2013年3月31日日曜日

さあ、明日から6年め

われわれのディジタルコンテンツ系が開設されたのは2008年。その前年度、2007年に、コンピュータ科学者で作曲その他のマルチプレーヤーでもあるフィレンツェ生まれの宮下芳明さん、美術史・写真史の第一人者でそれまで横浜美術館に学芸員として勤務していた倉石信乃さんに明治に来ていただき、開設準備を始めたのでした。

そのころのブログ(ごく一時期使っていてその後、放置)を改めて見直すと、いろいろな感慨が。すでに6年前です。驚き。DC系のおかげで、ぼくの人生も激変しました。学生たちもすでに5期生までを送り出したわけです。多くは修士課程の2年間で大きく成長してくれました。
あらゆる制度がそうであるように、われわれには永遠はありません。いつかは必ず終わる、あるいは根源的組織替えが必要になるでしょう。

でもそのつど、いまあるかたちを最大限に生かして、つねに創造の道を探りたいものです。明日からの新年度、みんな、よろしく!

(そのころのブログは以下にあります。ちょっとなつかしい。当初は秋葉原駅前のダイビルの一角を基地にしていました。それも楽しかった!)

http://thedigitaltarokaja.blogspot.jp/


笠間悠貴個展

ディジタルコンテンツ系博士前期課程の新入生、笠間くんが個展を開催します。写真を専門とする彼は倉石信乃研究室に所属しますが、昨年からおりにふれていろいろな行事を手伝ってくれました(12月のオムニフォン・シンポジウムの運営など)。

銀座にお出かけの際には、ぜひごらんください。

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この度、銀座コバヤシ画廊において写真展を開催します。

約1年半ぶりの個展です。10m/s以上の風の中、大判カメラで撮影した作品です。揺らぐ景色の中、写るものと写らないものとの間に作品が成立することを目指しました。

お時間がありましたらどうぞお立ち寄り下さい。また、オープニングパーティーにも是非おいでください。

日時 :
2013年
4月15日(月)〜20日(土)
11:30〜19:00(最終日17:00)
Opening Party
4月15日17:30〜

場所:
銀座コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12ヤマトビルB1
http://m.google.com/u/m/xQY6lB

コバヤシ画廊URL:
http://www.gallerykobayashi.jp/

2013年3月25日月曜日

蝶の道は消えた?

竹富島に3年ぶりに行きました。いまは亡き友人が好きだった「蝶の道」がある島。集落からアイヤル浜へいたる細い道がそれで、恐いほどの数の蝶が飛び交う、この世とも思われぬ道でした。

それが、どうも様子が変。たしかに蝶がたくさんいるのですが、印象だけでいうとかつての10分の1くらいの密度でしか見られない気がします。明らかにひどく少ない、おやっと思うほど。

いろいろな花の時期がずれこんでいるのかと訝ったのですが、宿のおじさんと話して疑問氷解。開業したばかりの高級リゾートの建設で、この島はかつてなかった規模で手つかずのエリアを失ったようなのです。

蝶の世界は非情。生息環境が破壊されれば、たちまち1000がゼロになり、環境が回復されないかぎり、かれらは帰ってきません。

素敵で贅沢で快適そのものだと想像にかたくない高級リゾートですが、あの蝶の道と引き換えにしてまで、この島に必要なものだったんだろうか。むしろ島を蝶サンクチュアリとして、開発を禁じてほしかった。

思い出の中の蝶の道をたどる以外になさそうです。ともだちの霊魂と対話しながら、のんびり、のんびり。蝶そのものが死者の魂だという伝説は各地にあるようですが、蝶が少なくなったとき、ぼくらの死後は魂を欠いた死後になるかも。さびしいことです。

2013年3月24日日曜日

読売書評#31

3月24日掲載。志賀理江子+せんだいメディアテーク『螺旋海岸/notebook』(赤々舎)。昨年11月から今年1月にかけて開催された写真展『螺旋海岸』に付随するレクチャー集。手応えのある言葉。名取市北釜集落の専属住み込みカメラマンだった志賀さんの、3月11日とその後の体験が語られます。彼女の写真を見て、彼女の文章を読んで、われわれは次にどんな動きを? お勧めします。対話の相手役を務める竹内万里子さんの聡明さも光っています。

