Sunday, 6 April 2008

小池桂一『ウルトラヘヴン』イタリア語版+韓国語版

これから取り組もうと思っているあるプロジェクトの打ち合わせのために、ひさしぶりに古いともだちの小池桂一さんに会った。かつて史上最年少で手塚賞を受賞した天才漫画家。その寡作ぶりと完成度の高さは、すでに伝説。そして意識のトリップを一貫して追う作風には、熱狂的なファンがあちこちにいる。

まだ詳細を明かすわけにはいかないわれわれのプロジェクトは、たぶん来年の夏ごろまでにははっきりしてくると思うので気長に待ってもらうとして、うれしいのは彼が手みやげ代わりにくれた傑作『ウルトラヘヴン』のイタリア語訳と韓国語訳。さらにフランス語訳も、すでに発売されているそうだ。

おなじ絵、おなじ展開でも、字面がちがうだけでずいぶん雰囲気が変わる。ハングルが読めないのは残念だけど、イタリア語版をしばらく楽しむことにしたい。その驚くべき展開と緻密な絵が、これからも世界中にひろまっていくことはまちがいない。

ところできょうの音楽はÖykü-Berk のKismet。

http://oykuberkgurman.blogspot.com/

トルコ人兄妹のフラメンコのデュオ。でもトルコ語をぜんぜん知らないので、ファンクラブのブログを見ても何もわからなかった!

Friday, 4 April 2008

「考える人」2008年春号

雑誌「考える人」の第24号は「海外の長篇小説ベスト100」特集。129名の人たちの投票から、100作品がリストに選ばれた。ぼくも回答を寄せている(77ページ)。

堂々第1位に選ばれたのはガブリエル・ガルシア・マルケスの『百年の孤独』。ぱちぱちぱち。

こうしたランキングは、もちろん較べようのないものを較べ、順位などありえないものに順位をつけてみるお遊びでしかないが、「あ、これは読みたい、あれは読んでない」と読書欲をかきたててくれるかぎりにおいて、それなりに楽しいものだ。

しかし、まあランキング自体はまるで無意味だし、何を選ぶかによって浮かび上がるのは選び手の趣味でしかないというばかばかしさも否定できない。また、翻訳で読めるものをあげるというのがほとんど唯一の拘束だったが、たとえば上位にあがっているジョイス『ユリシーズ』などは、翻訳で読んでもほとんど意味はないとぼくは思うし(なぜなら「英語ってこんな風に書けるんだ」ということが興味の中心でストーリーは割とどうでもいい、特によくいわれるギリシャ神話との対比なんて単なる口実にすぎない作品なので)、最低500時間くらいはその作品空間に滞在しなければおよそ何もわからないはずだ(その割にみんなあまりに安易にその名を口にしているが)。

人の性癖とは仕方がないもので、プルーストが大作家であることを知りつつ、ぼくには何度試みても通読できない。部分を読んでその文体のテクスチャーを知れば、それで「もういいや」という気になってしまうのだ。

各選者がつける短いコメントはそれぞれにおもしろいが、なかでは「フランスの現代小説も実はカミュとサルトルが頂点」と断言する作家の松浦壽輝さんのそれがとりわけ印象に残った。

おもちゃカメラの真実

池田葉子『マイ・フォト・デイズ』(えい文庫、「えい」の字は木へんに「世」だが出ないのでごめん)を読んで、すっかり感心してしまった。まだ写真をはじめて5年という女性が、ロモやホルガといったおもちゃカメラで世界を撮りまくる。その絵が、すごい。

彼女は、たとえば花よりは錆びた機械や潰れた空き缶を撮る。景勝の地ではなく、ご近所の誰も気づかない一角を撮る。そこから生まれる写真の、目をみはるばかりの美しさ。

たとえば46と47ページ、ぺしゃんこのキューブに固められた空き缶をロモとホルガで撮り較べたものを見ると、この二つのカメラそれぞれの魂が一目瞭然。感動した。いろんな工夫を凝らして、技法を開発する。その心意気もすごい。

誰でもシャッターを押せばそこそこきれいな絵が撮れるデジタル技術の時代、フィルムカメラがもつ恐ろしいまでの個性と魅力を改めて教えてくれた池田さんに感謝。たとえばこういう方も、いつかぜひディジタルコンテンツ学研究会にお呼びしたいものだ。

