・ノカンさん。それぞれにソウルフルな講演にはじまり7人の発表のいずれも新しい視野を開いてくれる、すばらしい一日でした。

ぼくはまとめの討論にコメント役として参加。もっとも、聴衆として参加していた温又柔さんを紹介するのが最大の役目で、それをはたすことができてほっとしました。

翌日、少年時代をすごした台中を52年ぶりに再訪したリービ英雄さんやその一番弟子である温さんとともに、台中の市街を歩きました。感動的な、記憶への旅。その全貌を、映像作家の大川景子さんがドキュメンタリー・ビデオとして制作しています。完成したら上映会を開きます。ここで告知しますから、ぜひ覚えておいてくださいね。

東海大学でシンポジウムを組織してくださった笹沼俊暁さん、ありがとうございました!

3月12日、くぼたのぞみさんと

六本木ミッドタウンにあるスルガ銀行のd-laboで、くぼたのぞみさんに現代アフリカ文学をめぐるお話をうかがいました。特にチママンダ・アディーチェとJ・M・クッツェー(という対照的なふたり)に焦点を合わせて。クッツェー作品の舞台を訪ねた南アフリカのスライドショーを含め、あっというまの2時間でした。

アフリカというあまりにも魅力的な大陸への最良の手引きとなるのは、政治状況の報告でも経済状況の解説でもなく、文学作品です。まずはいずれかの作品を、ぜひ手にとってみてください。

2年めの3月11日に

3月11日、レイニーデイで朗読劇『銀河鉄道の夜』を上演しました。誰の何の役に立つわけでもありませんが、ぼくらとしては精一杯の鎮魂の場でした。

カリスマ・フラ語教師、清岡智比古さんの報告。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/03/blog-post_12.html

2011年12月24日にSaravah東京で初演して以来、毎回変更を加え少しずつ育ててきたこの劇ですけれど、この3月11日ヴァージョンをもって、いちおうの完成形に達したと思います。古川日出男の全霊がこめられています。

一緒に演じている仲間としても息を飲んだのは、このヴァージョンのために新たに作られたキャラクター「らっこの上着」。無生物の主体を、柴田元幸さんが演じます。非常に森閑とした気分になりました。

見にきてくださったみなさん、本当にありがとうございました。

さて、店長の林下さんがレイニーデイを離れるため、この思い出深い場所での上演はこれが最後になりそう。林下さん、この2年間は忘れられません。ありがとう、そして次のステップでもがんばってくださいね。