2013年3月20日水曜日

3月11日のセットリスト

11日のレイニーデイで第1部に読んだ詩のセットリストを備忘のために記しておきます。第1行のみ。全8片。

(『島の水、島の火』より)
 波に洗われた土地に倒れた桜が
 長いあいだぼくは地水火風という
 幼いころ海岸に住んでいた私と姉は

(『海に降る雨』より)
 火山は火山ごとのむすびめだった
 どうしても海岸に引き戻される
 屈強な石工の体をもってかつて
 ある南島の温暖な冬、おだやかな愛の島で
 歩きながら泳ぐような動作で

1片が約1分40秒。河合監督の映像作品を流しつつ読みましたが、事前の打ち合わせはいっさいなし。詩の語句と画面がシンクロしたように見えた部分は、すべてまったくの偶然です。ふしぎ。

 

2013年3月19日火曜日

Days Japan 2013年4月号

日本の代表的フォトジャーナリズム誌「Days Japan」。その9周年記念号は特集「チェルノブイリ読本」ですが、なぜかアンセル・アダムスをめぐる短い文章を書かせてもらうことになりました。

アンセルの完璧な写真、4点。ぼくにとっては北アメリカ大陸西部のスピリットそのものです。

台中への旅

台中にある東海大学は台湾最古の私立大学、1955年創立。3月16日(土)、この驚くべき広大で美しいキャンパスで開催されたシンポジウム「東アジア現代文学と<周縁>の言語 グローバル化時代の批判的<文学>」に参加しました。

基調講演者はわれらがリービ英雄さんと、原住民作家のワリス・ノカンさん。それぞれにソウルフルな講演にはじまり7人の発表のいずれも新しい視野を開いてくれる、すばらしい一日でした。

ぼくはまとめの討論にコメント役として参加。もっとも、聴衆として参加していた温又柔さんを紹介するのが最大の役目で、それをはたすことができてほっとしました。

翌日、少年時代をすごした台中を52年ぶりに再訪したリービ英雄さんやその一番弟子である温さんとともに、台中の市街を歩きました。感動的な、記憶への旅。その全貌を、映像作家の大川景子さんがドキュメンタリー・ビデオとして制作しています。完成したら上映会を開きます。ここで告知しますから、ぜひ覚えておいてくださいね。

東海大学でシンポジウムを組織してくださった笹沼俊暁さん、ありがとうございました!

3月12日、くぼたのぞみさんと

六本木ミッドタウンにあるスルガ銀行のd-laboで、くぼたのぞみさんに現代アフリカ文学をめぐるお話をうかがいました。特にチママンダ・アディーチェとJ・M・クッツェー(という対照的なふたり)に焦点を合わせて。クッツェー作品の舞台を訪ねた南アフリカのスライドショーを含め、あっというまの2時間でした。

アフリカというあまりにも魅力的な大陸への最良の手引きとなるのは、政治状況の報告でも経済状況の解説でもなく、文学作品です。まずはいずれかの作品を、ぜひ手にとってみてください。

2年めの3月11日に

3月11日、レイニーデイで朗読劇『銀河鉄道の夜』を上演しました。誰の何の役に立つわけでもありませんが、ぼくらとしては精一杯の鎮魂の場でした。

カリスマ・フラ語教師、清岡智比古さんの報告。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/03/blog-post_12.html

2011年12月24日にSaravah東京で初演して以来、毎回変更を加え少しずつ育ててきたこの劇ですけれど、この3月11日ヴァージョンをもって、いちおうの完成形に達したと思います。古川日出男の全霊がこめられています。

一緒に演じている仲間としても息を飲んだのは、このヴァージョンのために新たに作られたキャラクター「らっこの上着」。無生物の主体を、柴田元幸さんが演じます。非常に森閑とした気分になりました。

見にきてくださったみなさん、本当にありがとうございました。

さて、店長の林下さんがレイニーデイを離れるため、この思い出深い場所での上演はこれが最後になりそう。林下さん、この2年間は忘れられません。ありがとう、そして次のステップでもがんばってくださいね。


2013年3月10日日曜日

南相馬から帰りました

9日(土)、南相馬市立図書館でドリアン助川=明川哲也さんとの2人朗読会を開催しました。『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)の朗読会としては、これが20回めになります。

