Saturday, 6 March 2010

「新潮」2010年4月号

「新潮」4月号にエッセー「詩が歩いてゆく」を寄稿しました。昨秋の青森合宿から1月のスタンフォードまでの総まとめです。

Friday, 5 March 2010

『私自身の見えない徴』、文庫化

エイミー・ベンダーの長編第1作『私自身の見えない徴』が角川文庫に入ります。4月刊行予定。

これはうれしい。ユーモアと切なさ、かわいさと恐ろしいほどの深淵の並び合いは、ちょっぴりジューイッシュなテイストの、エイミーならではの世界。ジェシカ・アルバ主演の映画はとっくにポスト・プロダクションに入ったまま、なかなか公開されませんが、今年は確実に封切られることでしょう。

エイミーの親友であるアリス・シーボルトのThe Lovely Bonesのピーター・ジャクソンによる映画化は、唖然とするほどすばらしい出来映えでした。それよりはたぶんずっとリアリズムで描かれるだろう『私自身の見えない徴』がどんな作品になっていることか、ほんとうに楽しみです。

『燃えるスカートの少女』を読んだ、おもしろかった!という方は、ぜひこの機会に、このふしぎな悲しみをたたえた長編も読んでみてくださいね。

Thursday, 4 March 2010

「本は読めない」、それで?

『本は読めないものだから心配するな』の書評、その後。

「この一冊の本のなかに無数の本が潜んでいる。無数の言葉が響き合っている。文学、民俗学、人類学、写真、音楽、映像......、さらには地、水、火、風、触れるものすべてによって造形されてゆくヒトの声がある」(姜信子さん、「週刊朝日」2010年2月5日号)。

「書物をめぐる言葉の旅に著者はいたって軽装で出かけるわけだが、実はここには独自の立ち位置からの、決して軽くはない読書論、書物論、さらには翻訳論や言語論が展開されている」(林浩平さん、「図書新聞」2010年3月6日号)。

いわばレコードのライナーノーツ集みたいな気ままな本ですが、それを批評の本として真剣に読んでくださったお二人に、心から感謝します。

ひとつの夢想は、この本が自由に分解できて、読み終えた分ずつ、一文ずつ、読んだ人がそれを友人たちに手渡してゆくようなかたちにできないか、ということ。それくらいならインターネットで全文無料公開すればいい?でもね、それではこの紙の質感とか存在感とかとは、まったく違ってくるからな。

手垢がついたりコーヒーの染みがついたりする無数の小さな本になってゆくところが見たい!

遠山先生、さようなら!

3月2日、語学の同僚中の長老である遠山義孝先生の最終講義が生田キャンパスで行われた。

遠山さんは長年、明治理工で哲学とドイツ語を担当。カント研究者だが、理論物理学者で哲学者だった20世紀後半のドイツの知的巨人、ヴァイツゼッカーの直弟子だ。

60年安保のときの活動家で、以後、一貫して、平和論をご自分の哲学の中心に据えて来られた。その重厚な語りに、90分ほどの講義がまたたくまに過ぎた。最後は万雷の拍手。いいフィナーレだった。

ぼくはこれで明治理工に勤めて丸10年。遠山さんとのつきあいもおなじだけ。数年前、まだ子供たちが小さかったとき、組合のスキー旅行で富良野にご一緒したのがいい思い出だ。また、中沢新一さんの内藤礼論をドイツの美術館カタログに載せるため、ぼくが英訳し、ドイツ語訳を遠山先生にお願いしたこともあった。

松本深志出身のアルピニスト。高校生のころ受験勉強をしていると、朝になると瓶のインキが凍っていた、それに比べるといまは温暖化を実感する、といういつか雑談の際にうかがった話が、妙に心に残っている。

今後ますますお元気で、登山と哲学におなじだけの情熱を注いでゆかれることを願っています!

Tuesday, 2 March 2010

9日(火曜日)は青山ブックセンターで

来週の火曜日、青山ブックセンターでの林巧さんとの対談です。遊びに来てくださいね!

『斜線の旅』(インスクリプト)刊行記念

管啓次郎×林巧 トークイベント 
「“旅を書くこと”を語る」

■2010年3月9日(火)19:00~(開場18:30~)

■会場:青山ブックセンター本店内・A空間

■定員:40名様

■入場料:500円(税込)
 
■ 2010年2月13日(土)10:00より

 [1]オンラインストアにて予約受付開始
 [2]本店店頭にてチケット引換券を販売
 (入場チケットは、イベント当日受付にてお渡しします。当日の入場は、先着順・自由席となります。)
 ※電話での受付は行っておりません。

■ お問い合わせ:青山ブックセンター本店03-5485-5511(営業時間: 10:00~22:00)

Monday, 1 March 2010

「水牛」の「犬狼詩集」

八巻美恵さんが運営するウェブジン「水牛」に、詩の連載をはじめさせていただきました。

http://www.suigyu.com/

題して「犬狼詩集」。英語タイトルとしてはDog and/or Wolf Poems のつもりです。16行詩をふたつずつ、毎月1日更新の「水牛のように」に書いてゆきます、生きてるかぎり。

何よりうれしいのは、片岡義男さんの詩と並んでディスプレイ上に表示されること! 片岡さんこそ、ぼくに「アメリカ」をしめしてくださった、個人的な大恩人。70年代半ばの高校のグラウンドで、授業をさぼって『友よ、また逢おう』や『10セントの意識革命』を読んでいたのを、なつかしく思い出します。ハワイに興味をもったのも、片岡さんの作品を通じてのことでした。

八巻さん、ありがとうございました! そしてわが敬愛する詩と翻訳の友人であるくぼたのぞみさん、これからも一緒に「水牛のように」書いていきましょうね。

Aux libres jeux du ciel

ユーラシア旅行社刊行の雑誌「風の旅人」フランス語版が、ついに完成! フランス語版のタイトルは、直訳すれば「天の自由な遊びにまかせて」といった感じです。神々の遊びに翻弄される人間世界、あるいは、彼岸につねに影響を受ける此岸、という含みでしょうか。

ぼくは「風の旅人」39号掲載のエッセー「歩いてゆく」を、自分でフランス語に訳してみました。もちろん、ネイティヴ・チェックがなければ使えるレベルにはならないので、若き友人ケイ・オーサワに校閲を頼みました。おかげで、100倍はよくなった!

日仏混血で東京、サンディエゴその他で育ったケイは、現在エコール・ノルマル・シュペリウールの学生。フランスの知的中枢というべき超エリート校の秀才です。いまは東京に住み、主に東大博物館の企画運営の手伝いをしています。ありがとう、ケイ!

フランス語の文章が活字になったのは初めて。フランス語での発表も数年前の一橋でのシンポジウム以来やってないので、これからはちょっとずつ、そんな機会を作っていきたい。