2010年10月31日日曜日

嵐の中の『美しい島々』

ドキュメンタリー映画監督・海南友子さんの講演、終了。台風接近の中、お客さんが来てくれるのかなあと心配していたら、30数名の方が。まずはほっと胸をなでおろしました(と言葉ではいうが実際に動作として「胸をなでおろした」ことは一度もない)。

海南さんの傑作ドキュメンタリー『ビューティフル・アイランズ』から一部(ツバルの部分)を見せていただき、それからお話をうかがう。歴戦の海南さん、さすがに堂々として的を射たお話に、みんな深く頷きながら(これは実際に「頷き」)耳を傾けていました。

これはすばらしい、重要な作品で、そのしずけさが印象的。ナレーションなく、BMGなく。土地の息づかい、人々の語りを、あまり動かないカメラで丁寧に追ってゆきます。

お話を聞きながら思ったのが、映画監督の大変さ。構想し、行動し、説得し、調整し、そのあいだに途方もない旅をし、ものすごい数の人に出会い、その果てにやっと自分のヴィジョンがかたちをとって。ぼくにはとてもできっこありませんが、強く惹かれるものがあります。

海南さん、これからもよい旅を! この作品がさらに多くの人に見られ、人々が地球上での共通の運命を考えるための素材となることを願うとともに、劇映画だという次回作にも心から期待します。

2010年10月30日土曜日

高校スキップ

大澤真幸さんの特別講義、終了。最高でした。量子力学からピカソへ、ベンヤミンからレーニンへ。息つくまもない2時間の高速ドライヴ。その精緻でいて大胆な展開に、学生たちも同僚たちも圧倒されていました。

思想系のことをやっている同い年の友人・知人たちでは、赤間啓之と大澤真幸のふたりに、学生時代からの20数年、大きな刺激を受けてきました。ぼくは哲学知らず思想知らずで、無知しか売り物がないのが残念。でも今日のような講義を聞くと、またやる気が湧いてきます。新しい組み立てのための。

終了後、簡単なレセプション。うちの学生である大洞くん、そしてその親友ともいえる仲野くんも参加。このふたりの大きな共通点は、高校をスキップして大検でつないできた、という点。すると本日の講義の最年少の参加者である慶應のKくん(未成年)が、自分もそうだというので驚きました。普通、学部の1年生はこういう場には顔を見せないものですが、やる気にあふれ、また話をよく聞いて理解している彼に、脱帽。ぜひ将来は明治の大学院に来てほしいものです。3年なんてあっというまだし。

かれら3人は、いずれも本気の読書家です。そして、独創的(独走的?)独学者たち。高校になじまないからといって、コースをはずれたなんて思う必要はない。むしろ、思い切り、知的な正道を歩んでいると思えます。(われわれの物理学科の同僚にもひとり大検出身者がいます。)

衝撃の快著『切りとれ、あの祈る手を』の著者・佐々木中さんも高校には三ヶ月しか通わなかったとか。なんか、そっちのほうが今後は真剣なインテリたちの王道になるような気もします。

高校スキップ、ただちに本を読むこと書くことに取り組む。そんな経験のある数人が集うと、われわれのプログラムは絶対的に異色のプログラムとなるはず。ぜひ集ってください!

2010年10月28日木曜日

海南友子さん、土曜日

明治大学リバティアカデミーに海南友子さんをお迎えするのも、いよいよ今週の土曜日に迫りました。午後2時から4時まで。無料ですが、事前登録が必要です。

http://academy.meiji.jp/ccs/pdf/open/2010fall4.pdf

その美しい映像の影にひそむ事態を、みんなで考えてみましょう!

2010年10月27日水曜日

大澤真幸さん特別講義、いよいよ金曜日です!