Thursday, 3 April 2008

4月17日

以下の催し物のお知らせが回ってきた。ドキュメンタリー制作に関心のある人は、ぜひどうぞ。残念ながら、ぼくはその日行けず。誰か、行ったら、内容を教えてほしい、ぜひ。


         「未来型コンテンツ創造研究会」
〇趣旨(発足の狙い)
  現在、放送と通信の融合や映像による次世代アーカイブスのあり方やコンテンツ産業育成強化及びコンテンツ人材育成が今後のコンテンツ産業にとって重要になっています。
 特に、映像コンテンツの未来像を考えるうえで、制作能力の課題とともに、「多視点からの映像制作」の研究は、コンテンツの将来や国際競争力を高める上で、極めて重要になってきました。
 そこで、時代の先端を作った傑作を素材にして、分野の異なる多視点からの映像分析を
 行い、未来型コンテンツの創造という視点で読む解く研究会を発足しました。
〇参加予定者:
 映像コンテンツ産業関係企業、映像コンテンツ関係大学、映像研究者、次世代アーカイブ関係者、自然科学者・社会科学者・文化研究者等さまざまな分野の専門家、学生他

〇内容:「時代の先端を作った傑作ドキュメントシリーズ」
    (3回シリーズで映像と解説及び討議)
   第1回「新宿」(工藤敏樹氏制作)を素材にして
       今後の予定:第2回「エンデの遺言」(河邑厚徳氏制作)を素材にして
             第3回「ガン宣告」(河邑厚徳氏制作)を素材にして
   講師:河邑厚徳氏(NHKエデュケーション総括エグゼクティブプロデューサー)
(略歴)東京大学(元)・女子美術大学非常勤講師 
NHK代表作:インド心の旅、アインシュタインロマン、チベット死者の書、地球法廷、エンデの遺言、世界遺産他。著書多数。
〇日時:2008年4月17日(木曜日)  18時から20時
〇会費:実費 3000円
    *終了後懇親会等は自由参加
〇場所:青学会館アイビーホール 3F ダイチ
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷4丁目4番25号
電話03(3409)8181 代表 
地図:www.aogaku-kaikan.co.jp/access.html
〇申し込み先:Mail:asahioka@sircjapan.com
または FAX:045-541-1525
(株)社会インフラ研究センター  (代表取締役 旭岡勝義)
          〒222-0002
           横浜市港北区師岡町1146-15
           TEL:045-307-8305
  申し込みは、氏名、所属、連絡先を連絡ください。

Wednesday, 2 April 2008

『<場所>の詩学』

昨年の夏、金沢で開かれた日韓合同文学・環境学会シンポジウムの論文集が出版された。

生田省悟・村上清敏・結城正美編『<場所>の詩学』(藤原書店)

高銀、ゲイリー・スナイダーという二人の現代の大詩人をお迎えしての、大変に充実した集いだった。

「ゲイリー・スナイダーとアジア」と題するパネルでのぼくの発言も収録されている。

「<古き道>をしめす指先に」(pp.248-263)

これまでにあちこちで書いてきたことの語り直しにすぎないので、これ自体に特に新しさはない。すみません。スナイダーの詩作品の詳細な分析を、いずれは試みなくてはならないと思っている。

青森2006(メモ)

ちゃんとしたノートを持ち歩かないので、いつもありあわせの紙にとりとめなくメモをとっている。おととしの夏の旅行のメモが出てきたので、紙を破り捨てるまえに、ここに記しておく。また行きたい、青森。次は冬に?

