いまさらといわれそうだが、YouTubeは本当に楽しい。特に楽しいのが、むかしのヒット曲を映像つきで見られること。ぼくにとっては小学校から中学にかけての1970年前後のいくつかの歌のすばらしさを、何度でも楽しめる。
たとえばウェールズ出身のMary Hopkin (1950-)の大ヒット曲Those Were the Days とか、Melanie Safka (1947-) の「ローラースケートの歌」として知られるBrand New Keyとか。大好きだった歌を改めて聴くと、その声のよさ、歌のうまさにほれぼれする。メラニー(当時の)の声、好きだなあ。絶品です。もっとも年をとってからの歌い直しは、ぜんぜんよくない。
ポップ歌手の声というと大好きなのがフランス・ギャルなんだけど、発見したPoupee de Cire, Poupee de son のたぶんテレビ番組の映像は、ちょっとがっかり。歌がはずれ。メラニー(当時の)みたいなスリリングなバランスがなくて。でもその表情を見ていると、並のアイドル100人分くらいの、すごいカリスマがある。歌詞のきれめでちょっと唇をかむみたいにするところや、歌が終わってからの晴れやかな笑顔など。しかしこれも、後の「口パク」になると、ぜんぜんよくない。音程がはずれていても、やはりライヴの魅力か。
他にもぼくがたぶんアメリカ先住民歌手の存在を最初に意識したBuffy Sainte-Marie がPete Seegerと一緒に歌っている映像とか。不思議な楽器を演奏している姿も見られる。こうした白黒時代のテレビ映像がとりわけおもしろい。
こうした文化資源のアーカイヴにどんどん手が届くようになったんだから、すごい。もう現代を忘れ、こうして過去に遊んで暮らすのもいいかな、という気になる。すると一年や二年、すぐ過ぎるだろう。
Monday, 26 November 2007
DC系ホームページ開設!
2008年4月からはじまるわれわれの「ディジタルコンテンツ系」のホームページが開設されました。
http://www.dc-meiji.jp
これからどんどん内容を充実させてゆく予定。ときどきチェックしてみてください!
http://www.dc-meiji.jp
これからどんどん内容を充実させてゆく予定。ときどきチェックしてみてください!
12月8日とアフリカ
岡崎彰さんという最高におもしろい人類学者が一橋大学で主催するアフリカ・セミナーが、12月8日に行われる。アフリカ、ヒップホップ、ダンス、ジェンベ、レゲエ、ひとつでも好きなものがある人は、ぜひ、遊びに行こう。まちがいなく目から鱗が落ちまくる! 気楽に参加できる場になることは確実なので、学部生のみんなもどうぞ!
【第89回】 アフリカセミナー 特集 『アフリカのポピュラーカルチャー』<第三回>
12月8日(土)13:30から18:00まで(13:15開場)入場無料・事前申し込み不要@一橋大学東2号館AV2202号室
(http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html)
岩崎明子「アフリカ・ポップ・アートのグローバル化と西欧的主体の成型:マコンデ、ティンガティンガ、シェタニ画の場合」
小川さやか「ウジャンジャというポップ・アート」
古川優貴「HipHopに音は入らない:YouTube、手話、ケニアの聾学校」
「鼎談:ポスト・ワールド・ミュージック時代のアフリカのポップミュージックとその受容・変容・借用・流通」鈴木裕之、鈴木慎一郎、岡崎彰(質疑・補足は金子穂積と小川さやか、司会は近藤英俊)
18:15以降(till dawn?)、東本館社会人類学共同研究室にて懇親会(費用実費・参加自由)
問い合わせ先: 岡崎彰 (一橋大学) TEL: 042-580-8960 E-mail: akira.okazaki@srv.cc.hit-u.ac.jp
【第89回】 アフリカセミナー 特集 『アフリカのポピュラーカルチャー』<第三回>
12月8日(土)13:30から18:00まで(13:15開場)入場無料・事前申し込み不要@一橋大学東2号館AV2202号室
(http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html)
岩崎明子「アフリカ・ポップ・アートのグローバル化と西欧的主体の成型:マコンデ、ティンガティンガ、シェタニ画の場合」
小川さやか「ウジャンジャというポップ・アート」
古川優貴「HipHopに音は入らない:YouTube、手話、ケニアの聾学校」