現代という時代の性格について考え抜いてきた、現代日本の代表的社会学者である大澤真幸さん。新領域創造専攻の特別講義にお招きしました。お誘い合わせの上、ぜひご参加ください。

大澤さんは、つい最近2冊の新著を出されました。『量子の社会哲学』(講談社)と『生きるための自由論』(河出ブックス)です。明後日の講義は、おそらく前者に深く関係するものと思われます。

それでは明後日、お会いしましょう! 15時10分から受付を開始しますので、必ず受付をすませてからご入室ください。もちろん、参加は無料です。



「〈第二の科学革命〉の知識社会学――量子力学、キュビスム、そして革命」

普通は「科学革命」と言いますと、ニュートンなどが出てきた17世紀の科学の変化を指すわけですが、私は、20世紀初頭の科学、とりわけ物理学の革新(相対性理論‐量子力学)を「第二の科学革命」と呼んでおります。

この「第二の科学革命」を、同時代の芸術や政治の変化と関連づけることで、20世紀以降の「近代社会の変容」について考えるのが、講義の主題です。(大澤)


日時 10月29日(金) 15:30~17:30
場所 生田キャンパスA館マルチメディアルーム(A401,A402)

参加無料、予約不要。ただし当日15時10分から受付を開始いたしますので、氏名・所属のご記帳をお願いいたします。 

2010年10月26日火曜日

さあ、これを読め

「彼らは読んだ。読んでしまった以上、読み変えなくてはなりません。読み変えた以上、書き変えなくてはならない。読んだことは曲げられない、ならば書き始めなくてはならないのです。繰り返します。それが、それだけが『革命の本体』です。」

佐々木中『切りとれ、あの祈る手を』(河出書房新社)を読んで、強い衝撃を受けた。ルターやムハンマドがいかにどれほどまったく重要な人たちか、初めて知った。そして「中世解釈者革命」。この本、ゼミの冬休みの宿題に決定です。

2010年10月24日日曜日

「びーぐる」第9号

大阪で発行されている季刊「びーぐる 詩の海へ」第9号に詩を2つ掲載していただきました。いずれももちろん16行詩。いずれは「Agend'Ars 2」に収録されるはずです。

この号の特集は「詩人の遺言/詩と詩人」。40名を超える人たちに対するアンケート「死と詩」に、いろいろな想念が湧いてきます。

同誌の発行所は澪標 。編集は山田兼士さん。どうもありがとうございました。

2010年10月23日土曜日

シンポジウム終了

西山雄二監督『哲学への権利』上映会+「哲学とは何か、大学とは何か?」シンポジウム、本日終了。この種の催しで120人入るのは、すごい。大成功だったといっていい。

『哲学への権利』は、コレージュ・アンテルナシオナル・ド・フィロゾフィーがいかなる制度・組織であるかを7人の関係者に対するインタヴューで浮かび上がらせる意欲的なドキュメンタリー。これを通じて、<哲学>と<大学>がいまどのようにあるかを、考えないわけにはいかなくなる。

上映後のシンポジウムでは監督の発言にひきつづき、4名のパネリストが映画に触発されたいろんな考えを述べました。ぼくは主としてアメリカ19世紀の思想家ソローについて。

何より感動したのは、西山さんの行動力。これで39回めの上映会、そのつど議論をし、アンケートを集め、改良すべき点を模索してきた。ともかく、映画が旅をするのについてゆく。フランスにもアメリカにも韓国にも。作品のまわりでつむがれる言葉に身をさらし、反応し、また次の場所へ。なんという過酷な旅。彼の旅自体が哲学的活動。この気持ちに感染して、こっちもやる気が湧いてくる。

この映画のホームページには、早速、今回の報告がアップされています。]

http://rightphilo.blog112.fc2.com/

桜井、岩野、合田という明治の同僚たちの発言は、さすがの重厚さ、鋭さ。哲学の教室から離れて久しいぼくも、ふたたび哲学的な問いに直面する気になります。とりわけ桜井さんがイリイチの試みにふれ(今年のぼくの前期ゼミはイリイチを読んでいた)、合田さんがアランの重要性を強調し、またアメリカのプラグマティズムに対する評価を述べてくれたのは、まさに我が意を得たり、でした。

岩野くんの発表を聞くのは、学生時代の教室以来、28年ぶりくらい!おだやかな口調でじつはラディカルなことを、わかりやすく語ってゆく姿に、横で聴いていて感動を覚えた。

