Thursday 20 July 2023

「読売新聞」夕刊2023年7月15日

 読売新聞夕刊にエッセー「本と詩と貝殻と」を寄稿しました。コトニ社から出版した2冊の姉妹本についての注釈のような内容です。

ぼくが読売新聞の書評委員を務めたのは10年前のことだが、2年の任期のあいだに書いた48本の書評を含む本をこのたび『本と貝殻』という題名で上梓した。同時に、姉妹本だとただちにわかる装幀で詩集『一週間、その他の小さな旅』も作ってみた。2冊を見れば誰にでも詩と書評がはっきりと地続きの営みだとわかってもらえるだろう。書評とはその本を主題とする詩なのだといってもいい。なぜそんなことを? 理由はただひとつ、本の世界を励ましたいからだ。そして人間の言葉の経験とは、そのおもしろさ、強さ、美しさをつきつめてゆけば必ず詩にゆきつくものだからだ。」