「鼎談:ポスト・ワールド・ミュージック時代のアフリカのポップミュージックとその受容・変容・借用・流通」鈴木裕之、鈴木慎一郎、岡崎彰(質疑・補足は金子穂積と小川さやか、司会は近藤英俊)
18:15以降(till dawn?)、東本館社会人類学共同研究室にて懇親会(費用実費・参加自由)
問い合わせ先: 岡崎彰 (一橋大学) TEL: 042-580-8960 E-mail: akira.okazaki@srv.cc.hit-u.ac.jp
Sunday, 25 November 2007
秋の青空、昼も夜も
いま、生明祭が進行中。明治大学生田キャンパス(理工学部・農学部)の学園祭だ。ぼくは学生部委員なので、関連の仕事はまず「お祓い」から! 木曜日、キャンパス内の生田神社に神主さんを呼んで、年に一度のお祓いをする。神社、ついで動物慰霊碑、ついで体育館(神棚のある柔道場)。神社は小さなものだが、すでに葉が色を変えはじめた木々の下で神主さんのコトバを聴きつつ空を見上げると、青い青い青空。
翌日、金曜日からが本番で、キャンパスの巡回業務。部活の発表でも模擬店でも、語学の教室では眠い顔をしているみんなが、やたら元気だ。巡回で楽しいのは農学部エリア。農場でとれた野菜類ばかりか、本格的なりんごやラ・フランスなんかも売られていて、近くの住民の人たちが殺到している。これほど確実な「地域貢献」もない! 最高の人気は花卉園芸部が作る花や観葉植物。去年、ベスト展示に選ばれたが、これはどこの花屋さんにも負けないくらいで、しかも安い。このときちょっと目をつけておいたサボテンの大きな鉢、あとで買いに行きました。研究室のテーブルに、猫のようにすわらせてみた。
土曜日は巡回からはずしてもらい、夕方から早稲田大学英語英文学会での講演。あいにく、尊敬する翻訳家・若島正さんの講演と完全にバッティングし、『ロリータ』の名訳に魅了された人たちはそちらに流れたようだ。ぼくだって、そっちに行きたかった! これでこちらの聴衆はかなり減ったが、かえってリラックスした、親密な雰囲気でできてよかった。来てくれたみんな、終わってから話もできなくてごめん。またゆっくり。
講演のタイトルは『翻訳=世界=文学』、サブタイトルが「ヘレン・ケラー、バベル、パンの名前」。感覚を遮断されたヘレン・ケラーにとっての言語の力、旧約聖書のバベル神話への疑問、そしてマサチューセッツのシリア系移民にとっての翻訳不可能なパンの名前をめぐる話。これまでにぼくが人前でした話の中では、たぶんいちばん重要なもの。それから「翻訳世界文学」の実例としてアティーク・ラヒーミー『灰と土』、チママンダ・アディーチェ『アメリカにいる、きみ』、シルヴィー・ジェルマン『マグヌス』の3冊の紹介。終わって外に出ると、大隈講堂の真上、快晴の夜の青空に満月。あまりに絵になる風景だった。並木道と講堂に、絶妙な角度をつけている。
これでひとつ、気持ちの上で大きな仕事が片付き、次は年末、大阪での英文学会、若島さんたちとの「コスモポリタニズム」をめぐるシンポジウムが待っている。あとは遅れている原稿いくつかと、大幅に遅れている翻訳。関係者のみなさん、すみません。今年はあまりに早く終わろうとしているからびっくりしているが、今日もこれから生田へ。巡回、それから顔を見せる卒業生のやつらと、これも農学部名物のジンギスカンでも食べながら乾杯しようか。
翌日、金曜日からが本番で、キャンパスの巡回業務。部活の発表でも模擬店でも、語学の教室では眠い顔をしているみんなが、やたら元気だ。巡回で楽しいのは農学部エリア。農場でとれた野菜類ばかりか、本格的なりんごやラ・フランスなんかも売られていて、近くの住民の人たちが殺到している。これほど確実な「地域貢献」もない! 最高の人気は花卉園芸部が作る花や観葉植物。去年、ベスト展示に選ばれたが、これはどこの花屋さんにも負けないくらいで、しかも安い。このときちょっと目をつけておいたサボテンの大きな鉢、あとで買いに行きました。研究室のテーブルに、猫のようにすわらせてみた。
土曜日は巡回からはずしてもらい、夕方から早稲田大学英語英文学会での講演。あいにく、尊敬する翻訳家・若島正さんの講演と完全にバッティングし、『ロリータ』の名訳に魅了された人たちはそちらに流れたようだ。ぼくだって、そっちに行きたかった! これでこちらの聴衆はかなり減ったが、かえってリラックスした、親密な雰囲気でできてよかった。来てくれたみんな、終わってから話もできなくてごめん。またゆっくり。