『哲学への権利』は来月の首都大学東京での上映会でひと区切りとか。行ったことのないキャンパスに、いちど行ってみてもいいという気がしています。

ところで金曜日の四谷につづいて土曜日のお茶の水でも、小詩集「熱帯詩+リスボン」は完売でした。15部ずつ。みなさまお買い上げありがとうございました。まだまだ残部はたくさんありますので、まだお持ちでない方は、どこかで何かの機会にお求めください。

四谷で

四谷アート・ステュディウムでのゲスト講義、終了。たくさんの方に来ていただき、ほんとうにありがとうございました。きょう取り上げた作品のリストを末尾に。

最後は駆け足になってしまいましたが、「母」をめぐる話として紹介したかったものばかり。そしてシャロン・クリーチに関しては、最後におばあちゃんが死んでしまうことを伝えそこねました。すみません。

人間関係はけっして2世代では完結せず、3世代を見てゆかなくてはならない。そして人のだれもが、「自分の場合」と「一般論」の両方を同時に考えなくてはならない。

下の作品群は、いずれも自信をもってお勧めできます。泣けます。泣いてください。笑いながら泣いてください。乾いた涙で泣いてください。


1)Eugénio de Andrade (1923-2005), “Casa na Chuva”
エウジェニオ・デ・アンドラーデ 「雨の中の家」
2)Jamaica kincaid (1949-), At the Bottom of the river
ジャメイカ・キンケイド 短編集『川底に』(平凡社)から「夜の中を」「母」
3)Aimee bender (1967-), Willful Creatures
エイミー・ベンダー 短編集『わがままなやつら』(角川書店)から「飢饉」
4)Sharon creech (1945-), walk two moons
シャロン・クリーチ 『めぐりめぐる月』(もきかずこ訳、偕成社)
5)Marilynne robinson (1943-), housekeeping
6)Roddy doyle (1958-), her mother’s face

2010年10月22日金曜日

哲学とは、大学とは?

23日(土)午後1時から、西山雄二監督のドキュメンタリー『哲学への権利 国際哲学コレージュの軌跡』の上映会があります。明治大学リバティータワー2階の1021教室にて。

ひきつづき午後3時からシンポジウム「哲学とは何か? 大学とは何か?」が開かれます。西山雄二、合田正人、管啓次郎、桜井直文、岩野卓司が参加。

哲学知らずのぼくなどまったく出る幕ではないのですが、「哲学」を特別なものにしないためにも、素人の参加が望まれるということでしょう。

そして! この場を借りて(ぼくの話の中で)われわれの国際ワークショップImaginAsiaが生んだ映像作品Passingの上映を予定しています。長さ10分あまりの短編ですが、見たことのない表参道の映像が深い衝撃を与えることでしょう。

もちろん無料、予約も不要です。ぜひいらしてください!

2010年10月20日水曜日

20世紀

きょうたまたま見て、笑いと幸福感がこみあげてきたウィキペディアの記述。

1888年に現在の松戸市で、当時13歳の松戸覚之助が、親類宅のゴミ捨て場に生えていたものを発見した。松戸は「新太白」と名付けたが、1898年に渡瀬寅次郎によって、来たる新世紀20世紀)における代表的品種になるであろうとの観測と願望を込めて新たに命名された。なお、当時は西暦の概念さえまだ一般的ではない時代であったため、非常に先進的な命名と言える。その後、1904年鳥取県に導入され、鳥取県の特産品となった。花は鳥取県の県花に指定されている。」


梨の20世紀のことです。当時13歳の少年(しかも松戸の松戸)が、親類宅のゴミ捨て場に生えていたものを発見というくだりが、なんともいい。


1888年、それはフェルナンド・ペソアやT・S・エリオットが生まれた年(サン=ジョン・ペルスは87年、萩原朔太郎やマヌエル・バンデイラは86年)。モダニズム詩の夜明けにむかう時でした。