あらゆる細部まで配慮のゆきとどいた、建築としても施設としても最高にかっこいい図書館のカフェ空間で、マイクをつかわない生の声の朗読会。30名ほどの聴衆を前に、あっというまの90分でした。

その前後、ドリアンさんと南相馬を回りました。被害の痕は唖然とする状態でいまもまざまざと残っています。今日(日曜日)は、森幸彦さんをはじめとする福島県立博物館のみなさんにご案内いただき、この土地でいったい何が起こり、そのあとどんなふうに事態が推移していったかを、詳しく教わりました。

いちばん強く思うのは、「国」という機構の機能不全、「政府」という存在の無責任ぶりです。地元=地方自治体の判断のほうが正しい場合、それをじゃますることにしかならない。そして住民にまるで無用な、余分な苦労を強いる。

もちろんぼくに何がいえるわけではなりませんが、この段階から、新たにこの地域のことを学んでゆくのも、意味のないことではないでしょう。こんどは学生たちを連れていきたいと考えています。

「ことばのポトラック」の持続!

サラヴァ東京を舞台に、大竹昭子さんが中心となって粘り強く続けられている朗読イヴェントが「ことばのポトラック」。第9回は3月16日(土)です!

http://kotobanopotoluck.blogspot.jp/

東日本大震災と原発事故の深刻な衝撃の中、2011年3月27日に第1回を開催したこのシリーズ。小さく無力な声を束ねつつ、ごくわずかな希望を新たにつむぎ、持続的に分かち合ってゆこうというその姿勢は、『ろうそくの炎がささやく言葉』の朗読会とは姉妹のような関係にあります。

そして古川日出男、小島ケータニーラブ、柴田元幸とぼくの朗読劇『銀河鉄道の夜』も、「ポトラック」および「ろうそくの炎」の接点からサラヴァ東京で生まれたものでした。

今回も刺激的な作家・詩人たちが集まります。ぜひいらしてください!

読売書評#30

吉田裕『バタイユ 聖なるものから現在へ』(名古屋大学出版会)。3月10日掲載。

バタイユの全貌を丁寧に論じた好著です。予備知識がなくてもだいじょうぶ、まっすぐに核心に連れていってくれます。

2013年3月6日水曜日

「すばる」4月号

「旅きり」の名で親しまれるようになった連載「旅ときりぎりす」第4回は「ドミニカ共和国」です!ついこのあいだなのに昔のようになつかしいのはなぜ?ぜひごらんください。

バスクの小説家キルメン・ウリベの日本滞在記も掲載されています。もちろん、金子奈美訳。

さあ、「旅きり」次はどこへ?


2013年3月5日火曜日

グローバル化時代の世界文学と日本文学

東大本郷、三四郎池そばの山上会館で3、4日に開催されたシンポジウム。ぼくは4日午前のセッションWhat Does 'Original' Mean in Translation? に参加しました。藤井光さん(アメリカ文学)、松永美穂さん(ドイツ文学)と。司会はイルメラ日地谷キルシュネライトさん。

ぼくの発表はどうにもまとまりが悪かったけれど、ともあれ活発な質疑応答と意見交換がなされ、午後につながっていきました。新たな友人を得て、充実した春の一日でした。沼野充義さん、柴田元幸さんら、主催の東大現代文芸論のみなさん、特に運営実務を担当してくれた大学院生のみなさん、ありがとうございました!

毎日新聞3月4日(月)

4日の毎日、「新世紀世界文学ナビ」ジャメイカ・キンケイド篇を書きました。キンケイド、先月、10年ぶりの長篇を発表。あの異様な文体に、ますます磨きがかかったようです。

2013年3月3日日曜日

東京国際文芸フェスティヴァル

東京国際文芸フェスティヴァル、進行中です。

http://tokyolitfest.com/contents/participants

2日(土)の21時から、六本木のスーパーデラックスで、われわれの朗読劇『銀河鉄道の夜』短縮版を上演しました。通常版の半分にもみたない長さでしたが、満員のお客さんの熱気がすごかった。まずまずの出来映え。

次は11日、震災2周年のその日に、レイニーデイで完全版をやります!