講演のタイトルは『翻訳=世界=文学』、サブタイトルが「ヘレン・ケラー、バベル、パンの名前」。感覚を遮断されたヘレン・ケラーにとっての言語の力、旧約聖書のバベル神話への疑問、そしてマサチューセッツのシリア系移民にとっての翻訳不可能なパンの名前をめぐる話。これまでにぼくが人前でした話の中では、たぶんいちばん重要なもの。それから「翻訳世界文学」の実例としてアティーク・ラヒーミー『灰と土』、チママンダ・アディーチェ『アメリカにいる、きみ』、シルヴィー・ジェルマン『マグヌス』の3冊の紹介。終わって外に出ると、大隈講堂の真上、快晴の夜の青空に満月。あまりに絵になる風景だった。並木道と講堂に、絶妙な角度をつけている。
これでひとつ、気持ちの上で大きな仕事が片付き、次は年末、大阪での英文学会、若島さんたちとの「コスモポリタニズム」をめぐるシンポジウムが待っている。あとは遅れている原稿いくつかと、大幅に遅れている翻訳。関係者のみなさん、すみません。今年はあまりに早く終わろうとしているからびっくりしているが、今日もこれから生田へ。巡回、それから顔を見せる卒業生のやつらと、これも農学部名物のジンギスカンでも食べながら乾杯しようか。
Friday, 23 November 2007
Thursday, 22 November 2007
「世界文学」のほうへ
20日(火)、池澤夏樹個人編集という画期的な「世界文学全集」(河出書房新社)の発刊を記念するシンポジウムを聴きに東大文学部に行った。今学期、非常勤でフランス語系アフリカ文学を教えている東大駒場の学生のみんなと。本郷キャンパスは闇が濃くて、さすがに歴史を感じさせるが、構内にカフェができたりして東大もずいぶん変わったもんだ。それはともかく。
現代日本語の作家でたぶんもっともよく「世界文学」に自覚的な、つまりは「翻訳文学」をもっともよく読んできたひとりであるにちがいない池澤さんは、前日に現在住んでいるフランスから着いたばかり。進行はアメリカ文学の小さな巨人、柴田元幸さん。他のパネリストはロシア・ポーランド文学の沼野充義さん、そしてトロントのヨーク大学で教えるデンマーク出身の日本文学者テッド・グーセンさん。すばらしい顔ぶれで、世界文学をめぐる笑いの絶えない楽しい議論が続いた。
池澤さんのお話では、24冊を選ぶことの意味、が印象的だった。根拠なく24、しかしその限定が大切。限定されていて、なるべく普遍的なものをめざす。全体として、The world according to Literature、つまり「文学によると、世界は」という像を提示する。
このシンポジウムのタイトルは「世界解釈としての文学」だったが、これを柴田さんは「私にとってセカイってこういう感じです、という自由研究の発表みたいなもの」とさらりと表現していた。なるほど。この24冊のセレクションに日本文学は入っていないが、もし入れるとしたらどうするというグーセンさんの質問に対して上がった大江健三郎、中上健次、村上春樹という名前に、池澤さんがさらに石牟礼道子『苦海浄土』を加え、もし一冊となったらこれ、とおっしゃったのには感動した。
柴田さんとは数年前の立教のシンポジウムで、沼野さんとは昨年の名古屋市立大学でご一緒したが、お二人ともほんとうに話し上手。そして柴田さんのユーモアは、いつも見習いたいと思いつつ、はたせない。ユーモアと即興の才は「話」の決め手だが、文学という「文」の仕事もじつは「話」の裏打ちに支えられてゆたかになることを、改めて思った。
この世界文学全集の第1回配本は青山南さんによるジャック・ケルワックの『オン・ザ・ロード』。ぼくにとっても特別な作品だ。シリーズの刊行を追いつつ、ぼくも「世界文学」との関係を新しく考え直してみたい。この土曜日には早稲田で講演する。タイトルは「翻訳=世界=文学」。構想は固まってきたが、これから準備。興味がある人は、覗いてみてください。
現代日本語の作家でたぶんもっともよく「世界文学」に自覚的な、つまりは「翻訳文学」をもっともよく読んできたひとりであるにちがいない池澤さんは、前日に現在住んでいるフランスから着いたばかり。進行はアメリカ文学の小さな巨人、柴田元幸さん。他のパネリストはロシア・ポーランド文学の沼野充義さん、そしてトロントのヨーク大学で教えるデンマーク出身の日本文学者テッド・グーセンさん。すばらしい顔ぶれで、世界文学をめぐる笑いの絶えない楽しい議論が続いた。
池澤さんのお話では、24冊を選ぶことの意味、が印象的だった。根拠なく24、しかしその限定が大切。限定されていて、なるべく普遍的なものをめざす。全体として、The world according to Literature、つまり「文学によると、世界は」という像を提示する。