と、20世紀を食べながら感慨にふけった秋の宵。

2010年10月19日火曜日

リバティタワーで

きょうの午後はお茶の水。情報コミュニケーション学部3、4年対象の関口裕昭さん(ドイツ文学、パウル・ツェラン研究の第一人者)の授業「比較文学」に、清岡智比古さんとともにゲスト参加し、翻訳について話す。翻訳そのもの、というよりも、ヒトの世界認識に必然的に関わってくる操作か。ぼくが論点をあげ、説明し、それに清岡さんがコメントを加える。

70名ほどの学生の、少なくとも半分以上は熱心に聞いてくれた感触。寝てたやつらは、まあ、つねに眠るために教室に来ているのだろう。いつか目を覚ますことを願う。そんな風に寝てると人生がムダになるぞ。

終了後、ぼくの小詩集を紹介すると、興味をもって購入してくれる子が何人も現われた。7部もっていて、即時完売! 別に商売に行ったわけではないが、こうして新たな読者と出会うのも楽しいことだ。

明治はつねに詩と特別な関係をもっていた。田村隆一のようないい詩人を生み、飯島耕一、入沢康夫、渋沢孝輔、安藤元雄など、何人もの詩人が教えてきた。その伝統(?)を、少しずつ、前に進めて行きたいもの。

詩は短くて、すぐ読める。しかも、くりかえし読める。覚えてしまえば、何度でも思い出して考えることができる。楽しむことができる。詩を読む習慣を大学生のころにつければ、一生楽しむことができる。

これからもそのことを、くりかえし話してゆきたいと思っています。

2010年10月18日月曜日

四谷アートストゥディウム、今週の金曜日です

四谷アートストゥディウムでのぱくきょんみさんの授業にゲスト講師として招いていただきました。22日(金)の夜です。

ジャメイカ・キンケイドとエイミー・ベンダーの短編から母=娘関係が主題となるものを読みます。読む、というのは、朗読。読んでからコメントを加えます。

その上で、シャロン・クリーチとマリリン・ロビンソン、そしてよしもとばななについても触れたいと思っています。といっても話がどうつながるのか、まだわかりません、ぜんぜん。

外部からの受講料は2000円だそうです。興味がある方はぜひどうぞ!

http://www.artstudium.org/news/2010/09/picture_book.htm

2010年10月15日金曜日

読み書きクラブ

2009年度前期に組織した「外部ゼミ」(明治の学生以外の人たち、多くは社会人、に大学院ゼミに参加してもらい相互の刺激とする)は一定の成果をあげました。今年度は所用が多くなかなか踏み切れませんでしたが、外部ゼミ再開を望む声を受けて、以下のような作文道場的試みを始めることにしました。

参加希望の方は直接、例会開催時に、明治大学猿楽町校舎にいらしてください。

今回も個人リーディング・リストの作成から入り、あとは作文ならびに書評執筆のワークショップとして運営します。みるみる文章力がつくことは確実です。

*****


ノンフィクション散文の執筆と書評の練習をめざす「読み書きクラブ」を始めます。興味のある方は、ぜひともお誘い合わせの上、お気軽にご参加ください。

名称「読み書きクラブ」

参加自由。いうまでもなく無料です。

参加資格を問わず。初めは全員が「準会員」として参加します。

まず以下の方針にしたがって、銘々で「36冊の個人リーディングリスト」を作成してください。

リストは以下の3分類にしたがって、各12冊から構成されます。すでによく読んだ本だけでなく、これから読もうと思っているものを含めてかまいません。今後の自分の指針を確認するための作業です。

(1)自分の考え方、感じ方、判断力の核をなす本を12冊。
(2)自分が専門と呼びたい分野(「デザイン」でも「写真」でも「ファッション」でも)の本を12冊。
(3)分野を問わず「現代性」を主題とする本を12冊。

このリストが完成した時点で、会の書記である大洞くんに送ってください。リストはぼくがチェックし、承認した場合、会のブログにアップします。その時点でステータスは「正会員」に移行します。

