Sunday 22 February 2009

たまにはフランス

フランスから帰ってきたところ。わずか5泊だけど、充実した旅だった。

最大の目的は、まもなく全面的に取り壊されてしまう人類学博物館。ミシェル・レリスが長らく働いたここを、訪れたことがなかった。さすがにジンとくる。ついで2年前に完成したケ・ブランリーの新しい博物館。所蔵品のものすごい点数に圧倒されるが、これもすべては人類学の「原罪」ともいうべき部分に関わってくる。手放しで感嘆することはできない、けれども、物の迫力はすごい。ジャン・ヌーヴェルの建築も、ランドスケーピングも、第1級。真剣に見るなら1週間は通わなくてはならないだろう。

ここを舞台とする民衆大学の主催者が、あのカトリーヌ・クレマンだというのにも興味を引かれた。図書室はきれいにまとまっていて、おもしろい本が目白押し。ちょっとだけノートをとる。

他にも話はつきないのだが、いちばんの感動はオランジュリー美術館のモネ「睡蓮」。青ざめた。55歳から85歳まで、画家が晩年の30年を費やして描いた300点の睡蓮の絵のいくつかが、円形の部屋ふたつを環をなしてみたしている。あらゆる色彩とかたちがある。この境地。言語でも映像でも、絶対にない、まさに絵画だけの洗練のきわみ。細部をじっと見ていると、たちまち2、3時間が過ぎる。

下の階には印象派の名品がたくさんあるのだが、もう見る気もしなくなった。

パリ、さすがだ。このオランジュリーも、ケ・ブランリーも、ベルシーに移ったシネマテークも、ぼくにとっての前回(2002年)にはなかった。変貌、変貌。あまりに滞在が短くて、親しい友人以外には会う時間もなかったのが残念。おりしも大学は教員のスト、そしてカリブ海からは燃えるグアドループの状況が刻一刻と伝えられる中での数日。

刺激は大きかった。やはりパリには、ちょっと無理をしてでも毎年行くことにしよう、これからは。日帰りでナントに行ったのもすばらしい遠足だった。