このシンポジウムのタイトルは「世界解釈としての文学」だったが、これを柴田さんは「私にとってセカイってこういう感じです、という自由研究の発表みたいなもの」とさらりと表現していた。なるほど。この24冊のセレクションに日本文学は入っていないが、もし入れるとしたらどうするというグーセンさんの質問に対して上がった大江健三郎、中上健次、村上春樹という名前に、池澤さんがさらに石牟礼道子『苦海浄土』を加え、もし一冊となったらこれ、とおっしゃったのには感動した。
柴田さんとは数年前の立教のシンポジウムで、沼野さんとは昨年の名古屋市立大学でご一緒したが、お二人ともほんとうに話し上手。そして柴田さんのユーモアは、いつも見習いたいと思いつつ、はたせない。ユーモアと即興の才は「話」の決め手だが、文学という「文」の仕事もじつは「話」の裏打ちに支えられてゆたかになることを、改めて思った。
この世界文学全集の第1回配本は青山南さんによるジャック・ケルワックの『オン・ザ・ロード』。ぼくにとっても特別な作品だ。シリーズの刊行を追いつつ、ぼくも「世界文学」との関係を新しく考え直してみたい。この土曜日には早稲田で講演する。タイトルは「翻訳=世界=文学」。構想は固まってきたが、これから準備。興味がある人は、覗いてみてください。
Tuesday, 20 November 2007
私の世界にいらっしゃい
土曜日、ディジタルコンテンツ学研究会も第7回。ゲストに映画・美術研究の平倉圭さんをお迎えし、現代における、分身やシミュラクルの問題を語っていただいた。中心となったのはスティーヴン・スピルバーグ監督の『マイノリティ・リポート』(2003年)とトニー・スコット監督の『デジャ・ヴュ』(2006年)の分析。現実がいかに映像に蚕食されてゆくかを語る2作品の不気味な魅力を思い知らされた。
特に気に入ったのが、ミシェル・ゴンドリー監督によるカイリー・ミノーグのビデオクリップ、Come into My World。ゴンドリーのEternal Sunshine of the Spotless Mind がぼくは大好きで、毎年、英語の授業で見せている。このクリップは知らなかったが、クレイジーな傑作! 早速買ってきて、毎日観ている。
ご自身もアーティストで映像を使ったインスタレーションを作っている平倉さんの今後に期待したい。平倉さんは、ぼくの若き友人でフランスの作家=詩人=アフリカ研究者ミシェル・レリスの研究者である大原宣久くんの友達でもある。この2人は1977年生まれ。冒険家・写真家の石川直樹さんもそうだ。あるいは明治理工での英語の同僚、謎のアメリカ作家ピンチョンの研究者である波戸岡景太さんも。
そしてわれらがディジタルコンテンツ系の同僚、宮下芳明さんが1976年生まれ。みんなぼくとは20歳近く違うが、最近はこの世代の人たちから受ける刺激がもっとも内実があるような気がする。
40歳を「不惑」とはよくいったもので、40歳を超えると新たな方向を探るよりは、それまでの方向の完成や洗練に目が行くのは避けられないだろう。それに比べて、30代は試みの歳月、実験の年齢。ぜひどんどん新たな地平を広げてください。
特に気に入ったのが、ミシェル・ゴンドリー監督によるカイリー・ミノーグのビデオクリップ、Come into My World。ゴンドリーのEternal Sunshine of the Spotless Mind がぼくは大好きで、毎年、英語の授業で見せている。このクリップは知らなかったが、クレイジーな傑作! 早速買ってきて、毎日観ている。
ご自身もアーティストで映像を使ったインスタレーションを作っている平倉さんの今後に期待したい。平倉さんは、ぼくの若き友人でフランスの作家=詩人=アフリカ研究者ミシェル・レリスの研究者である大原宣久くんの友達でもある。この2人は1977年生まれ。冒険家・写真家の石川直樹さんもそうだ。あるいは明治理工での英語の同僚、謎のアメリカ作家ピンチョンの研究者である波戸岡景太さんも。
そしてわれらがディジタルコンテンツ系の同僚、宮下芳明さんが1976年生まれ。みんなぼくとは20歳近く違うが、最近はこの世代の人たちから受ける刺激がもっとも内実があるような気がする。
40歳を「不惑」とはよくいったもので、40歳を超えると新たな方向を探るよりは、それまでの方向の完成や洗練に目が行くのは避けられないだろう。それに比べて、30代は試みの歳月、実験の年齢。ぜひどんどん新たな地平を広げてください。
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