会員は、正会員・準会員を問わず、以下の作業をそれぞれ進めて行くこと。

(1)作文練習。400字9枚を単位とする。題材自由。ただし自分の人生における読むことから書くこと生きることへの道筋にふれるのが望ましい。何本でもいいが、月に1本は書くこと。
(2)書評練習。400字2・5枚を単位とする。月に1本は書くこと。(書評はいうまでもなくどんな本を対象にしてもかまいません。リーディングリストとは独立。)

同時に、都合のつく限り、正会員・準会員を問わず、毎月の例会に参加してください。

例会は毎月第2木曜日の午後7時〜9時、明治大学猿楽町校舎でおこなう。

例会は以下のように運営する。

(1)9枚の原稿を読み、徹底的に添削し議論する。毎回2名分。60分。
(2)書評の添削と議論、毎回3名分。30分。
(3)発展的議論。30分。

9枚のエッセーで、しかるべき水準のものが36本たまった時点で、原稿量にして324枚程度の本を作ることをめざす。

書評については、会のウェブサイト(ブログ)に載せてゆく。会全体として、毎週1本、最低でも月4本の追加が目標。

読み書きクラブの書記として大洞敦史を任命する。書記は連絡係ならびにウェブサイト運営を務める。

リーディングリストならびに書評原稿は書記に投稿し、書記がアップロードする。

作文原稿は書記が集約し、例会に際してコピーを配布する。

例会は早速、11月11日(木)から開始する。第1回の批評対象作品を提出できる人が2名、書評3名が必要です。名乗り出てください。

以上。

2010年10月14日木曜日

ImaginAsia拡大中(台湾=タイ)

国立政治大学とわれわれとの共同ワークショップとして始まったImaginAsiaですが、現在、台北では政治大学とタイのチュラロンコン大学のあいだでワークショップを開催中です。

かれらへのビデオ・メッセージを、うちの学生たちが作りましたのでごらんください。これからさらに中国、韓国などの大学も参加し、多方向の交流企画としてネットワークがひろがってゆくものと思います。

そろそろ2011年の企画を決めなくては。ご期待ください。

http://www.youtube.com/watch?v=xvWZh8cQeBQ

下道基行『日曜画家』

今年も最初の4分の3で、何人もの強烈で楽しい人たちと知り合うことができました。そのひとりが、若きアーティストの下道基行さん。おじいさんが描いた油絵を訪ね歩くプロジェクト「日曜画家」の、痛快なアーティストブックを手にして、深い感動に包まれているところです。

この本、ほんとにかっこいい。それぞれの絵をめぐる、いろんな人のことばが左ページに。油絵を鉛筆画にして小さくし、ちょっと切手の絵みたいな味わいにしたものが右ページに。袋綴じになって、ペーパーナイフで切りながら読み進める。袋の中には、各地に絵が飾られている現場(客間とか)の写真。

水戸芸術館での展示を見逃してしまったのは大失敗でした。でもいまはレジデント・アーティストとして東京にいる下道さんには、また近いうちにぜひ会いたいと思ってます。

写真も、ことばも、絵も、すべては記憶と痕跡。それぞれが互いに知らない人と人を、他ではありえないかたちでむすびつける。彼のやっていることは、詩の仕事に非常に近いんじゃないだろうか。

お待たせしました!

最後の仕上げにちょっぴり遅れが生じた『Agend'Ars』ですが、アマゾンにも「在庫あり」が出て、たぶん明日あたりから主要書店に並ぶと思います。

いかにも詩集っぽいとっつきにくさが(たぶん)ない、気楽に持ち運びながら読める本です。ぜひ買って、読んでください。

またぼくの20代のころの作品を載せた私家版小詩集『熱帯詩+リスボン』をご希望の方は、はがきかなんかで直接申し込んでください。「214−8571明治大学理工学部 管啓次郎」まで(大学の個別郵便番号ですから、所在地を書く必要はない、はずです。それなのに未配で返送されたりすることがあるのは、郵便制度の根本的な欠陥を表すだけですから、必ず抗議しましょうね)。

この小詩集は1部200円です。代金は、そのうちどこかで会ったときに払っていただければ結構です。5部1000円を1口として、まとめて買うのもいいですね!(だれにとって?)送料はこちらで負担します。

