Sunday 17 March 2019

「カメチャブ」をめぐる一考察

みなさん、牛丼が「カメチャブ」と呼ばれるのを、聞いたことがありますか。

ぼくはぜんぜん知らなかったけど、驚いた。この「カメ」はいうまでもなく洋犬のこと(Come here! を「かめや」と聞きなすことにはじまる横浜言葉)で、「カメチャブ」とは牛肉の入った、「洋犬用の餌」を意味するそうだ。

ぼくが「おおっ!」と思ったのは「チャブ」の部分。これは明らかに中国語系(どの方言かは知らない、広東方面?)のchow chowから来ていると思われるが、どうでしょう。食事を表す俗語(犬種にもいましたね、フロイト博士の愛犬)。ハワイに行くとこれがkaukau となり、プランテーション世界での日々の「ごはん」の意味に。

で、牛丼=カメチャブ=犬まんま、という等式が成立。

しかし、ここでふと思わざるをえないのは「ちゃぶ台」という言葉の語源です。「卓袱台」などと書くが、これは当て字と思われる。そもそも明治より前には存在しなかった家具。となると、この「ちゃぶ」も要するに chow に由来するんだろうか。ちゃぶ台そのものが、あるいは中国世界での発明品なのか。

などと書いているうちに吉野家に行きたくなるのは言を俟たない。あるいは「ちゃぷすい」(アメリカン中国料理の定番)が「雑炊」だとしたら、「ちゃぶ=ちゃぷ」は「雑」を意味し、汎用性の高い折りたたみ円卓を「雑卓」とでも呼んだのかしらん。それが移入されて「ちゃぶ台」になったのか。

こうしたすべてはconjectureにすぎないが、興味を引かれる主題ではあります。