青森は森。
空から見ると家々のカラフルな屋根が目立つ。
青、水色、レンガ色、赤。
でも市街地はまるで森に反抗するかのように灰色の塊。
陸奥湾というが「陸奥」が「むつ」であるわけはない。
その名は何を意味する?
早速、三内丸山遺跡に向かう。
ちがう。市内に向かうつもりでいたら途中で案内板を見たから。
自動車免許センターとして使われていた?
三内丸山の名は大字三内、字丸山から。
大規模スポーツ施設建設工事の途中で見つかり計画変更。
5000年前から? 当時は海進期でここが海岸(標高20〜30m)。
道幅はそのままで道より高いところが墓地。
「日本人はお墓が好きだから」
年に3㎜位、降りつもる。何が? 有機物。
栗の木。ロシアの栗の木をシベリア鉄道で運んだって。
遺構はすべて水平的に理解されている。
高さはわからないし屋根の素材もわからない。土葺きが魅力的。
とにかく、いい高台。森の生活だったのか?
昼食は発掘丼(来て良がった丼、海鮮丼)。
はまぐりが出てくると栗のソフトクリーム。あ〜、ばかばかし。
それから津軽半島を北上した。陽射しが明るい、子供がいない。
人がそもそも少ない。
下北汽船のフェリー「かもしか」。車は3台のみ。
フェリー乗り場のわきが海水浴場。
子供たちはTシャツを着たまま泳いでいる。
それから1時間の航海。美しい海、しずか。イルカいない。
対岸に着く。ときおり妙に白人的な顔だちの女の人がいる。
それからすぐ恐山にむかい、さらに展望台に。強風。
むつ市のニュ―グリーンホテル泊。

朝出てヒバ埋没林にむかう。
太平洋から打ち上げられた砂の砂丘、いまはクロマツの林に。
しずかで美しい防風林。
猿ヶ森の集落。
それから南下して原発PR館、トントゥ・ビレッジに。
施設がすごいところにある。ビオトープ。
さらに南、松楽で昼食。二色丼、うに丼、いくら丼。
うには紫うにと馬ふんうに。
海岸をゆくと老部と書いてオイッペと読む。
海岸では老婆が昆布を拾っていた。
やどかりを拾う。
六ヶ所村はスポーツ施設の村。誰も使っていない。
そこから太平洋を後に陸奥湾の側へ。
キツネが轢かれている。
浅虫はサンセットビーチ。
そこから青森市街地はまだかなりある。
ぐるりと裏道を通るようにして青森公立大学へ。
国際芸術センター青森はそこに隣接。すばらしい建物。
イラン人のおじさんがすばらしかった。
イラン・パンにサフランで書いた文字。
小枝の読めない文字。JALシティ泊。

朝は早い。青空、快晴。港はくらげが多い。
青森駅は本数が少ない。東北本線と奥羽本線とも
1hにつき2本位しかない。
ここもカラスが多い。
二つの半島を見わたす美しさ。これも噴火湾?
コンビニでは「週刊ポスト」「現代」「SPA」が18禁。
三つの海を同時に見たい。太平洋、陸奥湾、日本海。
それにしても「むつ」とは何。帆立貝の白い貝殻の
すさまじい量の山がある。
再利用のためシェル・サンドをこれで作っている。
どうやって作るんだろう、使うんだろう。

(以下、紛失)

Tuesday, 1 April 2008

いよいよ始動!

はや四月、花冷え、強い風。でも気持ちのいい晴れた一日、われわれの大学院のオリエンテーション第1部が行なわれた。

「新領域創造専攻」は「理工学研究科」の一部だが、駿河台地区(明治では文系の拠点)でも授業をするため、文系大学院のオリエンテーション日であるきょうも全員が参加した。「理工学研究科」そのもののオリエンテーションは一週間後の8日。

われわれディジタルコンテンツ系の修士課程第1期生は13名。かれらと一緒に説明を聞き、明治の建物をまわるうちに、新たな出発の気分がいやでも高まる。どんな組織でもそうだが、その創設期には途方もないことが起きる。創造性が爆発する。みんなが実力以上の何かを実現する。この際、その化学反応を最大限に高め、思いがけない発想が次々に生まれてくる場を組織していきたい。

終了後、アカデミー・コモンそばの「ナポリの下町食堂」で、ピザとビールの簡単なパーティー。この店はまずくはないし手頃なのだが、サービスの面では、もう少し努力を望みたい。それでも地理的に「お隣さん」なので、今回も流れ着いた。そして新しい学生たちとの話は楽しく、それですべてはよし。探求に至上の価値を置くわれわれとしては、食べ物屋の店がどうこうなどということは、ほんとにどうでもいいのだ。

熱に浮かされたように、たとえ吹きさらしの路上でも、着想を話しつづける。そんな空気にみちたプログラムを作っていこう。