ところで『Agend'Ars』を見本段階で読んでくれた、札幌の書肆吉成の吉成くんが、早速、鋭く核心をついた評を書いてくれました。

http://diary.camenosima.com/

この詩集の27/64篇が、吉成くんが編集発行する『アフンルパル通信』に発表されたもの。吉成くん、ありがとう! 札幌、最高。また12月には遊びに行く(つもりだ)よ。

また、小詩集の裏面を飾る長い詩「リスボン」は、やはり札幌在住の對馬千恵、小山玲子のおふたりが作った『borderlands+.br』に2006年に発表されたものでした。千恵ちゃん、玲子さん、ありがとうございました! また会いましょうね、札幌で、ベルンで。

それでは今年もカウントダウン、早くも。溜まりに溜まった仕事をバリバリやりながら、秋の夜長を楽しくすごしましょう(できれば)! よろしくお願いします。

2010年10月13日水曜日

アルトーの死後の生存?

いつのまにかこんな企画が。

http://www.festival-tokyo.jp/program/chiten/

見に行きたいけれど、そのころぼくはロデーズに行ってるかも。

『東京アイヌ』公開試写会

首都圏で暮らすアイヌの人たちを追ったドキュメンタリー映画『東京アイヌ』の公開試写会、明日から日曜日まで新横浜で開催されます。

http://www.2kamuymintara.com/film/schedule.htm

ぜひ行きましょう!

今年は生田でも浜口稔さんの企画によりギャラリー展示とカムイノミが実現し、学生のみんなに現代アイヌ文化の一端を見てもらうことができました。9月には大学院生たちと二風谷にも行きましたが、まだまだ何も知らないに等しい。この映画が何を教えてくれるか、楽しみです。

「テヤ・トランブレ」ハイチ大地震の写真展

ハイチをずっと追っているフォトジャーナリストの佐藤文則さんによるハイチ大地震の写真展が開催されます。

10月19日(火)〜29日(金)まで。新宿高野ビル4階のコニカミノルタプラザギャラリーにて。

必見です。

今夜のABC

今夜は青山ブックセンター本店での『昭和から平成』刊行記念イベント。編集者の故・須山さんが介することがなければまず出会わなかったような4人の著者による、リラックスした楽しいお話が聞けた。

自分の歴史に徹すること、が共通の了解。その上でふりかえったまだ遠くない過去の現代史をめぐる議論。進行役をこなしつつ自分のことを語ってゆく中島さんの話のうまさに脱帽。雨宮さんも、さすがに場数が豊富なだけあって、聴衆をひきつける。能町さんは、おそらく人前で話す機会はあまりないと思われるが、堂々としてユーモアがあってよかった。「茨城」という近いようでいてぼくにはあまりに遠い土地の話を、まるで外国の別の世紀の話のように聞き、驚いた。

わが同僚・清岡さんはどうにでも対応できるマスター。ひとりぽつんと昭和を背負い、哀愁と元気と笑いを同時に表現していた。

ぼくは明治の卒業生のユーキ、その同僚のタツヤ(このふたりは現役の神奈川県の中学教師)とともに、4人の話を堪能。意外なことに、ぼくには中島さん、雨宮さんの世代の人とはあまりつきあいがない。つきあいが多いのはせいぜい7、8歳上か下(1950年〜1966年生まれくらいまで)の、まあ同年代といっていい人か、教師=学生として知り合った、いま30歳以下くらいの人たち。つまりその間の15歳幅くらいの年齢グループの人が、ほとんどすっぽり抜けている。

意味がないといえばないが、そんなところにも社会構造から自分の個人的履歴までが反映されてしまうものだ。

ともあれ、楽しい夕べでした。そうそう、きょうは池上本門寺の御会式! いちどは行ってみたいと思いつつ、今年もまた逃してしまった。来年はカレンダーにマルをつけておこう。コロンブス記念日=御会式と。

清岡さん、来年は一緒に行きましょう!

