Sunday 28 September 2008

ア太郎の夢と西郷信綱

昨日、机にむかったままうたた寝して見た夢。

何人かのともだちと遊んでいる。みんな小学生(だと思われる、自分も含めて)。中にア太郎がいる。ア太郎だけ、2次元のまま、平面の線描きのまま。はちまきをし、鉛筆を耳にはさんだ、いつもの格好で。

ぼくが「ア太郎、おまえ薄いねー、やっぱり」というと、ア太郎が朗らかに「それをいうなって!」と答え、みんなゲラゲラ笑う。

やがて(といっても1秒くらいあとか?)ア太郎が「あ、そろそろ帰って仕事するよ。じゃ、またな!」と快活にいって帰ってゆく。みんなで「ア太郎はえらいなあ」「えらいよ、あいつ」と口々にいって感心する。

目覚めて、何か充実感あり。ここにいた「みんな」が誰かはわからないが、ア太郎が妙にあざやかだった。マンガのキャラクターも、現実の過去の知人も、生きている人間も、死んだ友人も、夢の中にはみんながいる。それはもちろんこっちの心が作っていることだけれど、夢のア太郎が元気づけてくれるのは事実、真実。

昨日、私淑する西郷信綱さんの逝去が報じられた。92歳。ぼくはずっと自分の専門を「比較詩学研究」と呼んできたけど、この角度からすれば現代日本における最大の巨人だった。お弔いの場所は生田だという。ということは、うちの職場のそばに住んでおられたのか! まったく知らなかった。

そして死者といえば、デヴィッド・フォスター・ウォレスが先日亡くなったことを知った。ぼくより4歳年下だが、現代アメリカのもっとも才能ある作家のひとりだと誰からも呼ばれてきた。20年来服用していた抗鬱剤の副作用がひどくなったので薬をやめ、するとこんどは鬱がひどくなったのだという。自殺。彼の名声は大学院生のころからずっと耳にしてきたものの、読んだことがない。この機会に読むのもかなしいが、手にとってみようと思う。

すっかり涼しくなった。