Saturday 29 August 2015

ASLE-Japan at 小諸

ASLE-Japan 文学・環境学会の今年度の大会は、長野県小諸にある安藤百福センターにて、8月22・23日の両日にわたって開催されました。

センターは、すばらしい施設! 個人単位の研究発表に加えて、初日には人類学者や小説家のみなさんのシンポジウム「動物のいのち」(石倉敏明、木村友祐、分藤大翼、山口未花子)、シートンの翻訳者でもある動物学者・今泉吉晴先生の基調講演、二日目にはこれも初の試みとなったフランス語圏文学のエコクリティシズム・パネルと明治大学の大学院生および近年の修了生のみんなによるシンポジウム「自然の風景」など、内容も形式も多様な、刺激にみちた大会となりました。

わが友人、カルチュラル・スタディーズの上野俊哉さんも個人発表で参加してくれて、ありがとう。動物のいのちをめぐる全般的対話を、これからも続けましょう。

ぼくは今泉先生のすばらしい、すばらしい講演「シートンの知られざる偉業」にすっかり打たれました。 見ることの大切さ。口でいえばわずかひとことですが、実践するのはほんとうにむずかしい。その最高の実践者が、最高の先駆者について語る。こちらも目を開かれました。

シートンについては、ぼくの『野生哲学』でもふれていますが、北米の猟師・罠師らの知を物語のうちに体系化し、それを圧倒的な画力とともに提示した、真に偉大な知性のひとりだと思います。知のこういうあり方を、われわれはもっと真剣に学び直す必要があります。

これまで、ともすれば英語圏・日本語圏文学の研究に限られがちだったASLEの活動の、多言語化と「環境人文学」への本格的な展開の、糸口が見えた大会でした。

実行委員の茅野佳子さん、河野千絵さん、ほんとうにごくろうさまでした。来年の開催地としては福井が内定しています。ヒト社会と他の生物たち、そして環境の全体との関係を考える手がかりを求めているみなさん、ぜひ入会してください!