2010年10月10日日曜日

音楽とダンス

音楽とダンスは、いつもものすごい力で人を巻きこみ、動きに駆り立てます。音楽とダンスをめぐる、勅使河原三郎さんと小沼純一さんの対談、近づいてきました。

http://www.asahiculture-shinjuku.com/LES/detail.asp?CNO=91020&userflg=0

これは興味深い。ぜひ行ってみたいと思います。

これが、それだ!(大澤真幸さん特別講義)

〈第二の科学革命〉の知識社会学——量子力学、キュビスム、そして革命

普通は「科学革命」と言いますと、ニュートンなどが出てきた17世紀の科学の変化を指すわけですが、私は、20世紀初頭の科学、とりわけ物理学の革新(相対性理論‐量子力学)を「第二の科学革命」と呼んでおります。この「第二の科学革命」を、同時代の芸術や政治の変化と関連づけることで、20世紀以降の「近代社会の変容」について考えるのが、講義の主題です。(大澤)

*****

日時 10月29日(金) 15:30〜17:30
場所 生田キャンパスA館マルチメディアルーム(A401,A402)

一般の方の参加も歓迎します。予約は不要ですが、当日、15:10分から受付を開始しますので、記録のためにお名前の記帳をお願いしたいと思います。


2010年10月9日土曜日

大澤真幸さん特別講義

10月29日(金)、大学院特別講義の枠で、現代日本の代表的社会学者である大澤真幸さんのレクチャーを開催します。詳細はまた。

ディジタルコンテンツ系の学生のみんなは、必ず参加してください。参加して、衝撃をうけてください。

『話す写真』書評

週明け12日(火)発売の「週刊朝日」10月22日号に、畠山直哉『話す写真』の書評を書きました。

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=12016

写真について興味をもつすべての人が読むべき名著。お勧めします。

「20世紀フランス文学と写真」

11月6日(土)、東京大学文学部で、文学と写真を主題とするシンポジウムが開かれます。

http://www.l.u-tokyo.ac.jp/futsubun/news/2010/10/08/講演会のお知らせ 11月6日(土)/

ぼくも参加。とはいえ、写真という根本的に語りにくいものを、はたしてどう語ればいいのやら。悩んでいます。

朗報は、畠山直哉さんがディスカッサントとしてわれわれのセッションに参加してくださること。それだけで、きっと楽しめる一日になるはずです!

第1回太平洋文化芸術祭にむかって

先日打ち合わせをしたのが東京在住のクム・フラ(フラの師匠)、クウレイナニ橋本さん。彼女が精力的に準備を進めている太平洋文化芸術祭に、ぼくもほんの少しだけ、お手伝いさせていただくことになりました。

http://www.pacific-fete.net/home_jp.htm

この画期的なフェスティヴァルに協力するかたちで、明治大学リバティアカデミーでの講演会&パフォーマンスを企画しているところです。来年7月のことですが、いまからお楽しみに。お茶の水が一気にポリネシアになります。

20年以上前、ハワイ大学の大学院生として人類学を学んでいたとき、親友のカラマ(日本人、当時は文化人類学者の卵)はハワイ語のみならずフラのクラスもとっていました。ぼくもそうしたかったけれど、踊りに接近できなかった。

この機会に、フラの中でも男の踊りを、学んでみたい気がちょっとする。

Whole lotta LOVE?

文芸雑誌「新潮」の11月号は、まるで佐々木愛作品展みたいな趣です。

目次を開くと、ページ下の部分に、あの独特な森、植物たち。それから全体の扉に、山への道。それだけかと思ったら、いろんな作家たちの作品ごとの扉にも、樹木、鳥、雪の結晶といったおなじみのイメージが続々と出てきます。

これはうれしい。去年の12月、明治大学生田キャンパスのギャラリー・ゼロで開催した「WALKING」展での彼女との協同作業が、なつかしく思い出されます。そしてそれだけではなく! 今年のぼくらの展示「樹木」にも、愛さんが参加してくださることが確定しました。いまから、わくわく。

いまはオーストラリアに滞在して制作に励んでいる彼女。冬にはまた元気な笑顔を見せてくれることでしょう。

まずは「樹木」展をお楽しみに!

2010年10月8日金曜日

太平洋講座、いよいよ

以前にもお伝えしましたが、明治大学リバティアカデミーのオープン講座として、太平洋の島々の現在をテーマとする連続講演が開催されます。

まず10月30日にはドキュメンタリー映画監督の海南友子さん。11月20日には写真家・冒険家の石川直樹さん。いずれも土曜日午後2時からです。

http://academy.meiji.jp/ccs/pdf/open/2010fall4.pdf

予約さえすれば、無料です。絶対におもしろいので、ぜひ遊びにきてください。ぼくはいずれの日も司会進行。

太平洋関係の講座は、すでに来年1月、7月にも予定しています。この機会にわれわれの海をよく知ることにいたしましょう!

2010年10月4日月曜日

昭和から平成

『世はいかにして昭和から平成になりしか』(白水社)の刊行記念イベント、いよいよ来週です。

http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_201010/1012.html

ありえない顔ぶれ。誰にとっても、きっとハッとする瞬間があるにちがいありません。奇しくも12日は「コロンブス記念日」。

Santana & Yoyo Ma

カルロス・サンタナとヨーヨー・マによるWhile My Guitar Gently Weepsだなんて。泣くのはギターだけじゃなかった。

http://www.santana.com/
http://www.yo-yoma.com/

2010年10月2日土曜日

『アート・プラットフォーム』

女子美の杉田敦さんとart & river bankで対談をしたのが3月。その記録を含む本が完成しました。

北澤憲昭+杉田敦・編『芸術表象コンセプトブック アート・プラットフォーム』(美学出版)。

ぼくらの対談は「多島海 グリッサン、ブリオー、リンギス」と題されています(杉田さんによる)。pp.246-285 です。

対談中でふれた海南友子さんの『ビューティフル・アイランズ』も、そのときはそんな展開は思ってもみなかったけれど、10月30日には彼女の講演が明治で実現することになりました。

一年はいろんなかたちでつながってゆく何本もの糸で編まれているようです。

「水牛のように」10月号

「水牛のように」更新されました。

http://www.suigyu.com/sg1010.html#05

ぼくは「犬狼詩集」15、16を寄稿しています。

2010年10月1日金曜日

ちょっとだけ詩の話

日本の詩人で、ぼくがもっとも興味があるのは、萩原朔太郎と西脇順三郎のふたりです。中学生のときに朔太郎を、高校生のときに順三郎を読まなかったら、詩とはたぶん無縁のままでした。

今回の詩集を16行でそろえたのは、絵を描くときにおなじ大きさの画布で何枚も何枚も描いてみるのとおなじこと。別に13行でも18行でもよかったんだけど、数字の魔のささやきにしたがって16に。14は伝統的なソネットなので、避けました。

長さと内容の関係とその感触としては、ふたつの詩がいつも念頭にありました。まずはそのひとつ、朔太郎の「野鼠」を以下に。この長さ(13行)でこれだけのことができるのだということを味わってみてください。


  野鼠

どこに私らの幸福があるのだらう
泥土の砂を掘れば掘るほど
悲しみはいよいよ深く湧いてくるではないか。
春は幔幕のかげにゆらゆらとして
遠く俥にゆすられながら行つてしまつた。
どこに私らの恋人があるのだらう
ばうばうとした野原に立って口笛を吹いてみても
もう永遠に空想の娘らは来やしない。
なみだによごれためるとんのづぼんをはいて
私は日傭人のやうに歩いてゐる
ああもう希望もない 名誉もない 未来もない。
さうしてとりかへしのつかない悔恨ばかりが
野鼠のやうに走つて行つた。


完璧ですね。ボードレールの最上のものをあるいは凌駕する、この境地。こんど前橋に遊びに行きたい。

ちょっとだけ発売延期

ぼくの詩集ですが、最終的な直しを入れたせいで仕上がりがわずかに遅れています。アマゾンなどでは9月30日発売とされていますが、店頭に並ぶのは10月半ばになります。

まあ、百年、千年、一万年の尺度で見れば、なんということもない遅れ。気長に待っててください。今年はぜひクリスマスの贈り物にどうぞ!